12話
「あー、えらい時間くったな。腹減ったー」
「まあ、未解決事件の真っ只中に来たらしょうがないよ。教授も地域貢献を欠かすなって言っているしな」
「これが地域貢献か?」
徹がブツクサ言いながら車を走らせる。
街灯もほとんどない。
人っこひとりいない。
徹のシビックのライトだけが暗い夜道を照らしていた。
「この時間になると、本当に誰もいないな。不気味なぐらい」
「あんな事件が起こっているんだ、外出を控えているんだろう」
やがて車は街灯が全くない暗い道を走っていた。
徹のシビックが唯一の明かりだ。
横も後ろも、真っ暗で何も見えない。
たまにポツンポツンと、遠くに明かりらしきものが見える程度だ。
来た道を戻って行くと、今日訪れた最初の場所に差し掛かった。
突然、徹が車を止めた。
「なあ、あそこに誰かいなかったか?」
「おい、やめろよ、そういうの」
「いや、確かに人が。今日の山道に入っていった」
「まあいいじゃないか、ほっといて行こう」
「いや、気になるな。もしかしたら行方不明の老人かもしれない」
そういうと、徹は後部座席から懐中電灯を取り出した。
「ちょっと見に行ってみようぜ」
「マジかよ!?」
「なんだよ、お化けが怖いってわけでもないだろう。お前は携帯で撮影してくれ。これもフィールドワークだよ」
徹が先頭になって山の中に入っていく
「おい、ちょっと待てって、警察に…」
慌てて隆も携帯を録画モードにして後を追った。
茂みの中を進んでいく徹の懐中電灯の光が、携帯の画面の中で揺れている。
「おい、徹。フレームアウトしているぞ、もっとゆっくり」
隆が携帯の画面から顔をあげると、徹の持っていた懐中電灯の光がどこにも見えず、闇が広がっていた。




