11話
隆が警官二人に説明した。
「俺たち東京の大学で郷土史を研究しているんですけど、向こうの山の入り口にある古い神社のことを調べにきたんです。今はこちらの神主さんに話を聞いてました」
「東京から?」
「ええ」
隆は学生証を見せた。
警官二人は、出した学生証を丹念に眺めていた。
「ちょっと署まで来て、話を聞かせてくれない?」
警官たちの口調には、有無を言わせぬ響きがあった。
「え?たかが駐禁で警察署までいくんですか?」
「来れない理由があるの?」
「いや、別に…」
隆と徹は顔を見合わせた。行かない選択肢はなさそうだ。
警察署では、隆と徹は別々に取調べを受けた。
今日どこに行ったか。
何時ごろに来たか。
他に車を見なかったか。
神主さんと大学にも連絡が行ったらしく、俺たちのことを証明してくれたので、やっと釈放になった。
「いや、長時間悪かったね。最近この辺で行方不明事件が相次いでね。県外ナンバーの車には警戒しているんだ。観光地ってわけでもないから」
佐伯と名乗った警察官が、外まで送りに出てくれていた。
「まあ、捜査でしたらしょうがないですよ。早く事件解決することを願っています」
徹が敬礼の真似事をすると、佐伯さんも返礼してくれた。地域の良いお巡りさんなんだろう。
「引き留めておいて何だけど、遅いから気をつけて帰ってね」
時間は夜9時を回っていた。




