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河灯未明  作者: 亀


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第二十三章 七号の旗を登録した者

翌朝早く。


沈硯は河運司の旧記録保管所へ向かった。


あの旗は持っていない。


旗は秦重のところに置いてきた。


沈硯が持っているのは、あの一枚の紙だけだった。


「当時、七号の旗を登録した者を探せ」


旧記録保管所の管理人は、すでに三代も入れ替わっている。


今ここを任されているのは、五十を過ぎた男だった。


姓は韓。


沈硯は自分の身分証を机の上に置いた。


「二十三年前の河運旗号の登録記録を調べたい」


韓管事は一度それを見る。


「何月何日だ?」


「九月初七」


韓管事は帳簿をめくった。


「ない」


「もう一度調べてくれ」


「ないものは、ない」


沈硯は言い争わなかった。


代わりに、あの紙を机の上に置いた。


韓管事はそれを一目見た。


顔色が、わずかに変わった。


「これは、どこから?」


「ある人間から渡された」


「誰だ?」


「分からない」


韓管事は、それ以上聞かなかった。


扉を閉める。


そして、声を落とした。


「お前たちは最近、この件をずっと調べているのか?」


「ああ」


「沈家の火事か?」


「ああ」


韓管事はしばらく黙っていた。


「本当に調べたいなら」


「九月初七を調べるな」


沈硯は彼を見る。


「何日を調べろ?」


「九月初六だ」


⸻


一刻ほど後。


二人は旧記録保管所の一番奥で、一冊の古い残巻を見つけた。


表紙にはカビが生えている。


そこには、いくつかの文字だけがかろうじて残っていた。


『河運旗号臨時登録簿』


秦重が開く。


最初の部分には、通常の登録が並んでいた。


船名。


船主。


旗号。


出発時刻。


帰還時刻。


積荷。


船員。


一つも欠けていない。


だが、九月初六のところまで来ると。


記録が突然、おかしくなっていた。


七号旗。


その後ろには船名がない。


船主もない。


ただ一言。


「臨時調配」


沈硯は眉を寄せた。


「誰が登録した?」


韓管事が一番下を指差した。


そこには、一つの名前があった。


許同。


「許同とは?」


韓管事が答える。


「昔の河運司の書吏だ」


「今は?」


「まだ生きている」


沈硯が顔を上げる。


「どこにいる?」


韓管事は少し迷った。


「城南だ」


「何をしている?」


「船の修理だ」


⸻


城南の古い船着き場。


許同は、小さな木造の家に住んでいた。


二人が着いた時。


七十を過ぎた老人が、家の前で船板を修理していた。


足音を聞いても、顔を上げない。


「河運司の人間か?」


沈硯は一瞬、驚いた。


「俺たちを知っているのか?」


老人は小さく笑った。


「二十三年だ」


「とうとう誰かが来たか」


沈硯は答えなかった。


ただ尋ねた。


「許同か?」


「そうだ」


「当時、七号の旗を登録したのはあなたか?」


老人の手にしていた槌が止まった。


「誰に聞いた?」


「記録簿だ」


許同は首を横に振った。


「記録簿は、本当のことなんて教えてくれん」


沈硯は老人を見る。


「なら、あなたが教えてくれ」


老人は槌を置いた。


「何を知りたい?」


「七号の旗だ」


許同は黙った。


「いつのだ?」


「九月初六」


老人が顔を上げる。


「あの日の七号旗は」


「わしが登録したものじゃない」


沈硯は眉を寄せる。


「記録簿には、あなたの名前がある」


「名前は、わしのものだ」


「だが、字はわしのものじゃない」


部屋が静かになった。


許同が手を差し出す。


「その記録簿を見せろ」


沈硯はすぐには渡さなかった。


「先に話してくれ」


老人は沈硯を見た。


「お前は、沈懐川とどういう関係だ?」


沈硯は答えた。


「俺の父親だ」


許同の手が、ゆっくりと引っ込んだ。


「なるほどな」


「何が?」


「だから、お前はここまで来たのか」


沈硯は急かさなかった。


許同は再び槌を手に取った。


だが、船板を叩くことはなかった。


「二十三年前」


「沈懐川が、わしを訪ねてきた」


「いつ?」


「九月初六の午後だ」


「何を聞いた?」


「七号の旗についてだ」


「何と答えた?」


許同は河面を見つめた。


「こう言った」


「七号の旗は、もう持っていかれた」


沈硯が尋ねる。


「誰が?」


「分からん」


「では、なぜ記録簿にはあなたの名前がある?」


許同は笑った。


「後になって、わしに補記させた者がいた」


「いつ?」


「九月初七だ」


沈硯の目が変わった。


九月初七。


七号船はすでに戻っている。


しかも、その時にはすでに「八去七帰」が起きていた。


それなのに、登録はその後になって補われた。


つまり――


七号旗の登録は、船が出る前に作られたものではなかった。


事後に補われたものだった。


沈硯が尋ねる。


「誰に補記させられた?」


許同は答えなかった。


「河運司の上役か?」


「違う」


「では、誰だ?」


老人はゆっくりと言った。


「沈懐川だ」


沈硯は固まった。


「父が?」


「ああ」


「なぜ?」


許同は沈硯を見た。


「こう言った」


「補記しなければ」


「八人が船に乗ったことを証明する記録が、一つも残らない」


沈硯は黙った。


つまり、沈懐川は七号船を作り出そうとしたのではない。


証拠を残そうとしていた。


だが、また一つ疑問が生まれる。


沈懐川が八人いることを知っていたのなら。


なぜ最後の記録には七人しか残っていない?


許同は、沈硯の考えていることが分かったようだった。


「遅すぎたんだ」


「どういう意味だ?」


「補記しようとした時には」


「名簿は、すでに書き換えられていた」


「誰が?」


許同は首を横に振った。


「分からん」


「見たのか?」


「ああ」


「誰だった?」


老人は答えなかった。


代わりに尋ねた。


「お前の父親は、どうして第七契に署名したのか」


沈硯は黙った。


「聞いていない」


許同はため息をついた。


「なら、それでいい」


「どういう意味だ?」


「なぜなら、あの契約は」


老人は一度言葉を切った。


「生きている人間のために署名するものじゃなかったからだ」


⸻


沈硯は立ち上がった。


「一体、何なんだ?」


許同は彼を見る。


「お前の父親は、八人の名前を残そうとした」


「だが、河運司が残すことを許したのは七人だけだった」


「なぜ?」


「八人目は」


「存在してはいけなかった」


「八人目は誰だ?」


許同は答えなかった。


沈硯は老人を見つめる。


「子供か?」


老人は首を横に振った。


「違う」


その二文字に。


沈硯は初めて、完全に動きを止めた。


子供ではない。


なら、八人目は誰だ?


許同は続けた。


「子供は、船に乗せられた者だ」


「本当に存在してはいけなかったのは」


「大人だ」


沈硯が尋ねる。


「誰だ?」


老人は沈硯を見た。


「本当なら、もう死んでいるはずの人間だ」


部屋が、一瞬で静まり返った。


秦重の顔色が変わった。


陳旺はいない。


だが、沈硯の頭にはすでに一人の名前が浮かんでいた。


蘇河。


「蘇河か?」


許同は答えなかった。


だが、その沈黙だけで十分だった。


沈硯は続けて尋ねる。


「蘇河は、あの船に乗っていたのか?」


「わしは何も言っていない」


「あなたが言ったのは、八人目が大人だったということだけだ」


「ああ」


「なら、誰だ?」


「名前までは知らん」


沈硯は諦めなかった。


「では、なぜその人間が死んでいたと分かる?」


許同は沈硯を見る。


「その人間の名前が」


「死亡名簿に載っていたからだ」


沈硯はゆっくり腰を下ろした。


死亡名簿。


また、死亡名簿だ。


すでに死んでいるはずの人間が。


七号船に乗っていた。


そして七号船が戻ったあと。


一人が消えた。


だから誰かが、身分を必要とした。


すでに死んでいる人間の身分。


本当の身分を覆い隠すために、別人へと被せることのできる名前。


沈硯は、ようやく気づいた。


自分たちは今まで「名前を変える」ということを、単純に考えすぎていた。


これは、一人の人間が名前を変えたのではない。


死んだ人間の身分を――


生きている人間が使ったのだ。


⸻


許同は家の中から鉄箱を一つ持ってきた。


蓋を開ける。


中には、古い紙が数枚入っている。


そのうちの一枚は、すでに黄色く変色していた。


老人は、それを沈硯に渡した。


「当時、こっそり残しておいたものだ」


沈硯は紙を広げた。


登録用の下書きだった。


そこには、もともと八行あった。


一行目から七行目までは、それぞれ名前が書かれている。


だが、八行目には三文字だけ。


「蘇河――?」


沈硯の呼吸が止まった。


許同が言った。


「最初にわしが書いたものだ」


「後で、誰かに消せと言われた」


「消したのか?」


「いや」


「誰が消した?」


「沈懐川だ」


沈硯が顔を上げる。


「父が?」


許同は頷いた。


「この一行を、あいつ自身が消した」


「なぜ?」


「こう言った」


老人は少し間を置いた。


「蘇河を、この紙に残してはいけない」


沈硯は、その墨跡を見つめた。


その時。


何かに気づいた。


「さっき、八人目は大人だと言ったな」


「ああ」


「その人間は、蘇河なのか?」


許同は答えなかった。


ただ、鉄箱の蓋をゆっくり閉じた。


「わしが言えるのは、これだけだ」


「九月初六の夜」


「七号の旗の下にいた人間は」


「記録簿に書かれた人数より、一人多かった」


「そして九月初七以降」


「一人の名前が」


「すべての記録から消えた」


沈硯が尋ねた。


「誰だ?」


老人は沈硯を見た。


「蘇河だ」


⸻


古い船着き場を出る頃には。


空はすでに暗くなっていた。


秦重は、ずっと何も言わなかった。


かなり歩いてから。


ようやく口を開く。


「もし蘇河が本当に船に乗っていたなら」


「なぜ林秋娘は、九月初七にも生きていたと言った?」


沈硯は答えた。


「本当に生きていたのかもしれない」


「では、どこへ行った?」


「今は分からない」


「では、八人目は?」


沈硯は足を止めた。


「それも分からない」


秦重は眉を寄せた。


「じゃあ、俺たちはあれだけ調べて」


「蘇河が七号船に乗っていたかもしれないと分かっただけか?」


沈硯は首を横に振った。


「違う」


懐から、あの古い下書きを取り出す。


最後の一行を指差す。


蘇河――?


「少なくとも、一つ分かったことがある」


「何だ?」


「当時、誰かが蘇河を七号船の記録から消そうとした」


「そして、父もそれに関わっていた」


秦重は黙った。


沈硯は河面を見る。


「だが、なぜ父がそうしたのか」


「今はまだ、決めつけられない」


その時。


遠くから船の汽笛が響いた。


一隻の普通の貨物船が、ゆっくりと通り過ぎていく。


船首には、青い旗が掛かっていた。


数字はない。


そこに描かれていたのは――


七つの水紋。


沈硯は岸辺に立ったまま、その旗を見つめた。


そして突然、言った。


「戻るぞ」


秦重が尋ねる。


「今から?」


「ああ」


「なぜ?」


沈硯は、あの旗を見つめていた。


「俺たちはずっと、七号の旗が七号船を意味していると思っていた」


「だが、許同の話では」


「七号の旗は、臨時調配のためのものだった」


「つまり、本当に重要なのは」


「どの船が七号の旗を掲げたかじゃない」


「誰に、その決定権があったのかだ」


「どの船を」


「いつ」


「七号船にすることができたのか」


秦重の顔色が、ゆっくり変わっていく。


だが、沈硯はすでに踵を返していた。


ようやく、二十三年前に動いていた本当の仕組みの一端に触れた。


一隻の船ではない。


一枚の旗でもない。


人と船と名前を――


互いに置き換えることのできる仕組み。


今回、彼らが調べるべきなのは。


誰が嘘をついたのかではない。


誰が――


その嘘を「記録」にする権限を持っていたのか。

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