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超板金 山形ロボ ―ロボットがランドマークになった街で、怪異が目を覚ます―  作者: bobson3b


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197 2026年5月29日(金)_03 繋がる内臓

片桐一葉は――


新たな危機に、直面していた。

腹部。


鈍く、重い圧迫感。


内部で何かが蠢く。


(……やばい)


直感が告げる。


これは。


――ガスだ。


「ヴぁ……ヴぁぴ……」


喉がうまく動かない。

横で綾が顔をのぞき込む。


「一葉、どうしたの?」


心配そうな声。


(だめだ)


(これは伝えるべきか)


「ん……ビャイピョウゥ……」


ごまかす。

だが。


ぐごごご……


腹部が、明確に動く。

波が来る。


「うぴょ??! ぴゃぺヴぇ!」


思わず声が漏れる。


「どうしたの? 一葉、大丈夫?」


(ちがう)


(違うの、お母さん)


「ビャイピョウゥ! ビャイピョウゥ!」


必死に誤魔化す。


だが。


第二波。

腹の奥から、確実に迫ってくる。


「うぴょー?! おぴょぁー!」


「今、先生と看護師さん来るからね?」


綾が慌ててナースコールに手を伸ばす。


「頑張って? 一葉、頑張ってね?」


そのまま、手を握る。

その温もり。


安心。


――そして。


緩む。


「おぴゃ! おぴゃ! ぴゃヴぇべ!」


(まずいまずいまずい)


「おぴゃ! おぴゃ!」


腹部が脈動する。

確実に、移動している。


出口へ。


「一葉、つらいの? 痛いの?」


「一葉! 一葉!」


(ちがう)


(痛くない、そうじゃない)


だが言えない。

言葉にならない。


やがて。


医師と看護師が、翻訳用にタブレットを持って駆け込んでくる。


一葉の目に、うっすら涙が浮かぶ。


羞恥。


逃げ場なし。


「ぴゃいぴょーヴぇれ……!」


ジェスチャーもできない。


体は固定。


完全拘束。


「ヒトハ、どこが痛いのですか?」


ウェスト医師の、落ち着いた声。


(違うんです)


(痛いんじゃないんです)


頭の中で、イメージが浮かぶ。


臀部。


そこに、圧が集まる。


だが――


今は人が多すぎる。


(無理)


(ここでやるのは無理)


「んんんんんんんんんん!!!」


必死に耐える。


「びゃっぴぇ! びゃっぴぇ!」


看護師が焦る。


「鎮静剤を! 傷口開いた可能性も!」


(違う違う違う)


「んー! んー! んー!」


限界。


その瞬間。


一葉は、意識を集中させる。

頭の中で、何かのメーターを下げる。


(今じゃない)


(静かな時にやるやつ)


呼吸を整える。

圧を制御する。


一瞬。


止まる。


「んー……ん……ひゃっ……」


静寂。


安堵。


波は去った。


(勝った!)


――そして。


ぷすー……


乾いた音が、個室に響いた。


一瞬の沈黙。


誰も、動かない。


ただ。


ガスの音だけが、確かに存在した。


片桐一葉の尊厳は――


崩壊した。


「おぴゃぁーーーーーーーーぉひゃおびょぉー!びょびょびヴぇーーーーーー!」


その直後。


「……Excellent」


ウェスト医師が、真顔のまま頷く。


「ヒトハ、安心してください」


「内臓の縫合は極めて良好です」


「ガスの排出が確認できたということは、消化管機能が回復している証拠です」


淡々と、しかしどこか満足げに言う。


「明日から流動食に移行できます」


一葉は、涙目のまま叫ぶ。


「ヴぁヴぁぴゃぁぉぁぷぅぁおびゃー!!!」


何を言っているかは、誰にも分からない。


だが。

綾は、優しく微笑んだ。


「よかったわね、一葉」


その一言を聞き

静かに片桐一葉は涙を流した

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