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超板金 山形ロボ ―ロボットがランドマークになった街で、怪異が目を覚ます―  作者: bobson3b


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144 2026年5月18日(月)_08 ラーメンファイト!ラウンド3

■ 第5班 そば処 すぎ

大沼(顧問)

斎藤(総務・会計)

東海林(整備)

菊池(整備)

那須(警備)



山形市小立。

丘の上には東北芸術工科大学の校舎が見える。

国道13号線を少し入ったところに、控えめな看板を掲げた店があった。

そば処 すぎ。

暖簾は落ち着いた濃紺で、いかにも地元に根づいた蕎麦屋という佇まいだ。


大沼が入口を見上げる。


「石原のチョイスだな。間違いない。」


斎藤がうなずく。


「あー、石原さん、蕎麦屋のラーメン好きでしたからね。」


東海林が首をかしげる。


「ここ、蕎麦屋ですよね?」


菊池も看板を確認する。


「そばって書いてますよ?」


那須が素直に問う。


「ラーメン、あるんですか?」


大沼が笑う。


「私も三十年前は同じ意見だったよ。だがな、山形では“蕎麦屋のラーメン”は当たり前の光景なんだ。」


店内に入り、靴を脱いで座敷へ。

障子ごしに光が差し込む。

卓上のメニューには蕎麦や麦斬りの文字。

だが、裏をめくると――


飛島産飛魚出汁ラーメン。


その文字が、確かに記されている。


各自、思い思いに注文。

やがて運ばれてくる丼。

澄んだスープから立ちのぼる、やさしい出汁の香り。

大沼はラーメンへ視線を移す。


「私はここの蕎麦も好きなんだが……ラーメンも、たまにはいいですね。」


斎藤は特製ラーメン。


「ゲソ天ここのすきだなぁ。。衣が軽い。」


東海林と菊池はたぬきラーメン。

菊池が箸を止め、感心したように言う。


「蕎麦屋のラーメン、いいですね。文翔館の近くにもありますか?」


大沼が即答する。


「市役所の裏に二軒ぐらいあるぞ。」


東海林が頷きつつ、ふと思い出す。


「今度行ってみます。……そういえば、片桐さんって、なんで俺のこと“トウカイリン”って呼ぶんですか?」


斎藤が軽く笑う。


「あ、東海林さんは県外組?山形だと“東海林”って書いて“ショウジ”と読まなくてね。確か、山形出身の“トウカイリン”さんが荘園運営の“荘司”の役職についたとかで、それがそのまま県外での読み方になったって説があるのよ。」


「へぇ……」


那須は黙々とチャーシューメン大盛を食べ進めている。

チャーシューを頬張りレンゲでスープをすする


「……私、このスープ好きかも。更家さんと、ちょっと来よう。」


飛魚出汁のやさしい余韻が、身体に静かに広がる。

ただ、それぞれの一杯を、味わう。


第5班、穏やかに完食。


---


■ 第6班 武田そば屋

石原(顧問)

エリザベス(ゲスト)

タボ(ゲスト)

十樫 (ゲスト)


山形市街地を抜け、車は南へ。

視界がひらけ、田畑が広がる。遠くに見えるのは長谷堂城跡。

慶長出羽合戦の舞台となった丘は、いまは静かな公園になっている。

そのすぐ近くに、ひっそりと店はあった。


武田そば屋。


派手な看板はない。

軒先も控えめだ。知らなければ通り過ぎてしまう。

店舗手前、左手のお寺の駐車場に車を停める。

営業時は借りているらしい。


石原がドアを閉めながら肩をすくめる。


「今回も俺のエスコートですまんな。しかし……渋すぎるだろう。ここ、穴場中の穴場だぞ?もしかして浮雲か?あいつならチョイスしそうだ。というか、浮雲以外思いつかない。」


エリザベスが周囲を見渡す。


「ここにラーメンがあるのですか?」


タボは畑の方を指差す。


「畑が多いね。果物もさっきのコンビニで売っていた。寄りたいね!」


十樫は店の佇まいに目を丸くする。


「結構コンパクトなお店ですね……え?中華そば、ワンコイン!?」


石原が小さく笑う。


「ああ。だがな、かなり美味い。露出こそ少ないが昔からの老舗でな。俺もここはお気に入りだが、できたら人に教えずにこっそり楽しむ系だ。あまりランクとかはつけるのは好きじゃないが、俗にいう四天王クラスだ。」


店内は九席のみ。


小上がりに無理やり五人で座る。

厨房から、牛骨のやわらかな香りが漂ってくる。

注文は全員、中華そば。


ただ一人、石原だけが特盛。

やがて丼が運ばれる。

澄んだスープ。細すぎず太すぎない麺。飾り気はないが、静かな美しさがある。

石原が一口すすり、うなずく。


「あー、これこれ。牛骨ベース。麺ももちもちでうまい!」


十樫が驚く。


「え?山形って、これ普通なんですか?おいしいんですが?ここクラスがほかに四店もあるんですか?」


石原はは笑顔で答える。


「好みにもよるが、もっとあるぞ?」


十樫がさらに驚く。


「本当ですか?もっと早く教えてください!」


エリザベスは丁寧に丼を持ち上げ、慎重にすすってから微笑む。


「最近、啜るのに抵抗はなくなりましたが……ここは特に良いですね。スープ、コンソメスープに似ていますが全く違う感じもします、こちらはより優しく、ヌードルにマッチします。」


タボは少し苦戦しながらも、ゆっくり味わう。


「俺は啜るのが苦手なんだが……なんだか不思議な味わいだ。強くないのに、印象に残る。」


静かな店内に、麺をすする音だけが響く。

地元に愛された隠れた名店。

だが確かに、ここに根づいてきた味がある。


第6班、静かに完食。


石原は代休の一葉を今度誘うため第二弾の企画を練り始めた。

味の優劣ではない。

より、地元の味わいを深く知るために。



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