141 2026年5月18日(月)_05 ラーメンファイト開幕
昼時だった。
指令室の壁時計が十一時三十分を回るころ、
空気がほんの少し緩みはじめる。
端末のキーを叩く音も、報告の声も、どこか腹の虫に引きずられている。
そのとき、石原がゆっくりと立ち上がった。
椅子が、きい、と鳴る。
「明日、エリザベスさん、タボさん、十樫さんが山形を離れる」
一拍。
視線が集まる。
「ので――」
石原は、にやりと笑った。
「ラーメンファイトを行う!」
ざわめき。
浮雲が、ぼそりと呟く。
「戦うのか?」
若林が即座に横から差し込む。
「あんたは話を最後まで聞きなさい?」
児島が少しだけ身を乗り出す。ほんのわずか、楽しげに。
「石原さん……?ラーメンファイトとはなんですか?」
待ってました、と言わんばかりに石原は胸を張る。
「一チーム五人に分かれる!それぞれが“推し”のラーメン屋を紙に書く!それをシャッフル!引いた店に行ってラーメンを堪能する!」
ぐるりと見渡し、指を三本立てる。
「ルールは三つ!」
声が少しだけ大きくなる。
「比べない!完食!文句言わない!」
沈黙ののち、あちこちから笑いが漏れる。
「では班分けのくじを引くぞ?整備と警備で混ざりたい奴いるか?混ざりたい奴はくじを作れ?」
そこからは早かった。
顧問から五名。
石原、青山、三浦、山倉、大沼。
司令部から二名。
児島、若林。
医療班から三名。
今野、阿部、宮林。
整備班から六名。
鎌田、早川、多田、笹沼、東海林、菊池。
他の面々は弁当持参のため泣く泣くお留守番
総務・会計から斎藤。
観測班から三名。
武田、今田、槌谷。
施設警備から六名。
浮雲、髙橋、長井、加藤、那須、更家。
有事に備え一班は待機。
そしてゲスト。
ザ・ナインより、エリザベス、タボ、十樫。
合計二十九名。
改めて数えると、なかなかの大所帯である。
山倉が手を叩いた。
「では各自グループ分けするぞ!」
くじが回りはじめる。整備と警備が混ざり、司令部と観測が入り交じる。普段あまり顔を合わせない面々が、紙切れ一枚で組み合わされていく。
石原がふと首をかしげた。
「あれ?片桐の嬢ちゃんは?」
若林が淡々と答える。
「あの子は今日は代休です。」
青山が鼻で笑う。
「昔からお前はそうだ、ギリギリで詰めが甘い」
大沼が肩をすくめる。
「確かにな。出しゃばりなのは悪化してるが」
石原は「うるさいな」と言いつつも、どこか悔しそうに頭をかく。
指令室の空気は、すっかり昼の匂いに染まっていた。
戦況報告も、因果計測も、邪神の解析も、ひとまず横に置く。
それぞれの推しの真剣勝負。
ならば食う。
比べない。
文句言わない。
ただ、至高の一杯を囲む。
三浦が手を叩く
「では……、はじめ!」
それぞれが散る!!




