表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死者専用アパートの管理人になった俺、なぜか成仏できない美少女たちに懐かれる  作者: 鷹司 怜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/21

エピローグ 待つ人


悠人くんが行ってから。


私は一人になった。


桜の丘で。


約束を残したまま。


本当は寂しかった。


すごく。


今すぐ追いかけたかった。


一緒に行きたかった。


だって好きだったから。


誰よりも。


何よりも。


でも。


約束した。


生きてほしいって。


だから笑った。


最後まで。


泣きそうだったけど。


笑った。


悠人くんが現実へ戻った日。


私は病院の窓辺にいた。


もちろん見えない。


触れられない。


でもいた。


窓から桜の花びらを送った。


気付くかなって。


少しだけ期待して。


すると。


悠人くんは笑った。


「ただいま」


って。


嬉しかった。


本当に。


それから何度も会いに行った。


事故現場。


大学の入学式。


初めて一人暮らしをした部屋。


就職した日。


失恋した夜。


大切な人を亡くした日。


全部。


見ていた。


もちろん話せない。


姿も見せられない。


それでも。


隣にはいた。


ずっと。


悠人くんはよく泣いた。


本人は隠しているつもりだったけど。


知っている。


夜中に一人で泣いていたこと。


寂しい時。


苦しい時。


私を思い出してくれたこと。


全部。


知っている。


だから。


私も泣いた。


一緒に。


誰にも見えない場所で。


でもね。


嬉しかったこともたくさんあった。


友達と笑っている時。


子供みたいにはしゃいでいる時。


旅行先で迷子になった時。


お酒を飲んで失敗した時。


見ていて飽きなかった。


本当に。


ある日。


夕凪荘へ来た女の子が言った。


「結衣さんって幸せそうですね」


私は驚いた。


「そう見える?」


「うん」


少女は笑った。


「だって好きな人を見てる時の顔してる」


恥ずかしかった。


少し。


でも。


きっとそうだった。


私は幸せだった。


待つことは寂しい。


だけど。


愛する人が生きている。


それだけで。


十分幸せだった。


年月が流れる。


十年。


二十年。


三十年。


四十年。


五十年。


人間には長い時間。


でも私には短かった。


不思議なくらい。


そして。


約束の日が来た。


病院の扉を開ける。


そこに悠人くんがいた。


髪は白くなっていた。


皺も増えた。


歩くのも遅い。


でも。


すぐ分かった。


私の大好きな人だった。


「遅いよ」


そう言った瞬間。


泣きそうになった。


本当は。


会いたかった。


ずっと。


ずっと。


五十年間。


毎日。


会いたかった。


でも。


やっと言えた。


「おかえり」


って。


悠人くんは笑った。


昔と同じように。


少し照れながら。


「ただいま」


って。


その瞬間。


五十年の寂しさが全部消えた。


本当に。


全部。


きっと。


愛ってこういうことなんだと思う。


一緒にいる時間じゃない。


想い続けた時間なんだ。


私たちは手を繋いだ。


今度は離れないように。


もう。


二度と。


桜が舞う。


風が吹く。


あの日と同じ春。


そして私たちは歩き出した。


新しい約束の向こうへ。


もしも。


生まれ変わることがあるなら。


また会いたい。


また好きになりたい。


また約束したい。


十年後でも。


五十年後でも。


百年後でも。


私はきっと待っている。


だから。


その時は。


少しだけ早く来てね。


悠人くん。


【エピローグ・完】

【死者専用アパート、ここに堂々完結です!】

ここまで『死者専用アパートの管理人になった俺、なぜか成仏できない美少女たちに懐かれる』を読んでいただき、本当にありがとうございました。


最初は「死者しか住めないアパートの管理人になったら面白いのでは?」という発想から生まれた物語でした。けれど書き進めるうちに、この作品は単なる恋愛ファンタジーではなく、「大切な人との別れ」と「残された人の生き方」を描く物語になっていきました。

夕凪荘を訪れる住人たちは、それぞれ小さな未練を抱えています。

誕生日を祝ってほしかった人。

母親に会いたかった少年。

約束を果たせなかった恋人たち。

きっと誰の人生にも、似たような後悔や心残りがあるのではないでしょうか。

主人公・悠人は管理人として多くの魂を送り出しますが、本当に救われていたのは悠人自身だったのかもしれません。

そして結衣。

彼女はこの作品を書く中で、いつの間にか私自身が一番好きなキャラクターになっていました。

明るくて、優しくて、少し意地悪で、誰よりも人を想える女の子。

彼女との五十年後の約束を書き終えたとき、この物語はようやく完成したのだと思います。

もし少しでも心に残る場面があったなら、作者としてこれ以上の喜びはありません。

最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。


もし「面白かった!」「完結お疲れ様!」と思ってくださったら、この画面の下にある

【⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️】の星をタップして、完結祝いの応援をしていただけないでしょうか?


【鷹司 怜の次なる挑戦!日間第1位の最新作!】

本作と同じく『死者』をテーマにした、6月30日締切のHJ小説大賞応募作が、なんとなろう日間ランキング第1位を爆走中です!

『あなたを殺したのは私です』

https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/3197835/

こちらは冷たく、切ない真実が明かされるダークサスペンスです。

ぜひ、こちらの『死者の物語』もあわせてお楽しみください!

毎日2回全力更新中です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ