第2話 土方鈴とジャンヌ・ダヴ―の会津への馬肉料理を食べる為の旅立ち
話の中で、「彼」という表現が為されていますが。
この辺り、私自身が色々と考え過ぎたこともあって、10年程前に投稿した初登場の小説「僕の人生の一番長い一日」(尚、題名から自明かもしれませんが、映画「日本のいちばん長い日」(2015年版)から著作しました)以来、前世では野村雄(ユーグ・ダヴー)という名付けをしていますが、現世では名付けをしない無名のままでいることから、「彼」と表記しているという裏事情があります。
初登場から10年以上経つ以上、いい加減名付けろ、と言われて当然ですが。
著者の私の悪癖から、下手に名付けると名前の由来に影響されそうで、無名のままにしています。
(実際に、妻(?)の名から、ユーグ・ダヴーと名付けた影響もあって、私の筆が奔った結果、「不敗のダヴ―」から「20世紀のダヴ―元帥」に、「彼」は別作でなりました)
その教訓もあって、「彼」と表記しています。
そんな会話を交わした後、土方鈴とジャンヌ・ダヴ―は軍務に懸命に励む傍らで、二人で示し合わせて二日連続の週末の休日を活用して、会津への一泊二日旅行を行うことにしたのだが。
(少なからずの背景説明を、この際にすれば。
この当時の土方鈴とジャンヌ・ダヴ―は、共に日本海兵隊の兵という立場だった。
(尚、ジャンヌ・ダヴ―という姓名から誤解されがちだが、ジャンヌ・ダヴ―は父がフランス人、母が日本人であることから、出生時は二重国籍で、18歳になった際に日本国籍を選択した身だった)
そして、この世界でも、流石に21世紀ともなれば、当直に当たっていない日本軍の将兵は、週休二日が与えられる時代になっていたのだ。
だから、土方鈴とジャンヌ・ダヴ―が休日を利用して、外泊許可を得て、会津に一泊二日の旅行を行うのは、表面上は全く問題ないと言えたのだが)
二人が会津への一泊二日旅行に出立するまでには、色々と手間取る事態が起きた。
まず、反対したのは、岸澪と村山愛の二人だった。
「何で二人だけで行くのよ。四人で言っても良いでしょう」
澪は喚くことになった。
澪にしてみれば、鈴とジャンヌの二人だけで自分の目が届かないところに行くとは、二人で何か企んでいるのでは、と勘繰らざるを得なかったのだ。
愛にしても、何処か勘繰るような態度を示した。
「異世界(?)で正妻になった御二人だけで、会津に行こうとは。何か企んでいませんか」
「何も企んでいないわよ。前世の故郷の会津の馬肉料理を、私が食べに行こう、としたら、ジャンヌが私も日本の馬肉料理を食べたい、と言ったから、一緒に行くことにしただけよ。貴方達も馬肉をわざわざ食べに行きたいの」
鈴は平然と二人に言い返した。
「御二人共にフランスに、私達と共に6年も留学されていたから、フランスでも馬肉料理が食べられていたのを知っているでしょう。
日本の馬肉料理を、本場の会津で食べたい、と私も考えただけです」
ジャンヌも、抜け抜けと二人に言った。
この二人の言葉に、澪も愛も再反論をし難かった。
澪も愛も、実は馬肉料理がそう好きな方ではない。
だから、馬肉料理を食べにわざわざ会津まで一緒に行くのか、と言われると黙るしか無かったのだ。
それに「彼」が付いていかない以上、妙なことを二人がすることも無いだろう。
其処までも、澪と愛は考えた末に矛を収めることになった。
そして、「彼」も何処か引っ掛かったような態度を、二人に執った。
「外泊許可を取得して、前世の故郷の会津に鈴が行きたい、それに合わせて前世の僕の故郷を、ジャンヌも訪ねたい。
それならば、鈴がジャンヌを案内しても良い、というのを、僕は止めかねるけど。
本当に何か裏は無いの?」
「彼」は、其処までのことを言った。
「本当に何も無いわよ。序でに、会津名物の馬肉料理を食べては来るけどね」
鈴は平然と言い放った。
「私も、日本の馬肉料理を、本場で食べたいだけですよ」
ジャンヌも、そう言った。
「唯、ジャンヌが外に出るのは」
「彼」は難しい顔をした。
ジャンヌは前世と同様に見事な体形の持ち主で、それこそ高級娼婦等になれば、生涯で自らの体重と同じ金を買えるだけの金を稼げそうな程だ。
実際に横須賀の街を一人でジャンヌが歩くと、金髪碧眼の持ち主ということも相まって、様々な男性、いや同性愛性癖のある女性からでさえ、何人にもすぐに交際を申し込まれる程なのだ。
「大丈夫、私が護衛するから」
鈴がジャンヌに援け船を出した。
実際、鈴は天然理心流の指南免許を持っている程の武芸の達人なのだ。
だから、鈴が護衛するのならば無問題といえるか。
結局、「彼」は鈴の説得もあり、ジャンヌと鈴の会津への旅に賛同した。
史実では天然理心流は衰亡していますが、この世界では土方歳三ら新撰組の主な面々が生き残って、日本海兵隊の中核の一つになったこともあり、天然理心流は21世紀でも古武道の流れの一つとして、確固たる地位を築いており、更に前世で自己鍛錬したこともあって、土方鈴は天然理心流の指南免許皆伝の身になっている、ということで平にお願いします。
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