五月十一日 公園の事件?
五月十一日 雨 昨日、公園で見た女の人のことを、誰にも話していない。話したら、きっと笑われると思ったからだ。でも、あの人が言った言葉が頭から離れない。
「やっと来てくれた」
どうして僕なんだろう。そんなことを考えていると、昼休み、クラスの佐藤が言った。
「そういえばさ、あの公園って知ってる?」
「帰り道の?」
僕がそう言うと、佐藤は少し声をひそめた。静かにだけど、しっかりした声だった
「昔さ、事件があったらしいよ」
「事件?」
「十年くらい前かな。女の子がいなくなったんだって」
僕の胸がドキッとした。それがすごくドキドキする。何か胸に染みつくような、気持ち。
「それで?」
「その子、最後に見られたのが、あの公園なんだってさ」
教室の窓の外では、雨が降っていた。「ポツ……ポツ……」静かな音だけが聞こえる。
「しかもさ……フフ……」
佐藤は少し笑いながら言った。ちょっと笑い話のようだった。それが、びっくりする話だった。
「夜になると、ブランコに女の幽霊が座ってるって噂」
僕は何も言えなかった。昨日見た女の人の顔が、頭に浮かぶ。長い髪。白い服。そして――
僕の名前を呼んだ声。放課後。僕はまた、公園の前に立っていた。
雨の中、ブランコがゆっくり揺れている。「キイ……キイ……」
そして、そのブランコには。やっぱり、あの女の人が座っていた。その人は、静かに僕を見て言った。
「高橋くん……」
そして、小さな声で続けた。それは、前の話と、つながっているようだったからだ。
「あの事件、まだ終わってないの」
「えっ……」
「まだ、男、逮捕されてないの」
「それ、本当?」
と、驚かされました。今日の話を聞いて、まだどこか苦しい気がする高橋くんだった。
「男見つけたら、戦うぞ!」




