四月二十一日 公園の女の子が気になる
四月 二十一日 くもり 昨日、公園で見た女の人のことが頭から離れない。ただの見間違いだったのかもしれない。
でも、あのとき確かに誰かがブランコに座っていた学校でも、ずっとそのことを考えていた。
授業もあまり集中できなかった。放課後になり、友達と別れて自転車に乗る。
家に帰るには、やっぱりあの公園を通らないといけない。正直、少し怖かった。
でも遠回りするのも変な気がして、僕はいつもの道を進んだ。
夕方の公園は昨日と同じように静かだった。ブランコは止まっている。誰もいない。
「やっぱり気のせいだったのかな」
そう思って通り過ぎようとしたそのとき。「キイ……」小さな音がした。
僕は振り向いた。ブランコが、ゆっくりと揺れていた風は吹いていない。
なのに。「キイ……キイ……」胸の奥が少し冷たくなる。そのときだった。
「……高橋くん」
後ろから、女の声が聞こえた。僕はびっくりして振り向いた。
誰もいない。でも確かに聞こえた。ちゃんとした声だった。
「高橋くん……」
今度は、もっとはっきり聞こえた。声は――ブランコのほうからだった。
恐る恐る近づく。そして、ブランコを見た。
そこにはやっぱり、昨日と同じ 白い服の女の人 が座っていた。
長い髪の隙間から、その人の目だけがこちらを見ている。そして静かに言った。優しさの声だけが。
静かに、した。それは、嬉しそうな、声。誰かは、知らないけど、何か優しさを、感じてしまうのは、なぜだろう。
「やっと来てくれた」
僕は何も言えなかった。どうしてこの人は、僕の名前を知っているんだろう?
とても怖かったが、多分何か繋がりが、あるのだろう。それには、僕の感情とドキドキもあるが、でも、何か心に、響くものがある。
「何であなたを知っているかわかる?」
「……」
「ここで、事件会ったの知ってる?」
「……えっ……?」
それのことは、全く知らない。なんのことか、さっぱりだ。僕は、何でこの人は何か、興味深い関係があるのかもしれなかった。
「高橋くんのことだよ、十年前……」
「えっ……、何のことかさっぱりだ」
十年前は小学生だ。そんな時なぜこの公園で、何かしたというのならば……。




