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悪役令嬢の中身の侍はシナリオを斬る  作者: あらたまのみこと


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第十八話:侍は強大な生物と対峙する

ズドオンッ――!!


腹の底を揺さぶる激しい重低音と共に、ビリビリとした凄まじい衝撃波が森全体を包み込んだ。 側近の三人娘はその場にへたり込み、悲鳴を上げて耳を塞ぐ。頭上の木々からは、大量の葉が嵐のように舞い落ちてきた。


「……今のはどこからだ!?」


「音は北側から聞こえましたね……! 崖が崩落したのかもしれません。少し見晴らしの良い高台へ移動しましょう!」


「承知した。お主ら、いつまでしゃがみ込んでいる! 動くぞ!」


俺たちは先行するカパルの後を急ぎ追った。 しばらく無言で森を駆け抜けると、少し開けた小高い丘の上にたどり着く。


「……やはり、北側の崖が崩れ落ちてやがる」


カパルが額に手をかざし、険しい顔で北の空を睨みつけている。俺も視線を向けると、森を遮るように聳え立っていた断崖絶壁の一部が惨絶に崩れ去っているのが見えた。


「待て、あれは……なんだ?」


崩落した崖の下は土砂が巻き上がって視界が遮られていたが、その土煙の奥で、異様に巨大な「何か」がのたうつように蠢いているのが見えた。


「ありゃありゃ! ヤバいっすよ、あれ多分『森土竜モリモグラ』だ! 亜竜ですぜ。崖の上から落ちやがったんだ!」

風が吹き抜け土煙が薄れると、その全貌が露わになった。 長い首、巨大な亀のごとき甲羅。……デカい。二階建ての建造物ほどもある巨躯だ。


その直後、パンッパンッ! と上空で赤い煙がふたつ破裂した。


「赤ふたつ……全員へ森からの緊急撤退を命じる信号弾です!」


続けて、パンッパンッパンッ! と今度は黄色い煙がみっつ上空で炸裂する。


「マジかよ……黄色みっつ!? 『注意信号』だ、なんかやる気だぞ!」


見れば、森土竜の西側の森林から、黄色い煙が猛烈な勢いで立ち上っていた。


「魔物避けの煙だ……! これはヤバい、今の風向きは北東……煙から逃げた魔物が全部こっちに流れてくるぞ!」


カパルは即座に背嚢から筒状の道具を取り出すと、空に向けて打ち上げた。先ほど目にした信号弾と同種のものだ。 筒から『赤ふたつ』『黄色みっつ』の煙が夜空へ舞い上がる。


「逃げますよ!」


カパルが振り返り、俺に叫ぶ。俺は深く首肯した。


「分かった! カパル、お主が先行して案内を務めよ! マリアンヌたちはお主らに続け! 決して振り返るな、俺が殿しんがりを務める!」


脇目で見れば、木々を押し潰しながら森土竜がこちらへ向かって巨躯を滑らせてくるのが確認できた。背中に感じる凄まじいプレッシャー。これがこの世界の『竜』の類いか。

茂みを踏み越えて駆け抜ける中、他のいくつかのグループと合流した。向こうから走ってきた冒険者がカパルへ叫ぶ。


「おいカパル、状況は掴めているのか!?」


森界もりさかいの壁の上から、森土竜が落っこちてきやがったんだ! そしたら中央の奴らが大量の魔物避けを炊きやがった! 風下にあたる俺たちの進路上に、パニックになった魔物が全部流れてきている!」


「マジかよ! あっちにはAランクの冒険者がついてるんだろ!?」


「王子様がご滞在だからな! 自分たちの安全を最優先に確保したかったんだろ。くそ垂れが!」


「なんてこった! 楽な小遣い稼ぎのはずだったのに!」


冒険者たちは走りながら怒声を交わし合っているが、その脚力は一切落ちていない。真にまずいのは、体力の皆無な一般の貴族どもだ。


「おい、どこまで逃げる気だ!? 貴族どもが長くだけ持ちこたえられんぞ!」


すでに喘ぎ声を上げ、今にも倒れそうな生徒が続出している。背後の威圧感で何かに追われていること自体は察していても、真の危機を理解していないからこそ諦めも早くなるのだ。


「少なくとも、俺たちのキャンプ地までは頑張ってもらわねぇと!」


「あのキャンプ地は周囲より高台にある! キャンプ地を囲むように魔物避けを炊けば、魔物の進路を東へ逸らせるはずだ……!」


そんな叫び合いの中、進行方向の木々の隙間から青い煙が上がった。


「他の連中も同意見のようです! 集合の合図だ!」


途中、足の止まった限界間近の男子生徒と女子生徒を一人ずつ、俺は修練中の『身体強化魔法』を全身に通わせ、両腕の小脇にガシッと抱え上げて本陣へと爆走した。 キャンプ地にたどり着き、地面に放り出すと、抱えられていた二人は泣きながら感謝を述べてきたが……周囲の貴族たちからはまるで『化け物』でも見るような畏怖の眼差しを向けられてしまった。


……ふん、鍛え方が違うのだよ、鍛え方が。


貴族たちが泥のようにへたり込む中、冒険者たちはカパルを中心にテキパキと陣を組み直していた。魔物避けの筒を並べ、燃え上がるタイミングを待つ。


「小型の魔物の群れが来ます!」


木の頂上に登っていた斥候から叫び声が飛ぶ。


「煙を炊けぇっ!」


カパルの号令一閃、モウモウと濃煙が立ち上る。


「群れの進路変更を確認! やったぞ!逸れた!」


斥候の報告に、冒険者たちが安絶の息を漏らした。遠巻きに見ていた貴族たちも、ホッと胸を撫でおろして腰を抜かしている。


――だが。


「……待て! 森土竜の進路が変わらねぇ! こっちに一直線に突っ込んでくるぞ!!」


絶望に満ちた悲鳴が響き渡った。 煙を突き破り、鬱蒼とした木々を薙ぎ倒しながら、あの巨大な森土竜がヌッと姿を現したのだ。

そして――その血走った巨目が、まっすぐに俺と交錯した。


(……なるほどな。ゲームの『呪い』とやらは、俺を殺しに来たか)


爬虫類の如き頭部、亀のような甲羅、掘削機のような前脚。二階建ての家屋を遥かに上回る異形の巨獣が、地響きを立てて迫りくる。


「くそっ! 貴族様を下がらせろ! 近づくな、首が伸びるぞ! 遠距離から威嚇しろ! Aランクが駆けつけるまで持ち堪えるんだ!」


冒険者たちが命懸けで前衛の配置につく。


「お嬢! あんたも早く下がってくれ!」


カパルが叫ぶが、俺はそれを右手で静かに制すると、腰のサーベルの柄に手をかけ――スラリと真銀の刃を抜き放った。


「ふはは、いままで様々な敵と相対したが、これはこれは、なんともまぁ強大な敵であるか…。さて、俺は、素戔嗚雨や大和武尊に名を連ねる大剣神か、はたまた露と消えるのか…」


カパルが、ぎょっとした顔で俺を見るが、知ったことか。


俺は震えている。血がマグマのように燃えたぎり、敵への殺気が湧き上がり、闘志が奮い立つ。こやつは敵だ。俺を殺しに来た。ならば仕合おうぞ。


「榊原直之。いざ参る」


評価・レビュー等は受け付けておりますが、返信できない場合が多いので、ご承知おきくださいmm


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AI利用状況設定については、設定にて「補助的利用(アイデア出し・資料調査・誤字脱字のスペルチェックなど、補助的な利用)」にチェックして投稿しています。

補助的利用については、「この設定は公開されません。※ただし、コンテストに参加されている場合や、商業化等で作品へのお問い合わせがあった場合など、関係する企業に伝達することがあります」

とのことなので、AIラベルは表示されていないようです。

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本作はAI(Gemini)を利用し、作者が文章を書き→AIに校正を行ってもらい→それを再度見直し、修正・削除を行っています。

基本お話は完全に手作りですが、描写等のもサポートしてもらっています。

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