↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢の中身の侍はシナリオを斬る  作者: あらたまのみこと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/26

第十四話:侍は暴漢を叩き潰し真実に近づく

この不気味な『呪い』を断ち切る足がかりは、ひとつの事件であった。

相変わらず居心地の悪さは最悪であったが、学園生活そのものは続いていく。


俺は授業へ向かうため、侍女のマリー、そして側近のマリアンヌ、カリス、アーリサを伴って校舎内を移動していた。 最近は他の生徒――特にカレン嬢らと鉢合わせするとロクなことにならないため、普段は人が通らぬような裏道の経路を利用するようにしていたのだ。


そんな人気のない通路へ差し掛かった時、曲がり角の向こうから複数の男たちの話し声が耳に届いた。俺は静かに足を止めた。彼らが、実に興味深い会話を繰り広げていたからだ。


「最近、王太子殿下とカレン嬢のご活躍は素晴らしいな」


「お前の本当の狙いはカレン嬢だろう? 可哀想で努力家で、なんだか男として守ってやりたくなるよな」

「わかるぜ。王太子殿下も本当にお目が高い。あのお高く留まった婚約者候補どもなんて、血の通っていない冷血漢ばかりだからな」


「おい……相手は高位貴族だぞ。滅多なことを言うもんじゃない」


「なんだよ、ビビるなよ。誰も聞いちゃいないさ。それに、あのエバーランド家のアンジェリカなんて、カレン嬢へ直接嫌がらせまでしているって話だぞ。高慢ちきな高位貴族のくせに、自分が王太子殿下に相手にされないからって嫌がらせか? 人間としてどうなんだってーの」


エバーランド家とアンジェリカの名が出た瞬間、憤慨したマリーが前に出ようとしたが、俺は手で静かに制した。そして小声で命じる。


「実際に、俺が世間からどのように見られているのかを検分したい。静観せよ」


マリーは唇を噛み締めながら一歩下がり、代わりにマリアンヌが俺の耳元で囁いた。


「騎士科の生徒たちのようです。……一人、ミルレット家ゆかりの者が混ざっておりますわ」


俺は小さく頷き、そのまま会話の続きに耳を澄ませた。


「嫌がらせも相当酷いらしいぜ。廊下で足を引っ掛けて転ばせて、高笑いしたそうだ」


「教科書を目の前で破り捨てて、『下賤な女に学問など不要』と笑い飛ばしたんだとか」


「グループワークで意見を出したら、鼻で笑って握り潰したらしいぞ」


「まったく底意地が悪いぜ。性格の悪さがそのまま顔に滲み出てるよな」


「おい……本当にやめろって! 誰かに聞かれたら大変なことになるぞ!」


「なんだよお前、カレン嬢よりもあのアンジェリカを庇うのか?」


「そういえば、こいつはミルレット家の縁者だったな。まさか向こうに告げ口でもする気か?」


「はッ! ミルレット家のお嬢様はアンジェリカに夢中だって話だしな、貴様も同類か?」


「何を言っているんだ! そもそもお前たちの言っていることには何の確証もないだろう! 本人たちの行いを自分の目で確かめたわけでもないのに――」


「うるせえんだよ!!」


鈍い衝撃音が響き渡った。反論した仲間へ、容赦なく暴力を振るったらしい。


「……こいつ、ついでに黙らせちまわないか?」


「ああ、そうだな。カレン嬢の敵だ」


ふぅ、と俺は小さく息を吐き出した。 どうやら、単なる陰口や噂話の域を超え始めておるようだ。 マリーと側近たちに「そのまま待機しておれ」と短く告げると、俺は角を曲がり、騎士たちの前に悠々と姿を現した。


「お前たち……随分と好き勝手に吠えてくれたな。言いたいことがあるなら、影でコソコソやらんと本人の前で言ったらどうだ。見下げ果てた卑怯者どもめ」


「なっ……アンジェリカ!?」


騎士科の生徒は五人。うち一人は床に倒れ込んで押さえ込まれている。こいつがミルレット家の縁者か。


「ほうほう。未来の王国を背負う騎士候補とは、格上の高位貴族を呼び捨てにするマナーでも教わるのか? どこの講師から教育を受けたのか、ぜひ後学のために教えてほしいものだな」


俺が蔑むように告げると、騎士どもは屈辱と激怒に顔を歪めた。その瞳には不自然なほどギラギラとした憎悪が宿り、明確な殺意すら放ち始めている。


「なんだ、急に口もきけなくなったのか? さっきまでの威勢はどこへ行った? 影で悪口を叩くだけならず、騎士のくせに腕っぷしより口を動かす方が得意かと思えば、本人が出張ってきたら借りてきた猫のようになる。……実に傑作だな」


「ぐッ……この女……!」


「ん? 何か言ったか? 声が小さくて聞こえんな。……お主ら、本当に男か? おっとすまんすまん、俺が男の格好をしているから、お前たちも『男の服を着たお嬢様方』だとは気づかなかった。これは失礼いたしました、お嬢様方」


俺が横柄に優雅な一礼をしてみせると、頭に血が上った男たちの怒りはついに沸点へ達した。


「言わせておけば……この野郎!! やっちまえッ!」


「――阿呆共が」


俺は一瞬で殺気を解き放ち、鋭い怒号で威圧すると、襲いかかってきた見習い騎士どもを文字通り「仕留め」にかかった。


最初に向かってきた男の突きの腕を取り、手首を返して遠心力で引き回しながら足を掛けて崩す。倒れ込んだ男に二人目と三人目が巻き込まれてつまずいた瞬間、こちらへ倒れ込んできた男の顔面へ容赦ない膝蹴りを叩き込んだ。


膝蹴りの勢いをそのまま殺さず、倒れた二人を跳び越えると、呆然と立っていた四人目の懐へ一瞬で潜り込み、下から掌底で顎を突き上げる。 振り向きざま、這い上がろうとしていた三人目の首筋へ鋭い回し蹴りを叩き込んで沈めた。


最後に、膝をついてあっけにとられていた四人目の首元を掴み上げると、奴は両手で俺の腕を外そうとしがみついてきた。そのガラ空きになった無防備な顎へ、短い拳を正確に叩き込む。


……ほんの数瞬の出来事であった。

意識を保っているのは、顔面を潰されて鼻血まみれになった男ただ一人。残る三人は地面に転がって気絶している。 鼻を押さえ、血と涙でぐしゃぐしゃになった顔でこちらを見上げる男の瞳には、先ほどまでの異常な憎悪は消え去り、純粋な『恐怖』だけが浮かんでいた。


「おい。そこで腰を抜かしておるミルレット家の縁者よ」


「あ……はい! 申し訳ございません!」


「何に対しての謝罪だ?」


「あ、貴方様に対する不敬な暴言を止められなかったこと……そして、彼らが貴方様に拳を向けた時、動けなかったことです! 騎士として失格であります!」


ミルレット家の男は、床に額を擦り付けて土下座し、声を震わせた。


「まあ良い。……こ奴らは、普段からこのような狂態(きょうたい)を晒しておったのか?」


「いえ! そんなことはありません! 少し調子に乗りやすいところはありますが、騎士の誇りを持った気さくな奴らで……高位貴族様への誹謗中傷など、今まで一度たりとも……!」


ふむ……やはり、アンジェリカという存在が近づいたことで、呪いが暴発したか。


「おい。そこで鼻血を垂らしているお前」


ビクッと身体を強張らせ、血を流す男が涙目で俺を見上げた。


「は、はい……何でしょうか……」


「なぜ、俺の誹謗中傷を口にしていた? お主は本当に、俺がいじめなどという小細工をしていたと思っていたのか? 正直に吐け」


「い、いえ……あの、噂で聞いたことしかありませんし、エバーランド公爵令嬢にお会いするのも今日が初めてでございます……」


「ならば何ゆえ、あのような場所でギラギラとした凄まじい憎悪を抱き、俺を糾弾していたのだ?」


「い、いえ……自分でも、よく分からなくて……! なぜあんな酷いことを口にしてしまったのか……なぜ、公爵令嬢様に手を上げてしまったのか……!」


そう言って、騎士はボロボロと涙をこぼし始めた。


「終わりだ……誇りある騎士を目指していたのに……公爵家のお方に暴力を振るうなんて……実家になんとお詫びをすれば……」


後悔と絶望に苛まれ、声を上げて咽び泣く男を見下ろし、俺は深々と溜め息を吐いた。


「……そこの気を失っている三人も叩き起こせ。同じように取調べを行う」


その後、目を覚ました残りの男たちからも順に問い質したが、全員が自分たちの取った異常な行動と破滅的な過ちに気づき、青ざめて自責の念に打ちひしがれた。


間違いない。彼ら自身の意思ではなく――何らかの意図によって精神を狂わされた『洗脳』に近い状態だったのだ。


評価・レビュー等は受け付けておりますが、返信できない場合が多いので、ご承知おきくださいmm


----

AI利用状況設定については、設定にて「補助的利用(アイデア出し・資料調査・誤字脱字のスペルチェックなど、補助的な利用)」にチェックして投稿しています。

補助的利用については、「この設定は公開されません。※ただし、コンテストに参加されている場合や、商業化等で作品へのお問い合わせがあった場合など、関係する企業に伝達することがあります」

とのことなので、AIラベルは表示されていないようです。

----

本作はAI(Gemini)を利用し、作者が文章を書き→AIに校正を行ってもらい→それを再度見直し、修正・削除を行っています。

基本お話は完全に手作りですが、描写等のもサポートしてもらっています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。