ぶたしゃぶ野菜ぶっかけUDON さーしーえー
さしえ祭りだったりするんだぜ。
(●´ω`●)+
「あらぁ〜〜♪ プライスくん?
もちろん、シメといたわよぉ〜〜♪」
小麦粉が欠品してるからといって、
UDONを大量発注してはいけない。
食堂の現おかみに、ボコられるからである。
「……こ、こわい」
「……え、母さん、ものの例え──だよね?」
「うふふふふ〜〜♪」
背景の父さんが、
何ともいえない表情で頷いている。
……やっちまったな、プライス君。
「……そのうさ公を、今のソーラに近づけねぇほうがいいぜ……。プライスのアホのせいで、オーク肉しか仕入てれねぇんだ。ラビット様は、サバかれかねねぇ……」
「にょほぉぉぉ……」
というわけで。
『 カーディフいちの味自慢! キティラ食堂 』
うどんフェア、開催中です。
「えっ、鶏肉もないの!? オークだけ!? うそぉ……」
「お義母様、私、野菜きざみます」
おっそろしい事に、
肉がオークもんしかないので、
フライ系のメニューが大打撃を受けている。
けっこう危機のような気もする。
「いや、実はだなぁ……経営自体は黒字なんだよ」
この1ヶ月の我が実家の主戦力は、
『ぶたしゃぶ野菜ぶっかけUDON』であるらしい。
"こ、これってラワムギ粉でできてるんですよね……?"
そう問屋さんに確認し、
プライス君は、大量のUDONを仕入れた。
アホである。
金銭的な問題で、
肉類はオーク系しか仕入れられなくなった。
困った父さんと母さんは、
大量のうどんをやっつけるため、
茹でる練習をして、すぐに体得。
具は野菜とオーク肉しかないので、
残ったなけなしの仕入れ料で、氷の魔石を追加。
茹でたオーク肉と、冷水に通した千切り野菜を盛り、
色々ぶっかけて試食した結果、
「ぽんず」がイチバン相性がよいという結論に。
かなりのフライもんメニューは提供できなくなったが、
なんとこの、ぶたしゃぶ野菜ぶっかけUDONが大ヒット。
さっぱりしていて食べやすい! と、常連さんも納得。
野菜をたくさん食べたい女性のお客さんも増えたとか。
小分け用のお皿をつけると、親子づれさんにも普及。
盛り付けも簡単で、作業もラクとのこと。
マイスナは元々、冷しゃぶサラダが好きなので、
食べさせてみたところ──・・・、
──ずずずずず──……、……!
「無敵」
「それほどか」
ちな、この「ぽんず」も、
元はプライス君の誤発注が原因で、
キティラ食堂に舞い込んだ調味料の1つである。
ほんとにアイツは……。
また、人気看板メニューが、
強制排出されたようね……。
「すげぇ人気なんだよ、ウドン……。え? プライス? あいつぁ今は、ラワムギ粉の仕入れ先を探す旅に出てるぜ?」
実家が、知らん間にうどん屋になるのは複雑なので、
プライス君には頑張って欲しい所である……。
「にょ、にょきっとぉ!」
「……うん。アンタはゼッタイ厨房に入んな。ホールお願い」
「にょきっとな!」
ぴょ──ん……!
言ってから、しまったと思ったが、
厨房から外を覗いてみると、
うさ丸はどうやら、ちゃんとお冷を配っているようである。
カンクルは空のお皿の回収任務にあたっている。
両方とも、子供に超・大人気。
「「……」」
今のポソッとしたセリフは、
母さんのものでは無いと信じたい。
「にょきっとなぁ──!!」
「くゆくゆくゆくゆ……!」
「ソーラ、次の麺、あがったぞ」
「はーい♪ やっと始末できそうねぇ〜〜♪」
「か、母さん、言い方が怖いよ……」
「私、夜ごはんこれがいいです」
「あらぁ〜〜♪ 良い子ねぇ〜〜♪♪♪」
嵐のような夏の日が過ぎていった。
うどん祭りが終わり、食卓。
家族団欒のキティラ家である。
「もぉ〜〜、たいへんだったのよぉう。毎朝毎朝、つきたてのウドンが運ばれてくるの。どうしようかと思ったわぁ」
「久しぶりにソーラの炎武を見たぜ……はっはっはっはっは!」
母さんの炎武って何。
「ずずずずず──……むみむみパリパリ」
「あらーマイちゃん、やっぱりお箸の使い方、上手ねぇ〜〜♪」
二杯目である。
「……で、アンちゃん? 冒険者、どーぅ?」
「えっ!?」
急に、話を振られても……!?
「ど、どうって……た、楽しいよ? 色んな人に、色んな物を届けたり……色んな人と、仲良くなるし……」
「まぁ……! そう! 楽しそうで、よかったわぁ!」
「届けるってぇと、どんなモンがあるんだ?」
「え、そ、そうね……虫網1000本とか……」
「「 虫網1000本!? 」」
色々と、話のタネは尽きないけれど。
中には、言うに言えないモンもある……。
まさか自分たちの娘が、
王女サマに、誕プレあげたとは思うまい──……。
「世界にはね、たくさんの人がいるんだよ」
マイスナが言った。
「届け物にはね、ひとつひとつに物語があるんだよ。みんな、物だけじゃ、ないんだ」
ちょっと不思議な言い方に、
でも、私たちは聞き入った。
「そぅ……。ふたりは、同じ所に住んでるのよね? マイちゃん、アンティはどう? ちゃんとしてる?」
「ご飯が凄く美味しい。一緒につくるんだよ。でも、キャベツの量はおかしい」
「あっ、あれくらい、フツウだって……!」
「ふふふふふっ♪」
「はっはっはっはっは!」
父さんと母さんは、終始笑顔だった。
「な、なぁ……今日の金さじ、見たかよ……?」
「もちろん見たさ……テスト来てたな」
「おかしい、な、なんだ、この気持ちは……」
「いやぁああああ!! あれはすごいよっ……!?
すっごい! 可愛くなってたよねっ!? ねっ!?」
「俺の中の金さじ像が、どんどん崩れてくんだけど……」
「どっちかというとさ、ボーイッシュだったのにね……」
「いやっ、髪型とかはさ!
今日はその、昔のままだったじゃん……なのに」
「……わかる。なんか、ぜんぜん違ったよな……!」
「つーか、丸見えのワキがエロすぎた……」
「やらしー」
「誰か、この変態だまらせて」
「あのゴッツイ靴が、サンダルになっただけなのによォ!?
何なんだよ、アイツよぉ……どうしちまったんだよ……」
「実はオレさ……テストの後、食堂行ったんだ」
「あ、同じく」
「わ、私もです。うどん、美味しかったですよ」
「さっ、さそえよ!!」
「ほんとにね!! そこは同意!!!」
「そんでよ……あの銀髪の子も、厨房で働いててな……?」
「そ、そうなの!?」
「オレ、わかった……。あの二人、
そろうと破壊力がやべぇ……」
「ああ、わかります……金と銀って、反則ですよね……」
「わかるの!? アンタらなんなの!?」
「ちらっとな……厨房の二人と、目が合ったんだよ……」
「あ、あの時ですね?」
「ちょっと待って、あんた達。それデートじゃないの?」
「そんでよ、そん時たまたま、
金さじが髪を、ほどいててよ──」
「スルーやめて。うどんデートでしょ? ねぇ?」
「本当に、一瞬だったけどよ、ダブルで────…… 」
( ん──……? )
( クス──…… )
「"息を飲む美しさ"って、ああいうのですよね……」
「うーん……だよなぁ……」
「いや……あんた達、付き合ってんの? ねぇ!?」
「ぐおああ! 一年前の俺は、何をしてたんだあぁぁ!」
「うわっ!? ビックリした……!
何って……追いかけっこでしょ。金さじちゃんと」
「あいつが……あ、あいつが金さじだと……?」
「ちょっと、どうしちゃったのよ、コイツ……」
「いや、気持ちはわかるんだよ。
あの変化は……オレたちには受け入れ難いぜ……」
「女子力、完全に負けまくってました……」
「私に秘密で彼氏つくってんのにか」
「ちなみにテストの時とは違う服だったぜ?」
「ぐおあああああ!! 見てぇぇぇぇ!!!」
「うっ、うるさっ……!」
「あと、ラビットがお水、入れてくれたぜ……?」
「「食材がッッ──!?」」
「そういえば、あそこ、
白玉肉のメニューもありましたよね……?」
「あっ……」
「な、なによ」
「考えたらさ……金さじと銀髪ちゃんの、
手料理が食えるってことだよな……?」
「こいつ……」
「いや、その通りですよ」
「なんでカバー!?」
「うどん食いに行こうぜ!!!」
「最近かなり、みんな通いだしたよなぁ」
こんなの書いてるから、
話が進まないんだぜ。
(●´ω`●)+










