プライス君は、プライスレス。
まさかのプライス君回です(笑)((´∀`*))
──朝ぁ。
「あのね、アンティ……大事な話があるの」
「……なぁに?」
……なんだろう。
「アンティのおっぱいは、
おおきっぱいじゃないけど、
ちっぱいでもないんだよ」
「ほぉ」
「ほどよいおおきさなんだよ」
「このくちか」
「ふにーっ」
人をムダに緊張させんな。
「びっぱい」
「口を強制的に塞がれてぇか」
「どうぞ」
あとで覚えてろ。
ドニオスに行ってからは、
たまにお寝坊するようになったけど、
不思議かな、実家にいると、
いつもの仕込みの時間に起きてしまう。
眠っている勇者とくゆくゆを残し、
マイスナと仕込みの手伝いをするべく、
一階の厨房に向かう。
お風呂はOK。
食材には、綺麗になった身体でさわるべき。
ウチの家訓だ。
「──えっ、こんだけ!? こんだけでいいの?」
「ああ、終わりだ! あんがとよ!」
「いや……野菜、きざんだだけじゃん……??」
今まで生きてきた中で、
いちばんシンプルな下ごしらえに、
非常にビックリする。
う、ううーん。
まぁ、食材自体が限られてるかんなぁ……。
父さんは、お客さん用のおかずから、
朝ごはんをチョットつまんでいる。
厨房の少しだけ離れた所で、
母さんとマイスナが、
オーク肉の下ごしらえをしていた。
「いーい? マイちゃん、オーク肉で冷やしゃぶする時には、茹で方と冷やし方にコツがあるのよ。塩をいれて沸騰させたお湯に、茹でる直前に少しお酒を入れてね……? こう……こうね? これが一番くさみがなくなって……冷やす時は、ざるにあげて扇ぐか、冷水の時はこっちにも塩を入れて……」
「ふむふむ、うんうん……!」
私の憧れの人も、
順調に食堂娘属性になりつつあるようだ。
「こんな簡単な朝、初めてだわ……。プライス君ったら、まったくもぉ……」
定期的に、何かしらヘタこいてる気がする……。
父さんらも、何故クビにしないのか……?
不思議でならないんだけども……。
「いやー、それがよぉ……。プライスがヤラかした時は、基本的には、大黒字なんだよ」
「──え"っ!? そッ、そうなのッッ!?」
昔、大損ぶっこいてると思ってたんだけどっ!?
「あ──……、おまえも稼ぐようになったから、言うんだけどよ……」
「う、うん……?」
父さんは、ちょっと小声になり、
腕を組み、体を丸めて、顔を寄せてくる。
「プライスが居なかったらよ……おまえの学費、払うの難しい時もあったんだぜ?」
「そっ!? そうなのォオ──ッッ!?」
母さんとマイスナが、
チラッとこっちを見たような。
「ほれ、このノート見な……ここが、去年の今頃の売上な?」
「お、う、うん……」
「んで、これが今月の売り上げ」
「 ち ょ 」
ば い い じ ょ う じ ゃ ね ぇ か 。
「う"そ"ぉ……」
「ほら、アイツが間違える時ってよ……アホみたいな量、頼むだろ? じゃあ卸しのヤツらがよ、『こんな買ってくれるんなら、安く負けとくよっ!』って、値引きしてくれんだよ。見ろ、この原価──」
「ぅ、う"っそ"ぉぉ……」
「差額これな」
「お"」
こんなん、かけ算したら超・凄い額ですやん……。
「オレもソーラも、まさか大口割引があるたぁ、夢にも思ってない時代があってよ……。んで、プライスがヤラかした行商人はな、だぁ──いたい、次から適量発注しても「おお! アンタんとこか! 安くしといてやるよ!」って、値引いてくれんだよ……」
「な、なにそれ!? 超おトクじゃーん!!!」
「しかも、アイツの顔なじみの卸し商人んトコは、ひとつやふたつじゃねぇぞ……? アイツがヤラかした回数、考えてみろ?」
「つ、つまり……!」
プライス君が仕入れをすると、
めっっっちゃくちゃ、食材費が、
安く、あがるのか……!
「そ、そんな凄いコトがっ……!?」
「それによォ、アイツがたまに間違えて入れる調味料のせいでよォ……オレたちゃ、ここいらで一番、外国の調味料に知識があるだろ?」
「た、たしかに!!」
ドレッシングが七種類もある食堂とか、
他にないよね!!
「メニューも、まったくマンネリ化しないしよォー……。"チキンなんばぁわーん定食"とか、爆発的ヒットだろ?」
「た、たしかにッッ……!!!」
揚げ物を甘酢にワザワザぶっ込むなんて店は、
ここいらでは、確実にウチだけですわ。
「かと思ったら、間違って鳥肉ばっか、大量入荷させやがるしよォー……。仕方ねぇから街祭りで場所借りて、"セブンスフェイス・バード丸焼き"やったら、おまえ……」
「あ、あったねぇ、そんなことも……! あれ、最初に見た時、全部売れるとは思わなかったもの……」
「甘酸っぱいタレがパンチ効いてたしなァ。これ、あの時の利益」
「──こっ、こんなに稼いでたのっ──ッッ!?!?!?」
私のひと月のお給金の、5倍くらいやんけ……。
「ソーラも俺もよぉ、最初は怒り狂うけどよ……。実は、楽しみにしてるトコがあんのよ……!」
「し、知らなかった……プライス君が、こんな稼ぎ頭だったなんて……!」
プライス・レスフード、19歳、(男)
お、おそるべしっ……!!!
「たまに本当に心労にくるけどな……ほんとな……。ウドンとラワムギ粉ってなんだよ……代用、効くわけねぇだろが……」
「ははは……」
「ま、娘に変な色目を使わねぇのも、ポイント高いよな」
4歳年上のバイトさんに、
"お嬢"って呼ばれる私である。
「ぜったいギャングみたいに思われてるのよ」
「バッカちげぇよ、もし、おまえがこの店継いだら、アンティ店長の誕生だろ?」
「わ、私の部下になるつもりなの……?」
心構えが早すぎる……。
「はっはっは! てーわけで、実は俺もソーラも、アイツを仕入れから外す気も、クビにする気もサラサラねーんだわ」
「そ、そうだったの……」
これが本当の話だとしたら、
ある意味プライス君は、
ウチの守護神的な、アレじゃないのよ……。
「いやー、今年の初夏は、仕込みだけならずいぶん手間が省けたしなぁー……朝がこんなにゆっくりできる夏は、俺ぁー初めてだよ!」
「でしょうねぇ……」
「……俺、アイツはなんかの神様の加護でもついてんじゃねぇかと思ってんだ。そうじゃないと、これまでの事が説明できねぇ」
「ま、まっさかぁー……」
「ぁ、ぁのぉ──……。ら、ラワムギ粉って、
取り扱ってますかね……」
「ん……? ──おぉ!! アンタかっ!!
いや──ぁ、待ってたよ!!
ラワムギ粉ね!! あるよ!!
そろそろ来るかと思ってよ!!
デカい注文が他から入ったんだけどよ!!
止めといてやったんだよ!! 」
「あー……、それは……ありがとうございます……」
「いやっ、いーんだって!!
アンタんとこほど、
気持ちのいい買い方してくれるトコぁ、
他にはねーからよお!!」
「えっ……と。じ、じゃあ、ラワムギ粉を……」
「おぉお……、そうだ!!
これ、ウチの新商品なんだ、どうだぃ!?」
「え……? この、赤いの、ですか……?」
「──ああ!! 紅色小エビの干したヤツなんだ!
日持ちするぜ!?」
「しゅりんぷ、ですか……」
「ちょっと、食べてみな!!」
「え? は、はぁ……。……。
……色がキレイですね。
パリッ、モグモグ……。
あ、美味しいですね……」
「おぉ、そうだろぉ!!
どうだぃ!! 今なら、たんまりあるぜぇ!?」
「あ、いや……でも、ラワムギ粉をこれだけ買ったら、
残りは、これくらいしか残らないので……」
「ん? どれくらいだぃ。
んおっ! こ、これは、カラいねぇ……」
「お金足りませんし、今回はいいです……」
「むむっ……!」
──────────────────────
────PON!▼
プラ材ス・価スフードは交渉を終了し──:
────エラーが発生しました!▼
※名称の何らかの概念が
スキル言語と重複しています▼
固有名を 変更してください▼
NPCの名称変更は
機能的に誘発できません▼
変換中・・・▼
変換中・・・▼
──誤変換されました!▼
── "食材・不等価交換" ── は
交渉を終了し───PONっ!▼
─ ─ ─スキル効果が発動します!▼
──────────────────────
「──いやっ! いいよ!!
あんたんトコには、
何度も苦しい時に助けてもらってんだ!!
そこのひと袋、もってきな!!」
「えっ……、で、でも、
これ買っちゃうと、ラワムギ粉が……」
「あぁ、ああ! その分、値引いとくから!
そん代わり、次も頼むよ!」
「えっ…………じゃ、じゃあ貰おうかな……。
あっ、でも……こ、こんな大きな袋まで、
運べませんし……」
「ん!? それもそうだなぁ──おっ!?
おーい!! 頭領! ちょうどいい所に!」
「──ぉ、なんでぇなんでぇ、
こちとら連日の外周工事で疲れて……──ぬおっ!!
食堂んトコのお手伝いくんじゃねぇか!!
いやぁ、ウドン、今日も食いにいくぜ!?
ありゃ最高だな!! ツルッと食えるからよ!!」
「あ、どうも……」
「──頭領!! キティラ食堂に行くんならよ、
そこのひと袋、持ってっておくれよ!」
「ぁあん? なんでぇこの紅いのは……?
曲がりに曲がってやがる!」
「い、いや、悪いですよ……」
「なぁに!! いつも担いでる木材にくらべりゃ、
軽いもんよ! そんかわり、
タダってワケにゃいかねぇな……」
「い、いくらですか……」
「かっは! 今度、おめぇんとこの食堂で、
大工職人限定のなんかやってくれよ!
例の山火事で、ちっと街が拡がるだろぉ?
今が、ふんばり時なんだがよォ!
夏バテにやられかかってる仕事仲間に、
リキ入れてやりてぇのよ!!」
「あー…………はい。
じゃ、おかみと大将に話してみます……」
「かっはホントか!? 言ってみるもんだなァ!!
仲間内には話、まわしとくぜ!!
楽しみにしてるよ!! どっ、こい、しょ!!」
「はぁ……。あ、どうも……!」
「かぁるい、かるい!! おら、行った行った!!」
「まいどありぃ! また頼むよ!」
「あ、じゃあお金……ありがとうございます」
約束されしバズ黒字。(;´༎ຶٹ༎ຶ`).*・゜










