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ある部屋で。

連投なので前話 読み逃し注意です!

短いよー((´∀`*))



〘#……オウノカネトキ。二人で話がしたい〙

『>>>……!』


 先生が、ぼくを名指しした。

 皆は空気を読んで、何も言わずにいてくれた。


『────:……。』


 居間から、出る。




 渡りを歩きながら、銀の髪が揺れる背中を見る。

 相変わらず、でっけぇ背中だなぁ……。

 だいたい何の話か予想できていたぼくは、

 大きく寂しそうな背中に語りかけた。


『>>>なぁ、先生……』

〘#…………〙


 無言で、ついて行くしかなかった。



 空き部屋の障子を閉めた瞬間、先生は土下座した。


〘#すまなかった……!〙

『>>>──よしてくれって!!』


 起き上がって貰おうとしたが、大きな体は持ち上がらなかった。


〘#私がした事は、人の恥だ……!〙

『>>>違うだろ!! あの時は……ああするしか、なかった! 他に、誰が止めた!? 他に、頼むべき人なんて、いなかっただろぅっ!?』

〘#私は……二人も、お前に殺させた〙

『>>>……、……』


 ぼくは、畳に落ちるように座った。


『>>>……もっとだ』

〘#……!!〙

『>>>生きるために……かなり殺した。戸橋(とばし)を……"デス"を殺してから、先生を殺すまで……』

〘#…………すまなぃ………………〙


 あんなに強い人が、小さく、小さく、謝る。

 そうじゃない。ぼくは言った。


『>>>……違うよ。絵本の話を少ししたろ? 義賊……いいや、ぼくは盗賊だったんだ……まったく褒められた人間じゃない。お陰でほら、罰として……死んでしまった』

〘#そんなことはない……〙

『>>>あは、ぼくがどれだけ殺したか、あなたは知らない。でも、色々と考える時間もあったよ……』

〘#カネトキ……〙

『>>>──わかった! 許す、許します! 頭をあげてくれ、先生! こんなのは、もう勘弁だ! みんなに気を使わせちまっていけない!』

〘#…………すまん〙


 ゆっくりと、白衣は持ち上がったが、

 先生はまだ立ち上がらず、足を崩して座る。

 ぼくもそのまま座っていた。


〘#……記憶が、途切れ途切れ、なのだ……〙

『>>>無理もないよ……。ロザリアはあなたの完全な復活に失敗した。正気を失いながら、先生は西へ旅をしていたんだ』

〘#ロザリア……!? 今、ロザリアと言ったのか?〙

『>>>ああ……先生を生き返らせたのは、あの王女様だよ……。あいつはアンデッドになっていて、少しだけ一緒に旅をしたんだ……』

〘#……!!〙

『>>>あいつは……悔いていたよ、ずっと……』

〘#…………そぅ、だったか……〙

『>>>……、ああ……』


 沈黙。

 薄暗い、落ち着いた雰囲気の、和室。


〘#……この場所には〙

『>>>?』

〘#酒は、あるのか?〙

『>>>え、ぇえ? あ、や、あると思う、けど……』


 確か箱庭の料理に使われていたはずだから、

 誰かの"思い出の中のお酒"が、

 この箱庭のどこかで、ドロップしているはずだ。


〘#今度、一緒に飲むか……。ふふ、死んでからこんな事になるなど、予想もしないな〙

『>>>は、はは……。全くだよ……』

〘#ふふふ、くくくく……〙

『>>>あはは、ははは……』


 静かに、笑い合う。

 乾いた、だが、心を取り戻した笑いだ。


『>>>はぁ……その、さ。つらい話かもしれないけど、その時には……昔に起こった事、先生に話すよ……』

〘#……! あぁ、あぁ……頼む〙


 先生は、何度も頷いた。


〘#ところで……〙

『>>>?』

〘#その障子の向こうの彼女は、君の"いい人"なのか?〙

『>>>!? っ────』


 ────タンッ!


 障子を一気にあけると、クラウンちゃんがいた。


『────:……っ!』

『>>>……、きみってやつは』

『────:すみません……。』


 ……。

 まるで悪い気はしなかった。

 ぼくを心配して来てくれたのは、明白だ。

 他の人なら、ちょっと怒ったかもしれない。


〘#ふ……、で? どうなのかね……?〙

『>>>む!』


 先生ぇ……さっきまでの殊勝な態度から一転、

 えらく煽ってくるじゃあないか……!

 ちぇ……! 男は度胸だ……!


『>>>──そうですよッッ!!!』

『────:……!?。』

〘#ほぉ、う……?〙


 言い切ってやった。


〘#ふ……酒の席で話すことが、増えたようだ……〙


 先生はゆっくりと立ち上がり、

 すれ違いざまに、ぼくの肩にポン、と手を置く。

 そのまま部屋から出ていった。


『>>>……ちぇ。先生は、やっぱり先生だなぁ……』

『────  。』

『>>>ん?』


 横……つーか下を見ると、

 クラウンちゃんが今まで見た中で、

 一番アホみたいな顔で、固まっていた。


『>>>……ぃや……うん』

『────  。』


 まぁ、ズルズルここまで来てしまった、ぼくの責任だ。

 やれやれ、今は二人きりだ。

 丁度いい。

 一度、ふんぎってしまえばいいんだ……!


 金の冠の少女の両肩に、手を置く。


 すぅ───……はぁ……。



『>>>きみのことが……すごく好きです』

『────:……!。』


 七つに纏められた髪が、ぴょん、と跳ねた。

 ……敬語で言ってしまった。



『>>>……』

『────……。』



 気まずくはない。

 待つ。

 彼女は、ちょっと下を見て考えているようだったが、

 すぐに上を向いて、目線があった。

 穏やかな、微笑みだった。


『────……物好きな:ド変態さんですね。』

『>>>──ひどぃ言い草だねっ!?』


 もっと恥ずかしがってくれると思ったんだが……!?

 クラウンちゃんは嬉しそうに微笑んでいる。

 薄暗くて、頬の色は見えない。


『>>>はぁ……きみ的に、何点だったでしょうか……』

『────! ふふふ……。』


 ぼくの人生初の告白。

 妙に緊張感のない形になったもんだ……。

 思わず評価を聞いてしまったよ……。

 うぅ……。


『────判定には:しばらく分析を要します。こんど──……。』

『>>>……っ?』



 今は、人に近い細腕。

 ぐぃ、とぼくの首に絡み、頭を下げさせる。


 ──耳に、彼女の、声────……。



『────……今度:一緒にお風呂に入った時に:

 ────教えてさしあげますね。』

『>>>────んぅッ!?』



 そっとした声の、あまりの爆弾発言に思考が止まる。

 その間にクラウンちゃんは薄暗い部屋から出て、

 あっという間に、走り去っていった。


 タタタタタ……。



『>>>…………。』



 ……マジかよ。

 ……。



『>>>……さすが、あの子のスキルだなぁ……』



 ここぞという時の、度胸が違うよ……。



『>>>てぃうかさ……。一緒にお風呂入る約束した時点で、告白オーケーなんじゃないのォ……? ぅ、ぅーん……』





 ぽりぽり。


 ぼくは腑に落ちない感じで、部屋から出ていった。




 


(`・ω・´)ゝ。・:+°

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