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勇者ですが、聖女とだけ会話ができません  作者: ゲント・カイ


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第九章 魔王城へ

 半年後。


 四人はついに魔王城を望む平原へ到達した。


 最初の頃と比べれば、随分変わった。


 蓮は簡単な英語なら理解できる。


 クレールはかなりの日本語を覚えた。


 シポは二人よりずっと少ない単語しか話さないが、身振りだけで大抵のことを伝えられる。


 アウリに至っては最初から言葉を覚える気があまりない。


 それでも何となく分かる。


 長く一緒に戦ってきた結果だった。


 王国軍三千が平原へ展開する。


 魔王城を守る軍勢は、その倍。


「正面突破ですか」


 蓮がロベルトに尋ねる。


「王国軍が敵主力を引きつけます。その間に勇者様方は地下水路から城へ」


「囮にするみたいで嫌ですね」


「逆です」


 ロベルトは笑った。


「我々にとって、あなた方が希望なのです。希望を守るために兵がいる」


 蓮は何も言えなくなった。


 半年の間に、多くの人間を知った。


 村人。


 騎士。


 商人。


 子供。


 最初は異世界の知らない人々だった。


 今では違う。


「必ず倒してきます」


「はい」


     ◇


 地下水路から城へ侵入した四人は、ほとんど会話をしなかった。


 必要がなかった。


 シポが床を見る。


 指を二本立てる。


 敵が二人。


 アウリが先へ出る。


 二本の吹き矢。


 敵が眠る。


 クレールが扉へ耳を当てる。


 蓮を見る。


 首を横に振る。


 誰もいない。


 進む。


 半年かけて身につけた連携だった。


 魔王の間へ続く大扉の前で、四人は一度止まった。


 蓮が皆を見る。


「Go?」


 クレールが頷く。


「Go」


 シポも頷く。


 アウリは吹き矢を構えた。


「よし」


 蓮が扉を押した。



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