第七章:荒野の遭遇
翌朝、レイはひどくきしむ身体を引きずりながら、街の外へと這い出した。
朝日が照らす荒野は、どこまでも不毛で、乾いた風が砂埃を巻き上げている。
「……はぁ、はぁ……」
一歩歩くごとに、筋肉の痛みが全身を突き抜ける。
それでも背中の大剣だけは、決して手放さなかった。
昨晩、あの男が警告していた「厄介な魔物の群れ」の噂。
その正体を知るのに、そう時間はかからなかった。
――グルルル、と地を這うような低い唸り声。
岩陰から姿を現したのは、燃えるような赤い毛並みを持った、獰猛な狼の群れだった。
「――狂犬……!」
大ネズミとは比較にならない、本物の魔物。
群れの数は三匹。
それらは、獲物を見つけた喜びに目を細め、じりじりとレイを包囲するように散らばっていく。
「くっ……!」
レイは震える腕で、必死に背中の大剣へと手を伸ばした。
しかし、昨日の疲労が残る身体は、思うように動かない。
引き抜くのが一歩、遅れる。
その隙を、鋭い牙を持つ一匹が見逃すはずもなかった。
赤い影が、猛烈な速度でレイの視界へ飛び込んでくる。
「しまっ――」
死線を前にしたレイの身体が硬直した、その瞬間。
――キィィィン!!
甲高い金属音が響き渡り、目の前で鮮やかな火花が散った。




