第四十九章:崩落の残響
「結晶の守護獣」の群れを完全に排した通路には、再び静寂が戻っていた。
床一面に散らばった結晶の破片が、壁面の魔導灯に照らされて、まるで星屑のように青白くまたたいている。
レイは大剣をゆっくりと引き戻し、肩に担ぐようにしてふぅと息を吐いた。
石畳の硬い感触は、未だに彼の足の裏に確かな安心感を与えている。
「怪我はありませんか、シェリアさん」
「はい。あなたの完璧な追撃のおかげで、こちらの体勢が崩れる前に仕留められました」
シェリアは魔導銃の銃身を軽く撫で、琥珀色の瞳に薄い安堵の色を浮かべた。
しかし、彼女の手元にある魔導インジケーターの光は、先ほどよりもさらに激しく明滅を繰り返している。
銃の心臓部である結晶のひび割れが、今の戦闘で確実に広がってしまったのだ。
「急いだ方が良さそうだな。結晶の波動は、この下から来てるんだろ?」
アレンが双剣の刃についた魔物の体液を払いながら、通路の奥へと視線を向けた。
その先は、さらに深い地下へと続く、螺旋状の長い石階段になっていた。
「ええ。この階段を降りた先が、恐らく遺跡の最深部……。私の求める原石の光源があるはずです」
シェリアの言葉に、ボルグが頼もしく大盾を叩いて先陣を切る。
「よし、それじゃあ俺が先頭だ。床の罠や不意の奇襲に気をつけろよ」
薄暗い石階段を、四人は慎重に下り始めた。
壁はひび割れ、ところどころから太い木の根が侵入して石を噛み砕いている。
長年の歳月による風化は想像以上に激しく、一歩踏み出すたびに、パラパラと頭上から乾いた砂埃が落ちてきた。
レイは階段を開きながら、全身の神経を周囲の闇へと尖らせていた。
先ほどの狼のような魔物が、これだけで終わるとは思えない。
結晶の純度が高まる最深部には、それを苗床にするような、さらに凶悪な存在が潜んでいるはずだ。
――ゴゴゴゴゴ……。
不意に、階段の遥か下方から、重苦しい地鳴りのような音が響いてきた。
「……アレンさん、この音は?」
「魔物の足音じゃないな。これは……遺跡自体が軋んでいる音だ」
アレンの表情が険しくなる。
古の魔力が集中する最深部で、何かが起きようとしている。
シェリアの銃を直すための原石を手に入れるため、新星の大剣使いと銃士は、静かに、しかし確実につま先に力を込め、闇の深淵へと足を踏み入れていった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
遺跡のさらに奥深く、最深部へと足を進める一同。
シェリアの魔導銃の限界が近づく中、一体どんな試練が待ち受けているのか。
これからの展開も応援していただけると嬉しいです!
「続きが気になる!」
「シェリアの銃、無事に直ってほしい!」
と思ってくださったら、
下にある【ブックマーク追加】や、
評価の【☆☆☆☆☆】をポチッと押し、
応援していただけると、執筆の凄まじい励みになります!
それでは、また次回の更新でお会いしましょう!




