第四十八章:轟鳴と一閃
暗闇の奥から這い出てきたのは、全身が半透明の結晶で覆われた、狼に似た魔物――「結晶の守護獣」の群れだった。
その鋭い爪や牙はすべて硬質な鉱物であり、石畳を削りながら凄まじい速度で突進してくる。
「正面、三匹! ボルグさん、受け止めを!」
「おうよ! 止まってな!」
レイの指示に呼応し、ボルグが遺跡の狭い通路を塞ぐように大盾を構えた。
ガガガガガンッ! と激しい衝撃音が響き、結晶の狼たちが盾にぶつかって火花を散らす。
だが、強固な石畳の上でのボルグは、荒野の時とは比較にならないほどに頑強だった。
一歩も退かずに敵の牙をせき止める。
しかし、一匹の狼がボルグの盾の側面を滑るようにして、背後のレイへと跳躍した。
結晶の牙が、薄暗い空間で怪しく光る。
「シェリアさん、右!」
「――捕捉しています!」
レイの言葉が終わるより早く、背後から小気味よい機械音が響いた。
シェリアは頑丈な石畳の上で、微塵のブレもない完璧な射撃姿勢を維持していた。
彼女の魔力(MP)が銃身へと流れ込み、ヒビの入った結晶を強引に駆動させる。
――ズゥンッ!!!
鼓膜を震わせる重低音とともに、青白い魔導弾が放たれた。
弾丸は空中を跳躍していた狼の右前脚の関節を、狂いなく正確に撃ち抜く。
「グルァッ!?」
結晶の部位を粉砕され、空中を舞っていた狼の軌道が大きく歪んだ。
その歪みこそが、レイの待ち望んでいた最大の隙だった。
レイはすでに、大剣を上段に構えて踏み込んでいた。
足元はびくともしない石畳。
大地の反発のすべてを、無駄なくその強固な体幹へと伝える。
力を入れるのは、当たるその一瞬だけ。
「おおおっ!」
――ズガァァァァンッ!!!!
縦一文字に振り下ろされた大剣が、軌道を崩した狼の脳門へと真っ向から炸裂した。
極限の軸から放たれた圧倒的な質量。
それは狼の結晶の身体を、まるでガラス細工のように木っ端微塵に粉砕し、床一面に光る破片を撒き散らした。
「……素晴らしい」
背後で魔導銃の残熱を逃がしながら、シェリアが感嘆の吐息を漏らす。
狙撃によって敵の姿勢を崩し、そこへ大剣の最大火力を叩き込む。
これこそが、彼女が夢見ていた、前衛と後衛の理想的な連携の形だった。
「よし、残りの二匹も一気に片付けるぞ!」
アレンの双剣が閃き、ボルグの盾に張り付いていた狼たちの隙を突く。
完璧な歯車のように噛み合い始めた四人の力が、薄暗い古の遺跡を、確実に突き進んでいく。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
石畳の上で、レイとシェリアの真の連携が炸裂しました。
大剣の質量と魔導銃の精密射撃のコンビネーション、楽しんでいただけていれば幸いです!
これからの遺跡攻略も、ぜひ応援していただけると嬉しいです。
「続きが気になる!」
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