第四十五章:新たな風、ルミナスへ
アレンの突然の提案に、シェリアはしばらく言葉を失っていた。
琥珀色の瞳を揺らし、自身の腕に抱えられた魔導銃と、レイの背中にある武骨な鉄塊を何度も見比べる。
国境の荒野で孤独に死線を彷徨っていた自分に、迷わず手を差し伸べてくれた者たち。
彼らの提案は、今のシェリアにとって、これ以上ないほどに有り難いものだった。
何より、隣を歩くレイという少年が持つ「絶対にブレない芯」に、射手としての本能が強く惹かれていた。
「……本当に、私のような者が相乗りしてしまっても、良いのですか?
先ほども言った通り、今の私はこの土地の環境に即座に適応できるほどの技量がありません」
「いいに決まってんだろ!」
後ろから歩いてきたボルグが、豪快に笑いながらシェリアの肩を軽く叩いた。
その巨体から放たれる圧倒的な包容力に、シェリアの肩の力がわずかに抜ける。
「お前さんのその銃の威力は、遠くから見てても凄まじいって分かったぜ。
足場が悪くて狙えねえなら、俺が盾で敵を止める。レイがそいつを大剣で叩き潰す。
そこにお前さんの魔導弾が撃ち込まれたら、それこそ無敵の布陣だ」
「ボルグさんの言う通りです、シェリアさん」
レイも歩調を合わせながら、シェリアに向けて静かに微笑んだ。
「僕も、最初はギルムの街を飛び出して、一人で強くなるつもりでした。
でも、アレンさんたちと出会って、誰かと背中を預け合って戦う強さを知ったんです。
環境に慣れないなら、僕たちがその隙を埋めます。だから、一緒にいきましょう」
レイの言葉には、自ら泥をすすりながら一歩ずつ進んできた者だけが持つ、確かな説得力があった。
ただの慰めではない。互いの技術を尊重し、高め合おうとする冒険者としての真っ直ぐな誘い。
シェリアはしばらく、その言葉を噛みしめるように俯いていたが、やがて顔を上げると、その端正な顔立ちに、今日初めての、柔らかくも気高き笑みを浮かべた。
「……分かりました。未熟者ですが、皆様の背中、この魔導銃で全力でお守りいたします。
ルミナスに着くまで、いえ、私の探し物が見つかるその時まで、よろしくお願いいたします」
「よし、交渉成立だな! 今夜は新メンバーの歓迎会だ、ボルグ、財布の紐を緩めとけよ!」
アレンが嬉しそうに声を張り上げ、荒野の帰路に賑やかな笑い声が響き渡る。
遠く前方には、夕日に照らされたルミナスの街並みが、かすかに見え始めていた。
砂塵の荒野を統べる覇王を討ち果たし、新たな仲間を迎え入れた若き大剣使い。
少年の背負う鉄塊は、今度は異なる技術を持つ銃士の光とともに、次なる運命の舞台へと進んでいく。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
シェリアが正式にパーティーへ加わり、物語はルミナスでの新たな章へと突入します。
大剣の質量と魔導銃の精密射撃、この二人がどんなコンビネーションを見せてくれるのか、これからの展開もぜひ応援していただけると嬉しいです!
「続きが気になる!」
「シェリアとのこれからの連携が楽しみ!」
と思ってくださったら、
下にある【ブックマーク追加】や、
評価の【☆☆☆☆☆】をポチッと押し、
応援していただけると、執筆の凄まじい励みになります!
それでは、また次回の更新でお会いしましょう!




