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大剣の冒険者  作者: beck2026


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第四十四章:交錯する技術

シェリアの体調が落ち着くのを待ち、一同はルミナスの街へと引き返すことにした。

覇竜の素材の一部をボルグが巨大な背負い袋に詰め込み、レイを先頭に赤茶色の荒野を歩む。

 

「……不思議です」

 

並んで歩くシェリアが、レイの背中にある大剣をじっと見つめながら、ぽつりと呟いた。

その腕には、しっかりと愛用の魔導銃が抱えられている。

 

「何がですか?」

 

「その大剣です。この砂地では、足を一歩踏み出すだけでも重心が崩れるはず。それなのに、あなたの歩幅はさっきから一定ですし、軸が全くブレていません」

 

シェリアの指摘は、非常に的確だった。

彼女自身、銃という「精密機械」を扱うからこそ、人間の身体のわずかなブレや、環境による影響に敏感なのだろう。

 

「最初は僕も、砂に足を取られて全然ダメだったんです。でも、無理に砂に抗うのをやめて、沈むなら沈むなりに、大剣の重さと自分の重心を合わせるようにしたら、感覚が分かってきて」

 

レイが自身の経験をそのまま伝えると、シェリアは琥珀色の瞳を丸くし、それから深く感心したように頷いた。

 

「なるほど……流動する地面そのものを、自分の質量の一部として組み込んだのですね。単なる腕力ではなく、凄まじい体幹の制御です。……私の国には、そこまで泥臭く、かつ精密に武器を扱える前衛はいませんでした」

 

「シェリアさんの国って、どんなところなんですか?」

 

「ルミナスの遥か北にある、魔導工学の国です。私のこの銃も、魔力(MP)を充填して弾丸として放つ、最先端の兵器なのですが……」

 

シェリアは少しだけ寂しそうに微笑み、銃の引き金に指を添えた。

 

「どんなに優れた武器でも、扱う人間の足元が揺らいでしまっては、百発百中の照準も意味をなしません。私は、自分の技術に過信していたのだと思います」

 

彼女の言葉には、一度挫折を味わった者だけが持つ、気高き謙虚さがあった。

ただ守られるだけの存在ではない。自らの弱点を見つめ、次なる一手を模索するプロの目だ。

 

「だったらさ、シェリア」

 

前を歩いていたアレンが、楽しげに振り返った。

 

「ルミナスに着いたら、しばらく俺たちのパーティーに Ainori(相乗り)していかないか?

 お前さんのその銃の威力と、レイの絶対にブレない大剣。この二つが噛み合ったら、どんな魔物もイチコロだと思うんだよね」

 

アレンの提案に、シェリアは驚いたように目を見張った。

それから、隣を歩くレイの横顔をじっと見つめる。

レイはただ、いつでも彼女の盾になれるよう、無骨な大剣の柄にそっと手を添え、静かに微笑んでいた。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

レイの大剣と、シェリアの魔導銃。

異なる二つの技術が交わることで、ここからさらに戦術の幅が広がっていきます。

これからの二人の関係や成長を、ぜひ見守っていただけると嬉しいです!

「続きが気になる!」

「二人の連携が見てみたい!」

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