第四十章:覇王との対峙
『砂塵の覇竜』の巨躯が、陽光を反射して赤黒く不気味に輝く。
その一歩は、これまでの魔物とは次元の違う質量となって、砂の海を文字通り爆ぜさせていた。
「ガ、ルゥァァァァッ!!」
覇竜がその巨腕を真横に一閃した。
ただの爪の薙ぎ払い。しかし、それによって生み出された凶悪な砂の刃が、レイたちの視界を完全に遮るように襲いかかる。
「ボルグさんっ!」
「おおおおおっ、任せろッ!」
ボルグが死力を尽くして大盾を砂の底へと突き立てた。
ズガガガガガッ! と盾の表面を無数の砂礫が削り取り、火花が散る。
ボルグの腕の骨が軋む音とともに、激しい砂の弾丸は何とかその強固な壁によって防がれた。
しかし、本命はその直後にやってくる。
砂煙を突き破り、覇竜の太い尾が、ボルグの盾ごとすべてを圧殺せんと上空から振り下ろされたのだ。
(そこだ――!)
レイはボルグの背後から跳躍するように前に出た。
砂に足を取られる環境など、もう意識の外だった。
沈むなら沈むままに。流れる砂の理に身を委ね、大剣の重みだけを己の軸の中心に据える。
天高く掲げられた鉄塊。
全身のバネを、ねじ切れるほどの効率で一気に解放した。
振り下ろされる大剣の軌道と、上空から迫る覇竜の尾が、空中で真っ向から交差する。
――ドゴォォォォォォンッ!!!!
これまでで最も激しい、天地がひっくり返るかのような激突音が荒野に炸裂した。
衝撃波によって、周囲の赤砂がすり鉢状に吹き飛び、剥き出しの岩盤が姿を現す。
「ギ、チ……ッ!?」
覇竜の紅い瞳が、驚愕に揺れた。
いかに圧倒的な肉体を誇る亜竜といえど、完璧な軸の制御から放たれたレイの『質量の一撃』は、その尾の軌道を完全に弾き飛ばしたのだ。
大きく体勢を崩し、覇竜の巨躯が右側へと傾く。
「アレンさん、今ですっ!」
レイは手のひらから血を流しながら、大剣を地面に突き立てて叫んだ。
「よくやった、レイ! お前ら最高だぜッ!」
砂煙の影から、疾風のごとき速度でアレンが飛び出した。
完全に無防備となった覇竜の懐。その柔らかい逆鱗の隙間めがけて、アレンの双剣が目にも留まらぬ速さで突き立てられた。
新星の大剣使いが作り出した一瞬の隙。
仲間との絆の刃が、ついに荒野の覇王の肉体へと深く突き刺さった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
レイの大剣使いとしての旅、そして成長を
これからも応援していただけると嬉しいです。
「続きが気になる!」
「ちょっと面白くなってきたな」
と思ってくださったら、
下にある【ブックマーク追加】や、
評価の【☆☆☆☆☆】をポチッと押し、
応援していただけると、執筆の凄まじい励みになります!
それでは、また次回の更新でお会いしましょう!




