第二十九章:実力の証明と、差し出された絆
「あ、ああ……助かった。ありがたい……」
盾を構えていた大柄な男が、未だに信じられないといった様子で、ぽつりと声を漏らした。
他の冒険者たちも、武器を構えた姿勢のまま、レイの背中の巨大な鉄塊を凝視している。
ルミナスの街の者たちが「触れることすら叶わない」と恐れた霧隠れの鎌虫。
それを、この少年はただの三撃で、それもすべて完璧な予測のもとに叩き潰したのだ。
ただの力任せではない。そこには、圧倒的な技の精度と五感の研ぎ澄ましがあった。
「ギルムの登録プレートだったな……。あそこには、お前のような怪物がゴロゴロいるのか?」
リーダー格と思われる双剣の男が、苦笑混じりに歩み寄ってきた。
その目には、先ほどまでのルミナスの冒険者特有の冷徹さはなく、確かな敬意が宿っている。
「いえ……。僕はただ、あっちの街の凄い人に、基礎を叩き込んでもらっただけです」
レイは謙虚に微笑みながら、大剣の柄からそっと手を離した。
毎朝、レオンの細剣に突かれながら覚えた、大地の力を伝える感覚。
それが、場所を変えたこの未知の霧の中でも、自分を確かに支えてくれた。
「基礎、ね……。あれを基礎と言われたら、俺たちの立場がないよ」
双剣の男は肩をすくめると、レイに向かって右手を差し出してきた。
「俺はアレン。こっちのパーティーのリーダーだ。
お前、もし良ければ、この後ルミナスの酒場へ来ないか?
命の恩人に、美味い酒と飯くらい奢らせてほしい」
レイはその手を見つめ、少しだけ目元を緩めた。
張り詰めていた渓谷の霧が、心なしか少しだけ薄くなったように感じられる。
新天地ルミナスの風は冷たかった。
しかし、自らの力で一歩を踏み出し、大剣の強みを示した少年は、ここでも確かに、新しい「繋がり」の糸を手繰り寄せようとしていた。
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レイの大剣使いとしての旅、そして成長を
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