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大剣の冒険者  作者: beck2026


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第十一章:小さな進歩と、芽生える絆

街へと続く帰り道、荒野の風はどこか穏やかに感じられた。

 

レイは相変わらずフラフラとした足取りだったが、その表情にはどこか充実感が漂っている。

 

その少し前を歩くレオンは、一度も後ろを振り返ろうとはしない。

 

しかし、その歩調は、レイの遅い足取りに合わせるように、妙にゆっくりとしたものだった。

 

「おい、新入り」

 

不意に、前を向いたままレオンが口を開いた。

 

「……はい」

 

「お前、その大剣の扱い、誰に習った?」

 

「いえ……誰にも。

 ただ、この街に来る途中に聞いた、有名な冒険者の言葉が忘れられなくて。

 『圧倒的な力があれば、大抵の窮地は叩き潰せる』って……」

 

レイの言葉に、レオンの背中が一瞬、ピクリと強張った。

 

レオンは足を止め、ゆっくりと振り返る。

その表情には、驚きと、どこか懐かしむような複雑な色が浮かんでいた。

 

「……やはり、あの男の言葉か」

 

「え? あの男って……知っているんですか?」

 

「ギルムの街で、あの言葉を知らない奴はいないさ。

 かつてこの街の最前線に立ち、誰もが背中を追いかけた伝説の男だ。

 ……だが、あの男の強さは、ただの力任せじゃない」

 

レオンは自身の細剣の柄に手を当て、真剣な眼差しをレイに向けた。

 

「圧倒的な質量を誇る大剣だからこそ、ミリ単位の狂いもない『精密さ』と、己の肉体を完全に制御する『技術』が必要なんだ。

 今のようにお前が武器に振り回されているうちは、ただの幸運でしか敵を倒せないと思え」

 

厳しい言葉だったが、そこには明らかな「教え」が含まれていた。

 

レイはごくりと息を呑み、まっすぐにレオンを見つめる。

 

「……どうすれば、あの人のように、なれますか?」

 

レオンはふっと鼻で笑い、再び前を向いて歩き出した。

 

「まずは、その重荷に負けない体を作ることだ。

 明日から、日の出と共にギルドの裏手へ来い。

 お前のその不格好な素振りを、少しはマシにしてやる」

 

「え……っ!? 本当ですか!?」

 

「気が変わらないうちにな。

 それと……新入りではなく、レオンと呼べ」

 

夕暮れの街道に、レイの嬉しそうな返事が響き渡る。

 

ただ無謀に鉄塊を背負っていた少年は、今日、初めてその重みを分かち合える「師」であり「友」となる存在を見出したのだった。

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