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悪役令嬢は全員生存エンドを目指す【完結】  作者: しのギドラ
四章「本当の主人公編」
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4章-98.私からの婚約の返事、結婚の約束(★)

 あれから瞬く間に半年という月日が流れた。


 私達は穏やかな日々を慈しむようにして、ついに中等部の卒業を迎えた。


 喧騒から離れた、公爵邸の庭園の奥まった場所。

 木々の緑に囲まれたその場所で、私に呼び出されたグレンが息を切らせて駆け寄ってくる。


「ルナリア、待たせてすまない……」


「そんなに急がなくても大丈夫よ。来てくれてありがとう」


「ルナリアの呼び出しなら、たとえどんな時であってもすぐに駆けつけるよ。それに……今日は私にとっても、特別な日だからね」


 グレンの端正な顔立ちには、どこか緊張した色が見え隠れしていた。

 私もきっと彼に負けないくらい、胸の奥で心臓が熱く高鳴っている。


「もう気づいているかもしれないけれど……。今日、ここにグレンを呼び出したのはね、ずっと待たせてしまっていた婚約の返事をするためなの」


「……ああ……」


 彼は熱のこもった真剣な眼差しで、私の次の言葉をじっと待った。

 私は胸いっぱいに外の空気を吸い込み、ずっと自分の言葉で伝えたかった大切な想いを紡ぎ出していく。


「あなたと初等部で初めて出会ったとき……私は絶望の淵にいたの。自分が近くにいたら、あなたに多大な迷惑をかけてしまうと思って、だからずっと……あなたを遠ざけようと必死だった」


 幼いあの日、私を暗闇から引っ張り上げてくれた彼との出会いを鮮明に思い返す。


「でもね、あなたの温かな優しさや、何にも負けない心の強さに、私はいつの間にか心を奪われていったの。あなたとずっと一緒にいたいという気持ちが、今では胸の奥からあふれ出てきて……自分でも、もう止められないくらいに膨らんでいるの」


 一言ずつ、彼へのすべての恋心を胸に刻み込むように言葉を重ねる。


「グレン、私と婚約してください。あなたの隣で……これからの未来を、一緒に歩んでいきたい」


「ルナリア……」


 グレンは、胸が熱く締め付けられるような表情を浮かべ、私の元へと一歩を踏み出した。

 そして、抑えきれなくなった愛おしさをすべてぶつけるかのような勢いのまま、私の身体をその腕で強く抱きしめる。


「もちろんだ。……ずっと、ずっとその答えが聞きたかった……!」


 耳元で響くグレンの声は、歓喜に震えていた。

 私を抱きしめる彼の腕の力が、より一層強くなる。


「グレン……待たせてしまって、本当にごめんなさい」


「君のためなら、いくらでも待つつもりだったんだ。……だが、本当は一刻も早くこの答えを聞きたかったのかもしれないな。もしかしたら断られてしまうかもしれないと、ほんの少しだけ不安があったから……」


「グレンも……不安になることがあったの?」


「ああ、そうだよ。私だって一人の男だからね。もし君に断られていたら……さすがに立ち直れないくらい落ち込んだだろう。だが、ルナリアのいない世界なんて、私はもう生きられない……!」


 私は、自分を包み込んでくれる温かな彼の背中に手を回し、その指先にありったけの愛を込めて力をこめる。


「……私も、あなたのいない世界なんて絶対に嫌よ……」


 彼は、私の髪に顔を埋めながら、耳元に誓いを落としていく。


「高等部を卒業したら、すぐにでも結婚しよう。君を……誰よりも幸せにする」


「うん……私も、あなたを幸せにしてみせるわ。絶対に……一生……」


 言葉を交わすほどに、二人の心が重なっていくのを感じる。


 今、目の前の世界にはグレンだけが映る。


 その幸せをいつまでも、私は胸の中でこぼれ落ちないように噛みしめていたのだった。

四章はこれで完結です。

次回からは最終章、五章の開始です。


ご愛読ありがとうございます。

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