エピローグ-132.蒼天の結婚式⑤ 厳格な父の背中、聖なる道への一歩
結婚式の時刻が迫り、みんなは先に会場となる教会へと向かっていった。
私は使用人達の手を借りて身だしなみを整え、少し遅れて教会の入り口へ進んでいく。
その途中、こちらに向かって歩んでくる厳格な佇まいの人物の姿があった。
「ルナリア嬢。今日この日を無事に迎えられたことを、心よりお祝い申し上げる」
「フィン公爵……。こちらこそ、今日に至るまで多大なるご支援をいただき、心から感謝申し上げます」
ヴェール越しにフィン公爵を見上げると、そこにはいつもと変わらない厳しい表情があった。
私の保護から、吸血鬼騒動、エリオスの暗殺、そして頭領の襲撃。
フィン公爵はいつもその収束に力を貸してくれた、恩人とも言っていい人だ。
「一時はどうなることかと思ったが……無事に婚約、そして結婚できたな」
「フィン公爵には、大変なご迷惑をおかけしました。ですが、おかげで……フォーサイス公爵家の一員となれたこと誇りに思います」
私の心からの本心の言葉。
それを聞いたフィン公爵は、今まで見たことがないほどに穏やかな笑みを向けてくれた。
「君と……そしてグレン、二人の努力があったからこそだ。君をフォーサイス家に迎えられて、こちらこそ嬉しく思っている」
そのどこまでも優しい声に、私は胸がいっぱいになる。
私はようやく、この温かな家族の一員になれるのだ。
「フィン公爵……本当に今まで……ありがとうございます……」
「まだ泣くのは早い。さあ、行こう」
私には家族がいないため、後継人であるフィン公爵がヴァージンロードをエスコートしてくれる。
差し出された腕に手を回し、私は一歩ずつ教会の扉へと歩んでいった。




