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婚約破棄された悪役令嬢ですが、王国を支えていたのは私でした。辺境から始める最強国家建国記  作者: 谷本遥叶


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第10話 本当の守護者

第10話 本当の守護者


 ガシャン――。


 ガシャン――。


 重く響く足音が、遺跡全体を震わせる。


 ダリルは思わず剣を握り締めた。


「まだ何かいるのか……?」


 やがて、巨大な扉がゆっくりと開く。


 その先から現れたのは、人間ではなかった。


 全身を白銀の装甲で覆われた巨人。


 身長は五メートルを超え、背中には巨大な剣を背負っている。


 一体。


 二体。


 三体。


 その後ろからも、次々と姿を現す。


 アストラが震える声で告げた。


古代魔導兵器ガーディアン。」


「都市を守るためだけに造られた守護兵です。」


 ダリルは目を見開く。


「全部で……何体いる?」


 アストラは静かに答えた。


「現在、稼働可能なのは百二十体です。」


「ひゃ、百二十……?」


 王国でもこれほどの戦力は存在しない。


 しかも、そのどれもが人間を遥かに超える魔力を放っていた。


 その時。


 百二十体のガーディアンが一斉にアリアの前で片膝をつく。


 そして、声を揃えた。


『管理者様、お帰りなさいませ。』


 その光景に、エマは感動で言葉を失った。


「お嬢様……。」


 アリア自身も胸の奥が熱くなる。


 これは夢ではない。


 本当に、自分はこの都市の主になったのだ。


 しかし、アストラの表情は晴れない。


「安心はできません。」


「え?」


「防衛塔もガーディアンも、千年前の戦いで大半の機能を失っています。」


「現在の出力は三割程度。」


「三割……。」


 アリアは考え込む。


 三千の軍勢を相手にするには心許ない。


 するとアストラは、都市全体を映した地図を指差した。


「ですが、一つだけ方法があります。」


「聞かせて。」


「都市中央にある《魔導炉》へ膨大な魔力を供給すれば、防衛機構を完全に復旧できます。」


「それなら!」


 エマが笑顔になる。


 しかし、アストラは首を横に振った。


「問題があります。」


「魔導炉を再起動させるには、現代の魔導師百人分以上の魔力が必要です。」


 その場が静まり返る。


 そんな魔力を持つ者など、この国には存在しない。


 すると、守護獣グランディアが静かに口を開いた。


『……一人だけ、います。』


 全員の視線がアリアへ集まる。


「私?」


『契約により、あなた様は王核と繋がりました。』


『理論上は可能です。』


「理論上?」


『ですが、成功した前例はありません。』


 アストラも険しい表情になる。


「もし失敗すれば、魔力が逆流します。」


「命は……保証できません。」


 エマは首を横に振った。


「駄目です!」


「また命懸けなんて!」


 ダリルも同じ意見だった。


「私も反対です。」


 しかし、アリアは小さく笑う。


「大丈夫。」


「何の根拠もありませんよ!」


「あるわ。」


 アリアは右手の紋章を見つめる。


「この都市は、私を選んでくれた。」


「だったら、最後まで信じる。」


 その言葉に、アストラは静かに目を閉じた。


「……承知しました。」


「すぐに準備いたします。」


 ◇◇◇


 一方その頃。


 王国軍はフェルド地方の目前まで迫っていた。


「殿下。」


「まもなく目的地です。」


 クロードは満足そうに頷く。


「逃げ場はない。」


「明日の朝には終わる。」


 しかし、その言葉を遮るように、先頭を進んでいた騎士が突然叫んだ。


「へ、陛下!」


「違います!」


「前方をご覧ください!」


 クロードは顔を上げる。


 そして、目を疑った。


 昨日まで何もなかった荒野。


 そこには、巨大な白銀の城壁がどこまでも続いていた。


 さらに城壁の上には、無数の砲台のような塔が並び、淡い青い光を放っている。


「……なんだ、あれは。」


 誰一人、答えられない。


 その時、城壁の上に一人の少女が姿を現した。


 夜風になびく金色の髪。


 堂々と王国軍を見下ろすその姿。


 アリア・エヴァレットだった。


 彼女は静かに微笑み、たった一言だけ告げる。


「――そこから先は、私の領地です。」


 次の瞬間。


 城壁に並ぶ無数の防衛塔が、一斉に眩い光を放ち始めた。

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