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二階堂一族、鎌倉時代を賑やかに生きる。――亡き父親は転移者!  作者: これってなんだろう
第七部 実朝の最期と、続いていく暮らし ――建保七年(1219年)〜承久元年(1219年)
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第68話 北条政子は、ちよの前で母に戻る

建保七年(1219年)一月二十八日、鎌倉。


宗直が、同じ紐を二度結んだ。


一度目は緩く、二度目は固くなりすぎた。


ふみが、その手を止めた。


「ここは私が」


「いや、自分でできる」


「知っています。今日は私が結びたいのです」


宗直は手を下ろした。


ふみは紐をほどき、結び直した。


ちよは、二人のそばで外へ持っていく包みを整えていた。


昨夜、鶴岡八幡宮で実朝が殺された。


将軍が亡くなったという知らせは、夜のうちに二階堂家へも届いた。


誰が何を見たのか。


誰の話を、誰が聞いてきたのか。


確かめるたびに、話の長さも順序も変わった。


ただ、実朝がもう帰ってこないことだけは、朝になっても変わらなかった。


「三郎は、倒れられたところを見ていません」


ふみが言った。


「うん」


「尋ねられたら、そこは先に言ってください。見ていないことまで、説明しようとしなくてよいのです」


宗直が妻を見た。


「分かっている」


「あなたは、分からないことまで引き受けるでしょう」


いつもなら、宗直は何か言い返した。


その朝は、うなずいた。


ふみは結び目を確かめ、夫の胸元へ手を置いた。


「遅くなるなら、誰かに知らせを頼んでください」


「迎えに来るのか」


「待ち方を決めます」


宗直は、妻の手を一度握った。


     *


光成は、出かける支度をしながら、あやに急ぐなと言っていた。


「足元を見ろ。外には、まだ雪が残っている」


「次郎兄の方が早いよ」


「私は、出なければならない」


「私も、物を運ばなければならないの」


おりんが、光成の前へ履物を置いた。


「では、あなたも足元を見てください」


光成が黙った。


「今日は、どこへ?」


「まず宗直兄上と話す。そのあと、人の行き来を確かめる」


「途中で用が増えても、どこへ行くかは誰かに伝えて」


「ああ」


おりんは夫の顔をのぞいた。


「戻ったら、一緒に食べましょう」


「遅くなるかもしれない」


「遅くなったら、遅くなってから」


光成は何か言いかけ、やめた。


妻の肩に手を置いてから、戸口へ向かった。


ちよは、その背を見送った。


     *


三郎は、袖へ腕を通しかけていた。


しづが呼んでも、最初は気づかなかった。


「三郎様」


二度目で顔を上げた。


「宗直さまのお話を聞いてから、出るかどうか決めるのでしょう?」


「はい」


「でしたら、まだ間に合います」


しづは、夫の足元へ落ちかけていた紙を拾った。


三郎が受け取ろうとすると、先に尋ねた。


「これは、今日お使いになりますか」


「……いえ」


「では、こちらへ置きますね」


しづは紙をしまい、夫の袖を直した。


「昨夜のことを、全部一度に思い出そうとしなくてもよいと思います」


三郎は妻を見た。


「でも、忘れるかもしれません」


「もう書いたところもあるのでしょう?」


「はい」


「それなら、同じところを何度も確かめる前に、兄上のお話を聞いてください。新しく分かることもあるかもしれません」


三郎の目が、しまわれた紙から妻へ戻った。


しづは、少し声を柔らかくした。


「それと、お顔を洗いましょう」


「洗いました」


「では、拭きましょう。まだ濡れています」


三郎が自分の頬に触れた。


しづは布を渡した。


その手を、三郎が握った。


「すぐ、戻ります」


「用が済んだら、戻ってください」


しづも握り返した。


「急いで転ばれると、迎えに行く用が増えます」


三郎の口元が、少しだけ動いた。


ちよは二人から目を移し、自分の包みを持った。


     *


あやは、門の近くで家人と話していた。


昨夜、時景から無事を知らせる使いが来た。


そのあとも、義時のもとで仕事が続くと伝えられていた。


あやは北条家へ戻らず、母の家に泊まった。


朝になっても、時景は戻っていないらしい。


「北条家へ戻る人はいる?」


あやが尋ねた。


「昼前には、向かう者がおります」


「では、小太郎様に文を届けてもらえる?」


「承知しました」


あやは、部屋へ戻って短い文を書いた。


昨日は、兄たちが帰ってくるまで怖かったこと。


時景の無事を聞いて安心したこと。


今朝は、母も兄たちも無事に起きていること。


そこまで書いて、筆が止まった。


時景が昨夜、何をしていたのか。


どのくらい眠れたのか。


食事を取る暇があったのか。


尋ねたいことは、たくさんあった。


けれど、今は長い返事を書かせたくなかった。


あやは、最後に一行だけ書き足した。


『お返事は急ぎません。どうか、お体を休めてください』


書き終えてから、少し考えた。


これでは、小太郎様が読んで、私のことを心配するかもしれない。


あやは、もう一行加えた。


『私は母上の家で、温かいものを食べています』


そこまで書いて、ようやく筆を置いた。


     *


ちよが出かけるとき、あやは途中まで送りに来た。


「母上も、どこへ行くか言うんだね」


「ええ。政子様のところへ」


「では、帰ってきたら、帰ったと言ってね」


ちよは娘の手を握った。


「そうします」


あやは、少し迷ってから言った。


「母上」


「何?」


「小太郎様、昨夜からずっとお仕事なの」


「そうね」


「おじさんのおそばにいるから、忙しいのは分かるんだけど」


あやは、道の先を見た。


「無事だって聞いても、顔を見るまでは、やっぱり心配なの」


ちよは、娘の顔を見た。


「そうでしょうね」


「母上も、父上が京へ行っていたとき、こんなお気持ちでしたか」


「ええ。何度も」


「どうしておられたのですか」


「帰ってきたら、何を食べさせようか考えていたわ」


あやは、少し笑った。


「私も、そうしてみます」


「時景殿は、何がお好き?」


「温かい汁物。でも、忙しいと、何でもいいって言うの」


「では、何でもよくないものを用意してあげなさい」


あやが笑った。


「母上、それ、小太郎様にも言ってみる」


ちよも微笑んだ。


「帰ってこられたら、ね」


「ええ」


あやは、母の手をもう一度握った。


「母上も、気をつけて」


「ありがとう」


     *


政子のいる部屋の外では、人が行き来していた。


足音が止まり、低い声がして、また別の足音が近づく。


ちよが通されたときも、政子は報告を受けていた。


「まだ確かめていないのであれば、そのように伝えなさい」


声は、はっきりしていた。


「誰から届いた話かも、分けておくように」


相手が下がると、政子はちよを見た。


「来てくれたの」


「はい」


ちよは頭を下げた。


顔を上げるまでに、何か言わなければと思った。


実朝の名を口にするべきか。


昨夜のことを尋ねるべきか。


けれど、用意した言葉は、どれも口から出なかった。


政子は、それを待たなかった。


「座って」


ちよは、少し離れて座った。


政子の指が、袖の端をつまんでいた。


先ほど報告を聞いていたときには、見えなかった手だった。


つまんで、放して、またつまむ。


その手を見ているうちに、ちよは直成のことを思い出した。


頼家が亡くなった知らせを聞いた日の夫。


膝の上へ両手を置き、教え子の話をしていた。


その頼家の母が、目の前にいる。


そして今は、実朝もいない。


政子が、戸口を見た。


誰かが来るのを待つような目だった。


「昨日まで、話せたのに」


小さな声だった。


ちよは、息を止めた。


「昨日まで」


政子はもう一度言い、袖を握った。


ちよは何も答えられなかった。


     *


大姫。


三幡。


頼家。


実朝。


ちよは、政子の四人の子の名を、胸の中でたどった。


皆、いなくなってしまった。


夫の頼朝にも先立たれている。


ちよも、夫を亡くした。


その知らせを受け取った朝のことは、今も忘れられない。


けれど、ちよの家には子どもたちがいる。


息子たちの妻がいる。


孫が増え、京のまつから便りが届く。


朝になれば誰かが何かを探し、夕方になれば誰かが帰ってくる。


夫がいないことを悲しみながら、その暮らしの中で笑う日もある。


同じです、とは言えなかった。


ちよが家へ帰れば聞ける声を、政子はもう聞けない。


やがて、政子が尋ねた。


「三郎は」


「家におります」


「怪我は?」


「ございません」


政子は、目を閉じた。


「そう」


ちよは、その短い返事を聞いた。


自分の息子が生きて帰ったことを、この人に伝えたのだと思った。


膝の上で、指を組み直した。


「実朝は、三郎と話すのを面白がっていたわ」


政子が言った。


「尋ねると、考えてから答えるでしょう」


「はい。待っていただくことが多くて」


「待ってもらえるのは、よいことね」


ちよは顔を上げた。


政子は、少し遠くを見ていた。


「あの子も、幼いころは返事が遅かった。周りの者が、返事をする前に次の話を始めてしまうことがあったの」


ちよは聞いていた。


「あとになって、さっきの答えを言いに来る」


政子の口元が緩んだ。


「もう違うことをしているのに、真面目な顔で」


ちよも、ごく小さく笑った。


笑ってから、目が熱くなった。


政子が話しているのは、将軍の実朝ではなかった。


返事を考えて、母のところへ来る子どもだった。


     *


「この前は、三郎の家の話を聞いたと言っていたわ」


政子が続けた。


「しづとの暮らしのことでしょうか」


「ええ。何を話したのか尋ねたら、三郎の説明が長かった、と」


ちよはうなずいた。


「家でも、そうです」


「実朝も、そう言って笑っていた」


政子の指が、袖から離れた。


「もっと、聞けばよかった」


ちよは、顔を上げた。


「そのあと、何と話したのか。何がおかしかったのか。もっと……」


政子は、そこで黙った。


ちよには、悔やまなくてよいとは言えなかった。


自分にも、直成へ聞いておけばよかったことがある。


何でもない日に、次でよいと思った話がある。


その次が来なかったことを、知っていた。


けれど、今それを語って、自分の話にしてしまいたくはなかった。


ちよは待った。


政子が、また話し始めるかもしれない。


話さないかもしれない。


どちらでも、そばにいたかった。


     *


部屋の外から、呼びかける声がした。


政子は顔を上げた。


話を聞き、短く返事をした。


次に誰へ伝えるかを尋ねられると、迷わず名を挙げた。


鎌倉では、人も仕事も動いていた。


将軍が亡くなっても、その日のうちに決めなければならないことがある。


頼朝の遺した鎌倉を、弟の義時とともに支えていく。


その役目は、政子のもとへ来る。


ちよは、それを止められなかった。


人が下がると、政子は先ほどの方へ目を戻した。


けれど、話の続きは出なかった。


ちよも、何も言わなかった。


外で誰かが雪を踏む音がした。


政子の肩が、わずかに動いた。


ちよは少し近くへ座り直した。


政子が手を伸ばしたので、その手を受けた。


冷たかった。


ちよは両手で包んだ。


励ます言葉を探すのを、そのときやめた。


     *


二階堂家では、あやが北条家からの知らせを待っていた。


朝に文を託した家人は、まだ戻っていない。


あやは、門の方を見ていた。


しづが隣へ来た。


「時景様のことが、気になりますか」


「ええ」


あやは、素直に答えた。


「小太郎様は、忙しいと、自分のことを後回しにするの」


「三郎様も、似たところがあります」


「三郎兄は、書付を後回しにできないでしょう」


「はい。ですから、食事を後回しにします」


二人は、小さく笑った。


あやは、しづを見た。


「しづ姉は、どうしてる?」


「まず、食べていただきます」


「嫌がらない?」


「嫌がりません。でも、食べながら書付のことを考えています」


あやが笑った。


「小太郎様も、食べながらお仕事の話をするよ」


「では、似ていますね」


「ええ。でも、小太郎様は、私の話も聞いてくださいます」


あやは、少し誇らしそうに言った。


しづは微笑んだ。


「よいことですね」


あやは、また門を見た。


「早く、顔を見たいな」


その声は、小さかった。


しづは、あやの隣に座った。


「お戻りになったら、何をお話ししますか」


「まず、ちゃんと食べたか聞く」


「その次は?」


「昨日から、何をしていたか」


「その次は?」


あやは、少し考えた。


「……会いたかったって言う」


しづは、あやを見た。


あやは、少し照れた。


「しづ姉、まつ姉には書かないでね」


しづは笑った。


「昨日、私も同じことをお願いしましたね」


「そうだった」


二人は、もう一度笑った。


     *


昼を過ぎて、北条家から使いが来た。


あやは、すぐに立ち上がった。


「小太郎様は?」


「時景様は、ご無事でございます。今朝も義時様のもとでお役目を続けておられます」


「お食事は?」


使いの男が、少し驚いた顔をした。


「朝は、お取りになったと聞いております」


あやは、ほっと息を吐いた。


「よかった」


男は、懐から文を出した。


「時景様からです」


あやは受け取った。


短い文だった。


昨夜からの仕事は続いていること。


今夜も戻りが遅くなるかもしれないこと。


二階堂家の皆が無事であると聞いて安心したこと。


そして、あやにも無理をせず休んでほしいこと。


あやは、最後まで読んだ。


それから、もう一度読んだ。


「小太郎様らしい」


しづが尋ねた。


「何と?」


「私に、無理をするなって」


「時景様も、同じことを言われているのでしょうね」


「ええ」


あやは笑った。


「だから、私も言い返す」


あやは、使いの男に尋ねた。


「すぐに戻る?」


「はい」


「では、少し待っていて」


あやは文を書いた。


『私は、母上の家で元気にしています。兄上たちも無事です。小太郎様も、ちゃんと食べて、少しでも眠ってください』


書き終えてから、少し迷った。


そして、最後に一行だけ加えた。


『帰ってきたら、顔を見せてください』


あやは文を折り、使いの男に渡した。


「お願いします」


男が頭を下げて去ると、あやは門の前に立ったまま、少しだけ空を見た。


雪は、もう降っていなかった。


     *


ちよが二階堂家へ戻ると、ふみが戸口へ来た。


「お帰りなさい」


「帰りました」


ちよは答えた。


あやとの約束を思い出した。


ふみは、ちよの持っていた包みを受け取った。


何を話したのかは、尋ねなかった。


「皆、戻っております」


「そう」


「おりんが、今、兄弟たちのところへ」


ちよが奥へ入ると、おりんが光成の前に座っていた。


夫の話を聞きながら、濡れた裾を確かめている。


「歩いてきた道の話は、あとでも聞けます。まず、これを替えて」


光成が、自分の裾を見た。


「気づかなかった」


「ええ。今、気づいてください」


光成はうなずいた。


しづは三郎のそばにいた。


机へ向かいかけた夫に、何を書き足すのかを尋ねている。


三郎は紙を見てから、首を横に振った。


「まだ、ありません」


「では、少しこちらへ」


しづが場所を空けると、三郎はそこへ座った。


二人の手が、袖の陰で触れた。


宗直は、ふみが戻るのを待っていた。


妻を見ると、何か言いかけた。


ふみが先に、夫の肩へ手を置いた。


宗直の背が、少し下がった。


ちよは、その三組を見た。


皆、それぞれの相手のところへ帰っていた。


     *


「母上」


あやが来た。


ちよの顔を見て、足を止めた。


しづが、あやへそっと言った。


「まず、お座りいただきましょう」


あやはうなずき、ちよの袖を引いた。


座ると、隣へ来た。


「何か、お持ちする?」


「今は、いいわ」


「では、ここにいる」


ちよは娘を見た。


あやは、何も尋ねずに座っていた。


ちよが息を吐くと、あやの肩がそっと寄ってきた。


「小太郎様から、お返事が来たよ」


あやが、小さな声で言った。


「そう。お元気だった?」


「ええ。まだお仕事ですが、無事だそうです」


「よかったわね」


あやはうなずいた。


「母上も、帰ってきてくれてよかった」


ちよは、娘を見た。


「約束したものね」


「ええ」


あやは、少しだけ笑った。


宗直たちも、声を低くしていた。


けれど、家は静まり返ってはいなかった。


光成が着替えを探し、見つからないと言った。


おりんが、さっき自分で置いたところを示した。


三郎が何か話しかけ、しづが最後まで聞いていた。


ふみが宗直へ用事を一つ頼むと、宗直は立ち上がった。


帰ってきた者に、次の小さな用事がある。


それを頼める相手がいる。


ちよはあやの肩に、自分の肩を寄せた。


     *


三郎が、ちよのそばへ来た。


「母上」


「はい」


「政子様に、私の話をされたのですか」


「怪我はないと、お伝えしました」


三郎はうなずいた。


少し考えてから、言った。


「実朝様は、私がすぐに答えられなくても、待ってくださいました」


ちよは息子を見た。


「ええ」


「ほかの話になったあとでも、先ほどのことですが、と言うと、聞いてくださいました」


しづが、少し離れたところで聞いていた。


三郎は続けた。


「それを、お伝えしてもよいでしょうか」


ちよは、政子の声を思い出した。


あとになって、さっきの答えを言いに来る。


真面目な顔で。


「ええ」


ちよは答えた。


「お会いできたときに、あなたから」


三郎はうなずいた。


しづのところへ戻ると、妻が手を伸ばした。


三郎はその手を取り、隣へ座った。


     *


夜になっても、ちよの手には、政子の手の冷たさが残っていた。


ちよには、帰ってくる家がある。


子どもたちがいて、妻たちがいて、孫がいる。


京に暮らすまつへ、今日のことを伝える便りも書ける。


直成を失ったあとも、その人たちと暮らす日々に、幸福があった。


だからこそ、政子へかける言葉がなかった。


強くあれとも。


鎌倉を守ってほしいとも。


亡くなった子どもたちが、そう望んでいるとも。


ちよには言えなかった。


あやが、寝る前に顔をのぞかせた。


「母上、まだ起きてる?」


「もう少し」


「では、先に休むね」


「ええ。おやすみ」


あやは、一度下がりかけてから振り返った。


「母上」


「何?」


「小太郎様、今日も遅いんだって」


「そうね」


「でも、無事だって分かったから、今夜はちゃんと眠れそう」


ちよは微笑んだ。


「それが一番よ」


あやはうなずいた。


「明日、会えたらいいな」


「きっと、時景殿も同じことを思っているわ」


あやは、少し照れたように笑った。


「そうだといいな」


娘が下がると、また家の奥で声がした。


誰かが、誰かに、おやすみと言っている。


ちよは両手を重ねた。


今日、政子の手を包んだのと同じように。


次に会うときも、言葉が見つからないかもしれない。


それでも、会いに行こうと思った。



---


## 登場人物紹介


**北条政子(ほうじょう・まさこ/1157〜1225年)**


源頼朝の妻で、大姫・頼家・三幡・実朝の母。夫と四人の子すべてに先立たれました。実朝の死後も弟の北条義時らとともに幕府を支え、政治上の大きな役割を担いました。本話のちよとの訪問・会話や細かな心情は創作です。


**二階堂宗直(むねなお)/太郎**


直成とちよの長男。二階堂家の当主。妻のふみとともに、事件後の鎌倉で家族や御家人たちの状況を確かめています。


**二階堂光成(みつなり)/次郎**


直成とちよの次男。土地や水路の管理、人の動きに詳しい人物。妻はおりん。


**二階堂行嗣(ゆきつぐ)/三郎**


直成とちよの三男。大江広元のもとで文書や訴訟に携わっています。実朝の暗殺現場近くに居合わせ、事件の衝撃を受けています。妻はしづ。


**あや**


直成とちよの末娘。北条時景と婚姻しており、普段は北条家で暮らしています。事件後は二階堂家に泊まり、夫の無事を案じながら母や兄たちを支えています。


**北条時景(ほうじょう・ときかげ)/小太郎**


あやの夫。北条義時のもとで政務や連絡調整を担う架空の人物。実朝暗殺後も義時のそばで働いており、あやと使者を通じて連絡を取り合っています。

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