301話 桜色の少女
街の真ん中にある、巨大な桜の木に魅了されたコバルト達。ハラハラと散る桜を眺めながら、その美しさに心を奪われていた。
「いやー、チェリー様、助かりました!これでまた、お花見が続けられます。ささ、チェリー様も青魔族の方々も、よかったらご一緒にどうぞ!」
ピンク色をしたウルフに誘われる一同。お花見をしながら宴会をやっていて、酒を飲みながらどんちゃん騒ぎをしていた。その中から、一人のピンク色の目と髪をした少女が近づいてきた。
「あら〜!チェリー様!こちらにいらしたのですね?あら?そちらにいらっしゃる方々は青魔族?あと、白い方もいらっしゃいますね?ささ、よかったらご一緒にどうぞ!」
「ああ、オルセーユ。お前もいたのか」
チェリーがそのピンク色の目と髪をした少女に話しかける。どうやらオルセーユという名のようだ。
「はい!あ、皆様申し遅れました。私、オルセーユと申します!チェリー様の従順なる部下です!よろしくお願いいたします!あら?」
オルセーユは自己紹介を済ますと、目の前にいるコバルトに注目した。元々、青魔族のことや、白魔族がいることはもはや風のうわさでこの赤い国、桜色の国にも届いてはいるが、この年頃の若い女の子のオルセーユはコバルトを眺めていた。そしてコバルトに近づいてきた。
「あら〜!こちらのお兄さん、ちょーカッコいい♡うんうん、私のモロ好み♡青魔族にこんなイケメンいるなんてしらなかった〜♡ささ、一緒に飲みましょ!」
オルセーユはコバルトにものすごく顔を近づけ、興味津々。コバルトはあいも変わらず、女の子が苦手で照れてしまった。そしてピュアはその様子を見て、やはり不機嫌そうだった。
(はあ〜、あいも変わらずというか、どこに来てにおモテになりますねぇ、コバルト君)
ライトは相変わらずのコバルトのモテモテっぷりに、もはや関心すら覚えた。オスとして羨ましい限りだ。
「オルセーユ」
チェリーが少し強めの口調で注意する。しかしオルセーユは酒を飲んで酔っ払っているのか、チェリーの注意にもまともに聞き入れなかった。
「なーによ、チェリー様ったら〜。こんないい男、ほっといて飲めるわけないじゃないですかぁ〜、ささ、あちらで一緒に飲みましょ」
「あ、いや、俺は未成年だから酒は」
コバルトが拒絶をしようとした瞬間、オルセーユはコバルトに抱きつき、腕をグイって引っ張った。しかしコバルトは触れたオルセーユの手から何か違和感を感じ取った。
(な、なんだこれは!?)
コバルトはの背筋に、ゾクッと不快感が走り抜けた。そしてオルセーユの手を振りほどき、距離をとった。そして何か得体のしれない違和感を覚え、警戒をし、剣を抜き構えた。
「オ、オルセーユと言ったな!き、貴様、一体!」
コバルトは女の子に迫られて照れていた先程とは打って変わって、警戒し、戦闘態勢に入った。それほどまでコバルトにとって得体のしれない、危険さを感じたのだった。
「コバルト・・・?」
ピュアはコバルトが突然豹変したことに驚いた。危険を感じ取った時の様子だ。
「ああ、コバルト様。私の部下がとんだご無礼を。失礼しました。おい、オルセーユ。お前、私と一緒に来い」
チェリーの目がギラリと光る。オルセーユは酔っ払っていたとはいえ、流石にあせったのか。チェリーに対してガタガタと震え出した。
「チェ、チェリー様、も、申し訳」
「いいから来い。もう何も言うな」
チェリーは周りにいた他の部下に指示をし、オルセーユをどこか違う場所へ連れて行った。オルセーユは涙目になりながら、チェリーに連れられて行ってしまった。
(な、なんだ先ほどの感覚は?オ、オルセーユ?手がものすごく冷たかった。い、いやあれは青魔族の冷気や凍気とは全く別の冷たさだ。あ、あいつは一体!?)
コバルトはオルセーユの得体の知れない冷たさに違和感を感じ取った。そしてその彼女が涙目になるほど、絶対服従をさせているあのチェリーも一体何者なのだと、ただただ疑問に思ったのだった。




