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覚え書き その13 限界ベッドタウン

主な登場人物

・海福ブレイド玲奈

主人公の高校1年生の女子。身長が180㎝あるクルド人との「ハーフ」。学校でレイシストにいじめられるルッキズムの持ち主。

・ジンベイ君

身長が2メートルあるジャマイカ人との「ハーフ」。本名:蘭堂駿平太。男は殴るが女は殴らない差別主義者。

津玉茉佑香まゆか

ブレイド玲奈の所属するクラスカースト上位グループのボス。小学生のころからブレイド玲奈をいじめるだけでは飽き足らず、新しく出来た彼氏との関係上、目障りになった元カレ「ジンベイ君」を押し付けようとする。

「あの時拾った財布に札がたくさん挟まっていた。カードだとアシがつくからとまだまだ警察から逃げる気が満々だった気がしてね。」

 アタシの家の方に歩きながらジンベイ君は自殺するとは思えない鬼畜教師の「他殺された根拠」を披露した。

「逃げる気満々だったが何者かに捕まり自殺に見せかけて殺された、そう言いたいの?」

 その質問にジンベイ君は自分の考えを否定するかのようにかぶりを振った

「考え過ぎだ。そんなまともに受け取らないでくれ。普段から札を詰め込んでいる人かもしれない。警察だって自殺ではないと疑ったらATMの引き出し記録とか調べるだろう。今時点で警察が自殺と言っている以上、俺は漫画の少年探偵と違って人が死んだ事件にこれ以上関わりたくはないな。」


 もやもやしたものが心に残るがどうしようもない。

「生徒を食い物にした鬼畜な教師が死んだ。玲奈、それだけだよ」

 確かにあの教師の所業を考えると警察に曖昧な根拠で、あれは自殺ではなく他殺だ、とあえて言う気が失せる。

 気まずい雰囲気が流れるなか家に近づき初デートも終わりに近づいた


「相変わらず玲奈の住む地域は廃れているな。危なくないかここ」

 ジンベイ君の言う通り、ここいらは「限界ニュータウン」のように灯のともらない空き家だらけなので街灯間の明るさが足りなく足元や周りが良く見えない場所が多い。不審者が隠れるのにうってつけだ。ここいらは住民の新陳代謝がうまくいかず若者はもっと都会に出て、高齢化していく住民はあの世か施設に年功序列で行くので人口減少が止まらない。

「幸か不幸か、窃盗集団も不法外国人も無視するほど廃れているので、治安は人がいない分それなりにいいと思う。」


 そんなこんなでくだらない会話をぽつぽつしながら、ようやくアタシの住んでいる古い昭和の4階建てマンションにたどり着いた。門のところでアタシたちは別れた。

「今日はOKしてくれてありがとう。いろいろあったけど楽しかった。」

「よかった、また明日な」

 そう言ってジンベイ君は駅の方に向かって行った。


 来るものを拒まず、去るものを記録しないセキュリティガバガバのマンション正面玄関。エレベーターは無く手すりもない薄暗い階段を3階まで上らなければならない。

 ペンキが所々剥げた鉄板の軋む玄関の扉を開けてアタシは部屋の中に入った。かつて5人家族が過ごした洗濯機が屋外にある2LDKの部屋。そこに今は一人で住んでいる。


 玄関マットの上にカバンを下ろしてスマホを見ると通知が来ているのに気が付いた。確認すると性悪な性格が空っぽの頭の中にこびりついてそれだけで思考をしている津玉からである。開くと津玉と超絶美形な星美君とのツーショット写真が送られていた。こんなイケメンの星美君が何故性悪なドブスとくっついたままなのか不思議でならない。


 帰って早々不快な思いをしたアタシは気晴らしのルーティンワークをはじめた。

 まず初めにかつて飼っていた熱帯魚の水槽を転用した南米産の凶暴な蟻「パラポネラ」の巣にペットの「津玉518号」と「津玉519号」を与えた。葉巻のような「津玉518号」と「津玉519号」は全身をよじりながら無数の脚で必死にもがき無駄な抵抗をしながら蟻に嚙まれ毒を注入され弱っていき、やがて生きたまま貪られていく様は何度見ても飽きない。部下からのパワハラの鬱憤からイノシシをぶって、ぶってぶちまくったあげく斬り殺した崇峻天皇の気持ちはこんなもんだったのだろうか。


 すこし気が晴れたアタシはパソコンを立ち上げ先ほど送られてきた写真を転送し加工してブスをトリミングし星美君だけになった写真を早速壁紙にした。壁紙をしばし見つめるとだいぶ気持ちが落ち着いてきた。


 気が晴れたアタシは壁に掛けられたホワイトボードにマグネットとマーカーで表したクラスの群れの図を眺めた。そして端っこにあった「ジ」と書かれた丸いマグネットを赤いマーカーで書いた津玉グループを表したサークル内に入れた。グループ間の関係性を表した矢印を追いながら今後のことをシミュレートした。今まで単独で他から超絶した存在だったジンベイ君がアタシと組んだということは津玉グループにとってはプラスであろう。だがクラスの第二勢力の男女混成カースト上位グループどもが何か仕掛けてくることはないだろうか?こいつらはジンベイ君のことを良く思っていないのは確かだが、どう動くかは注視していこう。それにアタシ個人と第二勢力とは何となくうまくいっていない気がしてならない。ボス格の中田さんは明らかに敵視しているようだが、どうだろう。


 あれこれシミュレートしていたがアタシはふと時計を見た。すでに0時を過ぎている。こんなことをしている場合ではない。もう時間的には寝るべきだが、まだ宿題が残っている。アタシは市販の痛み止めを用法の2倍飲んだ。これを飲むと疲れを感じなくなり眠くなくなる。最後の気力で宿題を済ませた後、アタシは眠りについた。


(筆者より)

最後のくだり、薬を用量以上飲むのは明らかに体に害があり、効果があるように思えるのはただのプラシーボ効果。絶対真似しないでください。

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