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不快な視線でも生活は自由

たいっっへん。お待たせいたしました。

2ヶ月ほど放置していました…。

お気に入り登録嬉しい限りです。


それではどうぞ。

城の使い皆が身目麗しいレイシアと端正な顔立ちのルイスを鑑賞している。

ジロジロと舐め回すような視線に不快感を覚えながら、レイシアは使いの者が戻るのをルイスと待っていた。


「やけに見られてるわね」

「その外見が目を惹くんだろ」

「あんたが火なんか出したりしたからじゃない?」

「あー…」


ルイスは街中で炎を出したことに何の罪悪感もなく、そういえば出したな。と言った具合である。

レイシアもルイスの目が惹くという言葉に驕った態度や謙遜もせずに、ただいるだけ。

この2人は己の容姿に無頓着すぎるのだ。


レイシア達が視線に不快感を抱いていると、廊下の奥から走ってくるケヴィンの姿を捉えたレイシア。


「いやあ、悪いな!遅くなっちまって…さあ、付いてきてく…うわ!」


片手を上げて謝罪のポーズをしながらレイシアに近寄ってきたケヴィンを、ルイスは手に炎を作って牽制する。


「おいおい、それまさか俺に投げようって魂胆じゃねえだろうな?やめてくれよ」


両腕をバッテンにして駄目、とやっているケヴィンは幼い子を叱りつける先生のよう。

ルイスは未だに炎を消し去ろうとせず、抹殺する勢いで睨みつけた。


「黙れ」


地を這うような声音をケヴィンに向けるルイスは、レイシアの制止があるまでやめなかった。


「早く連れて行ってよ、ここは見られるばかりでとても良い気分じゃないわ」

「ああ。こちらです」


ケヴィンはやっと大人しくなったルイスに安堵し、巫女の間へ通じる廊下を渡り歩く。

白く掃除の行き届いている廊下はタイルが鏡のようになっていて、レイシアは短いスカートを履いていたら中見えるかな?とおかしなことを考えていた。

いや、実際にいるかもしれない。短いスカートの贈り物をして、タイルの上に立たせて覗く輩が…見つけたら逮捕だ!と変な妄想にまで発展されたそれは、城の者が思いもしないことだった。


そうこうしているうちに、巫女の間といった格段立派な扉の前に立ち止まる。

廊下に合った白ベースの扉に金の縁取りがしてあって、お洒落な扉だ。

レイシアはさっさと開けろよ、と言った風に腕を組んでケヴィンを見据える。


「よし。開いた」


ガチャリと重々しい音を立てたかと思えば簡単に開く扉。


「特殊な扉でな、術式が込められてるんだ」


それを解くのに少し時間が掛かったと聞いてもない説明をし出すケヴィン。

レイシアは「あっそう」とだけ返して扉の奥へと入って行く。


扉の奥には意外と広い部屋が広がっていて、丁寧に整備されていた。

タイルではなくフローリングの床で、その上に白の絨毯が敷いてあり、温かみのある部屋だった。


レイシアはそんな部屋を見て心が惹かれる気持ちになる。


「気に入ったか?」


それを感じ取ったケヴィンがレイシアを覗き見てしたり顔。


「まあまあね」


ぷいっと顔を背けたレイシアだが、結構気に入っているようだ。


「右の扉が寝室と風呂と手洗い場、好きに使ってくれていいそうだ。外に出る時は衛兵に言伝をしてからで頼む。」


さらさらと説明し終えて「俺は用があるから。また顔を見に来る」と退出していったケヴィンの背中を一瞥し、ふかふかなベッドにダイブする。


「意外と自由はあるのね」


ゴロゴロと寝転がるレイシアを尻目に、キョロキョロと部屋を見渡すルイス。


「俺はどこに寝ればいんだよ」

「籠でも用意して貰いましょうか?」

「…どんだけ妖精に戻したいんだ。」


溜息を吐いたルイスは結局、ソファーで寝ると言って毛布を1枚取って行った。

それからご飯を用意してもらい、風呂に勝手に入って眠る。

環境が変わったぐらいで泣きべそや弱音を吐くほどレイシアの神経が細いわけないため、言われた通りに好き放題やって眠る図太さはどこでも健在だった。


静かなレイシアの吐息の中で、ソファーを背に考えごとをしているルイスは寝室に行き、無防備に眠るレイシアの髪を整えて撫でる。


真夜中、城にいる僅かな妖精達とコンタクトを取るため抜け出しているのを知られるのは、また少し先の話。

ルイスはケヴィンに敵意識でも向けています。というか、レイシアに近付く者皆に炎を振りまいています。


ーーー真夜中の妖精ーーー


王城の豪華な庭園ではなく、その端の一角に小さな野花たちが自然豊かに堂々と咲き誇っていた。

そこに、赤い光がふわふわと向かっている。


《ル、イスさん?》


シャラン…と野花の花びらに座り薄黄色の光を放ちながら楽しそうに遊んでいる妖精達を見つけた。

その妖精達のうち、一匹がルイスに気付き近寄る。


《やっぱりルイスさん、この王城に来てたんですね》


黄緑の双眼が優しそうに垂れていて、白い羽をパタパタしながら近寄る妖精。


《ーーハンス。》


その姿を捉えたルイスが妖精のまま、黄色い双眼にハンスを映す。

ハンスは少し困った風にして、目尻を下げた。


《分かっています、この城を調べろ。でしょう?仰せのままに》


シャラン…と消えたハンスを一瞥して、ルイスは部屋に戻る。


夜は白くなってきた。

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