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大公家主催のお茶会③ 癒しの奇跡

 大公家で開かれた茶会に参加したミレイユ。彼女に敵意を向け、貶めるような発言をした公爵令嬢リーゼロッテは、ゲーム『スターライト・ロンド』でヒロインの前に立ち塞がる悪役令嬢だった。


 (ま、またメインキャラと出会っちゃった! ど、どうすればいいの!?)

 「ミレイユ様、如何なさいましたか?」

 「あっ……ご、ごめんなさいラーナフェルト嬢。す、すこし考え事をしていてね」

 「ミレイユ様、どうぞ私の事はラーナとお呼びください……申し訳ありません、私が余計な事を言ってしまったようですね。でもリーゼがあのような行動を取る理由を、ミレイユ様には知っておいてもらった方が良いと思いましたので」

 「い、いいえ、教えてくれてありがとうございますラーナ嬢」


 やや挙動不審なミレイユに怪訝な顔を見せるものの、彼女の内心など知るよしもないラーナフェルトは友人をかばうように続けた。

 ラーナフェルトとリーゼロッテは幼馴染で親友でもあるのだ。


 「リーゼは意地っ張りなだけで、本当はとても真面目で努力家な子なんです。ただフィルンハルト殿下の事になると冷静でいられなくなってしまって……」


 そう言ってラーナフェルトは微笑む。ミレイユに友好的な態度を取りリーゼロッテを窘めた彼女だが、根底では彼女を気遣っていたのだ。

 貴族達の間では皇室と大公家の絆を更に深める為に、フィルンハルトとミレイユの婚約を、と推す者も居るらしいのだ。それを知ってしまったリーゼロッテは不安から、あのような行動を取ってしまったとラーナフェルトが語る。

 

 確かに皇帝陛下も自分とフィルンハルトとの縁談をと言っていたが、養父である大公夫妻が断った筈だ。それに自分は今は大公女の身分とはいえ、半分は平民の血が流れているのだ。そんな自分が殿下と釣り合う筈がない。何より彼は『スターライト・ロンド』のメイン攻略対象だ。自分とそんな関係になったら、ただでさえおかしくなっているだろうゲームの展開が完全に破堤してしまう。それだけは絶対に避けたかった。


 「あ、あのラーナ嬢。私、その……殿下に恋慕の情はありませんの。だからリーゼロッテ嬢に敵意を向けられる謂れは、その……」

 「……まあ。それではリーゼの気持が空回りしていただけということですか」

 「えっと、その、はい……」


 何故かしどろもどろになるミレイユに、ラーナフェルトはくすくすと笑う。だがその目は真剣だった。


 「ですがミレイユ様ご本人の意思と、周囲の思惑とは別問題という事もあるでしょう? リーゼもそれが分かっているから、余計に苦しいのだと思います。彼女は貴族の娘として、家の為に、あの方の隣に立つのを望んでいるところもありますから」

 「家の為に……」

 「はい、エーデヴァルト公爵家は、代々皇帝陛下に忠誠を誓い皇室に貢献し続けてきた家です。リーゼは、その誇りと責任を背負って殿下の婚約者候補として努力してきたんです。私には少し気負い過ぎているようにも見えますけど……」


 そう言ってラーナフェルトは遠くを見るように庭園に目をやった。彼女はフィルンハルトとも親しい間柄である為か、この話は複雑な気持ちにさせるようだ。

 この世界には貴族としての責務があり、自分の意思とは関係なく政略で婚姻関係が結ばれる事は珍しくない。むしろそれが大半だ。大公夫妻がどれだけ自分を自由にさせてくれているか、ありがたい事だと感謝の気持ちを抱くばかりだ。


 (でもリーゼロッテ……貴女は、このままだと破滅しちゃうんだよ)


 ゲームの中のリーゼロッテは、本当に嫌な奴だった。彼女は高慢で陰険で、ヒロインへの執拗な嫌がらせもエスカレートしていく。全てはフィルンハルトに執着する歪んだ恋心からくる行動だったのだ。ゲームであればざまあみろで済むが、ミレイユが出会ったリーゼロッテは、口の悪い高慢な令嬢だったとはいえ、ゲームのキャラクターではなく生きている人だ。そして彼女の事情を聞いてしまった以上、このままゲーム通りに彼女が破滅していく様を黙って見ている気にはどうしてもなれない。


 (どうすれば破滅を回避できるんだろう……私に何か出来ることはないのかな……)


 庭園を散策しながらも、ミレイユの頭の中はリーゼロッテのことでいっぱいだった。ラーナフェルトから聞いた彼女の苦しい胸の内、そしてゲームで知る彼女の未来。その二つがぐるぐると渦を巻いて、ミレイユの心を締め付ける。ゲームの展開を変えるのは避けたいけど、彼女が破滅していく未来も見たくないのだ。

 いくら考えても良い考えが思い付かない、大きくため息を漏らしたミレイユの耳に悲鳴が飛び込んでくる。


 「っ!? 何事かしら」

 「あちらは……大公妃殿下や母様達が居られる方ですね」

 「何かあったみたいね、皆さん行きましょう」


 庭園の向こうから聞こえて来た悲鳴。そちらは姉アシェラや、母メルヴィアと客人達が居る方角だ。ミレイユは顔色を変え、ラーナフェルト達と共に急いでその場へと向かう。

 何事かと駆け付けた彼女達が見たのは、芝生に倒れ込むレティア・エーデヴァルト前公爵夫人の姿だった。


 「お義母様、しっかりしてください! そんなっ、さ、最近は発作も殆ど無かったのに……」

 

 倒れ込み苦しそうに胸を抑えている前公爵夫人に呼びかけるエーデヴァルト公爵夫人。

 前公爵夫人は心臓に病を抱えているものの、最近は病状は安定し発作も殆ど無かったのだが、それが突然ここで起きてしまったのだ。

 公爵家の侍女が発作を静める為の薬を飲ませるも、一向に治まる気配は無く、バタバタと苦しそうに前公爵夫人は身を捩る。


 「医者を早く呼びなさい、急いでっ!」

 「おばあ様! し、しっかりしてくださいっ!」


 アシェラが直ちに医者を呼ぶように命じる。ミレイユ達に遅れて駆けつけたリーゼロッテは、震える祖母の側に駆け寄りしっかりしてくださいと呼びかける。

 だがその呼びかけにも碌に応じる事が出来ない程に、レティア前公爵夫人は苦しんでいた。使用人が大急ぎで医者を呼びに行くが、それでも到着には時間が掛かる。


 (わ、私の癒しの力なら……で、でも癒しの力を使うところを、こんな大勢に見られたら……)


 ミレイユは迷っていた。自分の癒しの力の事は皇帝や皇室の方々、そして大公家の人間など限られた人間しか知らない。大公夫妻からも秘密にするようにと言われているのだ。

 

 「おばあ様っ、い、嫌ですっ、死なないでっ……だ、誰か、誰かおばあ様を助けてっ! お願いっ、お願いしますっ……う、うぅぅっ……うわぁぁぁんっ!」

 「リーゼロッテ嬢……」

 (迷っている暇なんて無い……助けられるのは、私だけっ!)


 震える祖母の身体に抱き着きながら、リーゼロッテは誰か助けてと涙ながらに呼びかけるが、誰も応える事が出来ず立ち尽くすだけだ。

 泣き叫ぶ彼女を見てミレイユの覚悟は決まった。ゲームの中では敵役だったとしても、目の前で苦しむ人を、悲しむ人を救えるのに助けないなんて、自分には出来ない。たとえ秘密が露見して面倒な事になっても、目の前の命には代えられない。


 「お義母様、前公爵夫人は私が助けます」

 「ミレイユ!? そうね……それしか間に合わないかもしれない、頼んだわ」


 大公妃へと癒しの力を使うと告げ歩き出すミレイユ。母はそれを止めずに頷いた。大公家の主治医を呼んでいるが、到着するまで時間が掛かり過ぎる。一刻を争うこの状況では、ミレイユの力を頼る他無い。

 ミレイユはエーデヴァルト公爵夫人に退いてもらい、前公爵夫人の元に跪くと彼女の手を握り祈るように目を閉じ意識を集中させる。

 ざわめく貴婦人達を他所に、徐々に彼女の手から柔らかな光が溢れ出し前公爵夫人の身体を包み込んでいく。


 「癒しの光よ。この人の苦しみを取り除いて……」

 「ミ、ミレイユ様……」

 (ああ、なんて綺麗な光なんだろう、それに、すごく暖かい……)


 祖母に縋りついていたリーゼロッテは、目の前で起きている神秘的な光景に呆然と声を漏らす。暖かな光が彼女にも伝わり、悲しみに満ちていた心が癒されるような感覚を覚える。なんて心地よく暖かい光なんだろうか、その優しい光に彼女も思わず目を細めた。


 「なんて神秘的な光景なのかしら……」

 「あの輝きは、まさか光魔法では?」

 (ああ、知られてしまったわね。これ程の人数の口止めなど不可能だわ。早晩神殿にも嗅ぎ付けてくる筈だわ)


 前公爵夫人を包み込む癒しの光に、令嬢達も貴婦人達も息を呑み心奪われている。

 これだけの人数の貴族に知られてしまっては、もう隠蔽など不可能だ。ミレイユに光魔法、癒しの力がある事が知れ渡り、彼女を聖女として囲い込もうと神殿も動き出すだろう。

 メルヴィアは額に手を当て顔を顰めていた。アシェラも厳しい表情を浮かべており、この事態がどうなるか分からない不安が募っていく。

 やがて光が消えると、穏やかな呼吸を繰り返すレティアの姿があった。苦痛に歪んでいた表情も和らいでおり、その顔色は先程までと比べものにならない程良くなっている。


 「おばあ様!」

 「うぅ……リー、ゼ……?」


 レティアはゆっくりと目を開け、孫娘の顔をぼんやりと見つめる。発作のショックから、少し意識が朦朧としているようだった。

 リーゼロッテは安堵のあまり、再びレティアに抱きつき大声を上げて泣き始める。


 「おばあ様っ、良かった……本当に良かった! 」


 泣きじゃくる孫娘の頭を、前公爵夫人は弱々しいながらも優しく撫でてやる。少しして大公家の主治医が駆けつけ彼女に処置を始めた。ミレイユはそれを見届けると静かに立ち上がり、その場を離れようとする。だがそこで、エーデヴァルト公爵夫人が深々と頭を下げた。


 「ミレイユ様、感謝いたします。この御恩は一生忘れません。貴方様のお力がなければ、お義母様は……」

 「い、いいえ! と、当然の事をしただけです。前公爵夫人がご無事で何よりです」


 パタパタと手を振って当然の事をしただけですと語るミレイユ。視線の先では立ち上がったリーゼロッテが、涙とぐしょぐしょになった顔で深く頭を下げる。


 「ミレイユ様っ、あんな酷い態度を取った私の願いを聞いてくださり、本当に、本当にありがとうございます!」

 「気にしないでリーゼロッテ嬢、確かにちょっと悲しい気分になったけどもう大丈夫。それに、助けられる力が私には有ったから、それを使わないなんて選択肢は無かったの」

 「ミ、ミレイユ様……ごめっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ」


 自分があんな失礼な態度を取ったというのに、ミレイユは祖母を助けようと必死に力を使ってくれた。また同じ場面にあっても、私は同じ事をするよと微笑む彼女に、感極まったリーゼロッテは抱き着いてわんわんと泣きながら何度も謝罪する。その姿は、先程までの気位の高い令嬢の仮面をかなぐり捨てた、年相応な少女のものだった。

 ミレイユはそんな彼女の背を優しく撫でてやる。そして同時に、自分に残るゲームの記憶の中にある、悪役令嬢リーゼロッテの印象が音を立てて崩れていくのを感じていた。

 こんなにも家族思いで、素直な一面を持っている人だったなんて。ゲームでは知ることのできなかった、彼女の本当の姿を見た気がした。



 

 前公爵夫人が倒れた事件があった事でお茶会は中止となり、招待客達は次々と大公邸を後にしていく。

 

 「一応口止めはお願いしましたが、これだけの数です。誰かが漏らすでしょう」

 「神殿寄りの貴族と親しい者も居る筈、他の者を経由して伝わる可能性が高いわね」

 

 大公妃とアシェラは、帰り行く招待客達を眺めながら難しい顔をして話し合っている。ミレイユの光魔法と癒しの力は、奇跡と呼んで過言無い力だ。あの権力の亡者達は自分達の権勢拡大の為に彼女を狙って来るだろう。この事については夫達や皇室も交えて対策を練らねばならないと二人は考えていた。

 二人の視線の先には招待客の令嬢達に挨拶するミレイユの姿があった。

 

 「ミレイユ様、こんな形で終わってしまいましたが、今日は素敵な一時をありがとうございます」

 「あのクリームパン、本当に美味しかったです。素晴らしいもてなしをありがとうございました」

 「ほら、リーゼ、貴方もミレイユ様にご挨拶を……」

 「わ、分かってるわラーナ……」


 ミレイユの周りにはラーナフェルトとルミアが立ち、素晴らしいもてなしをありがとうございますと微笑みお辞儀する。ラーナフェルトが隣にいるリーゼロッテに促せば、恥ずかしそうに俯いていた彼女も顔をあげる。

 

 「ミレイユ様、今日はごめんなさい。そしてありがとうございました……その、ク、クリームパン、すごく美味しかったです」

 「うん、気に入って貰えて私も嬉しいです。ラーナ嬢、ルミア嬢、そしてリーゼロッテ嬢、貴方達が良ければ、私のお友達になって欲しいな」

 「は、はいっ、喜んでっ! 私の事はリーゼとお呼びくださいませっ」


 ミレイユのその言葉にリーゼロッテは感極まったのか涙を浮かべながら何度も頷いた。ラーナとルミアも快諾してくれ、お互いに微笑み合う。最初は険悪な雰囲気だったのが嘘のようだ。


 「ルミア嬢、貴方にも謝らないと……心無い事を言ってごめんなさい」

 「い、いえっ、大丈夫ですリーゼロッテ様。わ、分かって頂けたら良いんです」

 「ありがとう。私達は皆ミレイユ様のお友達になったのだから、貴方も私の事はリーゼとお呼びくださいな」

 「わ、私なんかが……で、では、リーゼさんとお呼びさせて頂きます」


 リーゼロッテはルミアに対しても深々とお辞儀をして謝罪し、頭を上げてくださいと慌てていたルミアも、リーゼと呼んで欲しいと微笑む彼女に対して分かりましたと頷く。


 「私クリームパン以外にも美味しい物沢山作りたいの、また招待するからここに遊びに来てね。皆で食べようよ」

 「ええ、是非伺わせて頂きます!」

 「今から待ち遠しいですね」

 「じゃ、じゃあその時は我が領名産の茶葉をお持ちしますわ」


 彼女たちの明るい返事にミレイユも笑顔を返す。こうして彼女は初めて同年代の友人と呼べる存在を得る事が出来たのだった。

 友人達を見送り終えると、ミレイユは大きく息を吐く。緊張の連続だったり、事件も起きてしまったが終えられてよかった。


 (悪役令嬢リーゼロッテ、彼女を破滅の未来から救う事は出来ないかな……)

  

 あの場で感じたリーゼロッテへの同情や救いたいという気持ち、それは本物だ。だけどそれはゲームのシナリオを破堤させる行為だ。そんな事をしてよいのかと彼女は苦悩しながら邸内へと戻って行く。




 「おばあ様、お加減はいかがですか? 戻りましたら主治医の検査を受けましょう」

 「ええ、大丈夫よ……こんなに調子が良いのは久しぶりだわ」

 

 大公邸から戻る馬車の中で。レティア・エーデヴァルト前公爵夫人は孫娘を自分の胸に抱きながら優しく頭を撫でている。こんなに穏やかな気分になれたのは本当に久しぶりだ。身体も病気を患う前に戻ったかと思う程調子が良い。

 あの心地よい光はなんだったのかと聞かれれば明確には答えられないが、自分は確かにあの光に救われた。


 「本当に、ミレイユ様には感謝しなければいけませんね」

 「でも申し訳ないのは、大公家は殿下のお力を隠したがっていたというのに、私のせいで広まってしまった事よ。口止めを頼んでらしたけどあの人数だわ、必ず誰かが外部に漏らしてしまう」

 (そんな隠していた力を、私のおばあ様を助ける為に使ってくれた。私があんな酷い態度を取った後だというのに……)


 また同じ場面にあっても、私は同じ事をする。そう微笑んだミレイユの顔を思い出して、リーゼロッテは自分にはとても真似できないと思った。

 

 「……殿下があの方を選ばれるのなら、私は素直に身を引きますわ」

 「リーゼ、貴方……」

 「だって敵わないって思ったんです。お二人が互いを思い合うなら、私はそれを祝福したいです。それに私、新しい目標が出来ましたの」


 皇孫フィルンハルトの伴侶に相応しい完璧な令嬢を目指す、それはリーゼロッテが目指し続けた事だ。だが前公爵夫人はこうも感じていた、孫娘はその目標以外何も目に入らず、空回り苦しんでいるとも……。


「貴女の気持ちがそう変化したのなら、私は嬉しいわ。その貴女の新しい目標、聞いても良いかしら?」

「私は、ミレイユ様の友人として恥ずかしくない令嬢になりたいです。そしてあの人のように、誰かが困っていたら助けられる立派な人になりたいんですの」

「あらあら……ふふっ」


 新たな目標を笑顔で語る孫娘の姿に、前公爵夫人は嬉しそうに微笑んだ。ゲームの彼女は狂気的に皇子に執着していったが、現実の彼女は尊敬できる相手を見つけて徐々に変化していこうとしている。これは紛れも無くミレイユがこの世界に転生して起こした変化だった。

 



 お茶会から数日経ったある日……。


 「リーゼロッテ嬢、ミレイユはこれから僕と演劇を見に行くんです。その手を放してもらえるかな?」

 「あーら殿下、先約は私達でしてよ。私達これから帝都で評判のお店にお菓子を食べに行きますの。殿方の横入りは無粋ですわよ!」

 (な、なんでっ!? なんでフィル様とリーゼがバチバチに睨み合ってるの!?)


 タウンハウスにやって来たフィルンハルトと、同じくやって来たリーゼロッテがミレイユを巡って正面から睨み合っている。傍に立つラーナフェルトは二人ともしょうがないなと苦笑し、ルミアはどうしたらいいか分からずにオロオロしている。

 今日は友人達と街へ出かける約束をしていたのだが、そこにフィルンハルトが来訪してきて今に至る。二人は左右からミレイユの腕を取り火花を散らし合っている。

 ど、どうしてこうなったのー、と彼女が心中で叫ぶ中、皇子と公爵令嬢の睨み合いという珍事がタウンハウスの前で繰り広げられるのだった。


 (身を引くとは決めましたが、殿下がミレイユ様に相応しい殿方かどうか、見定めさせていただきますわよ!)


 混乱し目をグルグルと回しているミレイユ。リーゼロッテは彼女の腕にギュッと抱き着きながら、こめかみをピクピクさせている皇子に向かって、ふふんと笑うのだった。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございます。


 ミレイユの奮闘により前公爵夫人は救われ、空回りして苦しんでいたリーゼの心も救われ、彼女は破滅の未来を回避する事になりました。しかしミレイユの行動は神殿に知れる事になり、彼女を欲して神殿が動き始めます。


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