第1話 旅立ち前のギルド登録
2章開始!!
父から調査旅行を命じられた翌日。
オレは父に連れられて、ユースティーナとギルド省に来ていた。
ギルドに関する法律の制定施行、教育施設の運営管理、ダンジョン管理とギルド運営などを行う省である。
ギルド本部となっているこの場所は、多くの探索者や研究者、事務員たちが揃っていた。ガヤガヤとした雰囲気があり、ここが省庁だとは思えないほどだ。
オレたちの後ろには普通に庶民が歩いている。それは、ここの普通でもあった。正直、何か使用とは思わない。
「ウェインとユースティーナは、学院の研究者としてのギルド登録になる。だから、ダンジョンには必ず、探索者登録をした人を連れて行かなければならない」
父は探索者としての活動について、説明してくれる。カルロスも久しぶりに来たのか興味津々に周りを見渡していた。
「ギルドの探索者登録はギルド学校へ通わなくてはいけないんだ。お前たちの場合は学院の研究者として依頼をこなして、ギルドが認めれば正規の探索者登録ができるがな。取り敢えず、研究者として登録し、仕事も得られるようにしておこう。自由に稼ぎなさい」
父は、事務員に書類を渡し、渡された事務員は書類を承認する。すぐにカードを手渡された。おそらく、すでに作ってあったのだろう。
「では、こちらをお持ちください。ギルド登録者の身分証になります」
それぞれ、カードを受け取り裏表を見ると、表には神殿で受け取った木の板に描かれたものと同じ模様がある。自分だけとは言い難いが、特徴のある模様だ。
「学院でも測定されますので、その後に新調します」
「これが、二つ合わさって完全な身分証として扱われる。ある意味、上流階級の証明書みたいになる」
「なるほど……?」
どうやら、あれは更新されるらしい。オレもまたやらされるのだろうな。神には会えるのだろうか。
「神殿で再度の測定を受けられるのは、王立魔法学院だけだ。お前も……もう一度受けてもらうからな」
「そやな、そもそも……オライオン様が学院長やしなぁ」
「押し付けられたんだよ」
オライオンは肩をすくめて、オレを見る。ユースティーナは、カードをまじまじと見てうれしそうだ。オレはそんなユースティーナの髪を引っ張った。
「さて、ウェイン……ユースティーナ。この国をその目で耳で肌で、感じて触れておいで。楽しいと思うよ」
父がオレたちの名前を呼び、自身に注目を向けさせる。優しさにあふれる目はとても、優しかった。
しかし、その時……。
「あぁ、オライオン様。こちらにおられましたか」
「ルーサー、どうした? お前が探しに来るのは珍しいじゃないか」
父の秘書官兼護衛を務めているルーサーが、父を呼びに来た。なにせ、今日は護衛をカルロスがやっているので、何ら問題はないのだ。
「神殿から、勇者が選ばれたと」
ルーサーは父やオレたちにだけ聞こえる声で、重々しく言葉を落とす。父は、目を瞑ってからしばく何かを考えた後に目を開けた。
オレはドクンッと心臓が跳ねた気がする。痛み、よりも……ズンッと重くなるような感覚がした。勇者になんか殺されたくない、そんな気持ちが膨れてくる。
そして、反対に「殺してやろう」という気持ちが、沸々と沸き立ってくる。
オレは手をキュッと握った。
だって、本当はそんな気持ちが間違えだということはわかっているから。
まだ、今はこれが理解できている。
でも、呪が進行した先はどうなる?
「勇者……な。承知した、それは兄には?」
「既に、お伝えしております。その事で、今後……何かが降りかかるのではないかと、国王は疑心暗鬼になっておりまして……」
父は、オレの背中に手を置く。その手は温かく、オレの体を解してくれた。
「……。ウェイン、明日旅立て。そのほうがいい」
「そうですね。その方がいいでしょう」
ルーサーも頷き、カルロスは「仕方ない」と、呟きながらオレの頭を撫でた。
「うっせぇよ、どうせ……オレが元凶だって言うんだろうよ。バーカ」
「ウェイン、そんな事あらへんよ。お前を見てくれる人はたくさんおる。やから、これから頑張ろ」
「そうだ、お前を元凶と思うのは、少ないだろ。多くても、私はお前の味方だからな。安心しろ」
父とカルロスは、にこやかにオレを受け入れてくれる。きっとこれから、何度も会議が行われるのだろう。そして、父はそこからオレを逃がしたいのだろう。そう、思った。
人の優しさに、オレはとても苦しい。
「それが、庶民に伝わったらどうするんだよ」
「どうにかすればいい、お前はお前の力がある」
父のまっすぐな目はとても、頼もしいもの。それが息苦しくて、辛いが。父がそういうのならば……仕方ない。オレは行ってやってもいいか。と、思い始めていた。
「大丈夫よ……。貴方なら、例え。勇者に殺されかけても。きっと、生き延びることができる」
「……そうかよ」
窓を見ると何処か、晴れ晴れとしていて。勇者の誕生を喜んでいるかのようだった。
「鬱陶しい天気だよな」
「まぁ、暑いかもしれないな。カルロス、お前もすぐに支度をしてくれ」
「かしこまりました」
オレは、明日旅に出るらしい。どんな旅がそこにあるのだろうか。




