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エピローグ:愛の計算式は無限大

 それから数ヶ月後。

 レオフルート王国の王宮で、盛大な結婚式が執り行われた。

 隣国の「悪役令嬢」だった私が、この国の王太子妃として迎えられることに反対の声もあったそうだが、アルフレッド様が「文句がある者は私の前に出なさい」と笑顔で威圧した結果、全員が諸手を挙げて祝福してくれた(ことになった)。


 式の後。

 私たちは喧騒を抜け出し、王宮の庭園を歩いていた。

 色とりどりの薔薇が咲き乱れる、美しい庭。

 そう、ここは10年前、私たちが初めて出会った場所だ。


「懐かしいね。あの時の僕は、ここで一人で死ぬつもりだったんだ」


 純白のタキシードに身を包んだアルフレッド様が、感慨深げに呟く。

 その隣を歩く私は、彼とお揃いの純白のドレスを着ている。


「私も、まさかここで拾ったサンプルが、将来の旦那様になるとは計算していませんでしたわ」

「ふふ、君らしいや」


 彼は立ち止まり、私に向き直った。

 夕日が、彼の金色の瞳を優しく照らしている。

 10年前、絶望に染まっていたその瞳は今、溢れんばかりの幸福に満ちていた。


「ねえ、エリーゼ」

「はい」

「あの時、君は僕に『逃げて』と言われたのに、手を離さなかったよね」

「ええ。データ収集のためでしたから」

「……意地っ張りだなあ」


 彼は苦笑しながら、私の左手をそっと取った。

 呪いの痕が消え、代わりに薬指には、大粒のダイヤモンドが輝く指輪が嵌められている。


「僕はね、あの日からずっと誓っていたんだ。もし奇跡が起きて生き延びられたら、今度は僕が君の手を絶対に離さないって」


 彼は私の手の甲にキスをし、甘く囁いた。


「愛しているよ、僕の可愛い計算高いお姫様」


 その言葉に、私は胸がいっぱいになりながら、最高の笑顔で答えた。


「ええ。……覚悟してくださいませ、アルフレッド様。私の計算では、私たちはこれから死ぬまで、いえ死んでからも末永く幸せになる予定ですので」


 計算違いから始まった私たちの恋は、こうして誰も予想できなかったほどのハッピーエンド(解)へと辿り着いたのだった。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


エリーゼとアルフレッドの恋物語楽しんで頂けましたでしょうか?


ブクマや評価(★)での応援をいただけますと、執筆の大きな力になります!

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


次回作は7/1(水)22:40より連載開始します。


「感情を不要と切り捨てた王子ですが、妻を愛してから様子がおかしいです 」


宝石王子シリーズ第三弾「氷のサファイア」と恐れられる冷徹な王子サイラスが登場します。

愛を知らなかった冷徹な王子が、たった一人の妻を溺愛するまでの物語です。


よろしければ、新作もよろしくお願いします!

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