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夜の砂浜
そこは、夜の砂浜だった。
押し寄せるさざなみ。
匂いたつ白波。
浜の白砂はさらさらと細かく、踏みつけた感触が心地よい。
潮風が遠い海の果ての景色を運んできた。
しかし、思い浮かぶのは目の前に広がる暗い夜の海だった。
砂浜に安置された簡素な安楽椅子に腰かける。
左の肘をついて、体を寄せた。
夜闇の狭間には星々が所狭しと並んでいる。
水平線を眺める。
その少し上には、黄金に輝く望月が浮かんでいた。
世界という箱庭に空いた穴のような、のっぺりとした満月だった。
柔らかな光が、まるで唄のような光の橋を海面に掛けている。
そんな夜の砂浜で、ただ、海を眺めていた。




