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Zakkan  作者: 波暮
23/27

月影


遠い昔、少年が夜を指さして

月の影がみえる、と言った


嘘だと思った

陽の当たらない場所が見えるはずはない

光がないから影なのだ


それでも少年は笑った

やはり、月の影はそこにある



時が経ち、私にも暗月がみえた


月の美しさは変わらない

むしろ、幼い頃よりもずっと

歳を追うごとに貴く、白く、輝いている


そんな私にも暗月がみえる

日の当たらない、影がそこにある

 幼い頃は目に映ることのなかった

  この世の影だ


欠けたることのない望月より

暗く輝く新月より

三日月こそを美しく思うのは


 色濃い影と、そこに投げかけられた光が

 命の実像にかさなるように見えるから



それは人に、よく似ている

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