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Zakkan  作者: 波暮
24/27

雨蓋

拒絶するように 目蓋をとざしても

耳を塞ぐことは どうしてもできないから


だから、きみは手を添えるかわりに

音で蓋をするのだろう


  幼気な砂の城を 

  長い足で蹴散らすような


  生乾きのコンクリートを

  遊び心に踏み荒らすような


些細で身近な

チクチクした飛沫の振動が


町では雨のように

降り注ぐので


和紙のように繊細な

きみの心が濡れないように


優しい音色で 蓋をする



  なにも聴こえないように



鼓膜に届いたなら

反応せずにはいられない


人の感覚器官は、マイクのように

思うよりもずっと高性能で


心のフィルターは

 拾うすべてを素通りさせるには

 ちょっと、目詰まりしやすいものだ


時間をかけた濾過を経て

やっと飲み水が一滴、滴る


割に合わないことをするよりも

蓋をする方が楽なので



  なにも聴こえないように

  きみは音に酔いしれる



美しい旋律と調和は

人の世界の外側で揺蕩うから


断層のように

きみと世界を隔つのだ


銀河と 星と

社会と きみと


その間に 光でさえも長旅を要する

遠い遠い 空間があるから


きみは一個の星でいられる



  音楽は、宇宙だ



神聖にして 冒されざる

きみの芸術を 汚さぬように

 

白い耳に 手を添えて

音は 手のひらに宇宙をつくる



  今日も止まずに雨が降る

  傘を差すこともできないきみは


  優しい音色で 蓋をする

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