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世界は、また壊れ始める
白化解除は、都市の端から始まった。
止まっていた鐘の余韻が消え、次の音が鳴る。空中の紙片が落ち、鍋から湯気が立ちのぼり、母親の腕の中で子どもが泣き出した。
温度が変わる。音が続く。花が揺れ、歯車が摩耗し、壁の亀裂から細かな砂がこぼれる。
世界は、また壊れ始めた。
療院では痛みに声を上げる者がいた。完全治療の維持を選び、再接続を求める者もいた。離脱したことを後悔する者には、再び選択の席が用意された。
誰も一度の決断へ固定されない。
中央核は、四本の分散装置を通して一人ずつ異なる速度で解除された。エリスたちは英雄のように一斉に世界を救ったのではない。戻る音と身体を一つずつ確認し、途中で何度も止まり、やり直した。
カインゼルは感情の一部を戻し、中央塔の床に座り込んだ。エリスは慰める言葉を探さなかった。彼の痛みを自分の結論で整えないため、ただ離脱装置の手動レバーを手の届く場所へ置いた。
最後の固定が解けた時、雨が降り始めた。
白い国の塗装は濡れ、早くも一部が剥がれた。トルヴァンが修理箇所を数え、ロイドが「仕事が増えたな」と言う。
エリスは仲間に抱えられたまま、濡れた街を見渡した。
壊れる可能性が戻った。
それは同時に、直すこと、育つこと、変わること、明日を選び直すことが戻ったということだった。




