表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

信長廃嫡

作者:白紙撤回
 
「山城入道殿が姫を嫁に迎えるは、勘十郎じゃ」
 
 ときに天文十七年。
 平手中務政秀は大殿、織田備後守信秀から美濃へ赴くよう命じられた。
 美濃一国を支配する斎藤山城入道道三の娘を、平手が附家老として仕える三郎信長ではなくその弟、勘十郎信勝の嫁に迎えるための使者として。
 
「うつけに継がせれば家が滅ぶわ」
 
 尾張一国の大名に実力で成り上がった信秀は、婆娑羅な身なりで領内を闊歩するなど奇矯な振る舞いのある嫡男、信長を廃して、信勝を世継ぎに代えようと言うのだ。
 遡って天文七年。
 五歳の信長は幼名の吉法師を名乗り、信秀の後継者として支配することになる津島湊、熱田湊を訪ねてその風物を学ぶ。
 強い領主を戴いてこそ国は豊かになるのだと、吉法師は出会う人々に父信秀への尊崇を語る。
 だが信秀は、吉法師の身に害が及んでも代わりとなる息子は何人もいるのだと吉法師当人に告げる非情な顔も備えている。
 そして吉法師が敬愛する姉の蔵《くら》が嫁いだ大橋家が、父祖代々の居城を信秀によって召し上げられた。
 その命を大橋家に伝える使者を務めたのは、吉法師の赤子のうちからの傅役であった平手だ。
 吉法師は父信秀を尊敬の対象ではなく、行く手にそびえる岩塊であって踏みつけ乗り越えるべきものとみなすようになる。
 しかし熱田への抑えの城となる那古野の城主に任じられた吉法師は、ただ飾り物として扱われるばかりだ。
 やがて十三歳で元服を迎えた吉法師だが、城主としての実権は、なおも与えられない。
 その鬱屈を表すように、なおも幼名を名乗り続ける吉法師だが、胸中ではいずれ信秀に実力でとって代わるのだと密かに念じ続けている──
 
 
 
「」カクヨム掲載中
https://kakuyomu.jp/my/works/16817330652600459148
最初へ 前へ 次へ 最後へ
エピソード 1 ~ 100 を表示中
2023/02/05 00:10
第一章  津島
第二章  熱田
第三章  那古野
第四章  三河大浜
第五章  美濃井ノ口
第六章  三河小豆坂
第七章  三河小豆坂 其ノ二
第八章  天王向島
第九章  末森
第十章  萬松寺
第十章  萬松寺(1)
2023/04/01 02:01
第十章  萬松寺(2)
2023/04/01 09:34
最初へ 前へ 次へ 最後へ
エピソード 1 ~ 100 を表示中
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ