第6話 謎と王命
「何をする! ん?その髪と瞳・・・貴方はもしやファンクォーツの王子!?
その隣はまさか《疾風の魔導師》!?他にも・・・赤い髪。見た目からしてまさか《紅焔の魔導師》!で黒髪は辺境伯か!?」
「やっぱりバレた」
「ほう、髪と見た目で当てるか」
「私は辺境伯ではありません。従弟です」
アルマート、ルベルト、ジークハルトの順に答える。
「私はファンクォーツ魔導王国第2王子 ランカス・ファンクォーツ。
こっちは《疾風の魔導師》にしてDSEA所属のアルマート・ヴァータイト大尉。
そして《紅焔の魔導師》ルベルト・カーバンク公爵に
辺境伯の従弟であるジークハルト・シャーマ伯爵だ。
こちらは名乗った。そちらの身分と名を名乗れ。そしてここに来た理由とその方法も」
ランカスが言うと口を開く男性。
「エイルーク王国 公爵子息ブラッドリー・クロッカス。選考会で落とされたのが不満で抗議しに来た」
「不満?」
そこにエーデルムートが口を挟む。
「クロッカス公爵子息は能力は高いのですが、自信過剰な所があり、
選考を進めている内に王配の地位目当てが強い事が判明しました。
自国の王子より『自分が相応しい』との考えがありましたし。
自国の王子を馬鹿にし、精霊の力を使う事がなんなのか理解が足りないとも判断されて、外されました」
「なるほど?婚約者候補のエイルーク王国の王子は第3側妃の子で継承権は下位。
確かクロッカス公爵家は王妃の実家だったか。
第3側妃は元伯爵令嬢で、王妃と別派閥出で後ろ盾も弱い。
王妃と実家の公爵家は第3側妃と第4王子を馬鹿にしているとの情報があったな。
子供である第2王子はそれをたしなめているとか」
ランカスが言う。
「精霊に理解が足りない奴を、よく上の方まで残しておきましたね」
と心底不思議な顔をするアルマート。
「体裁ですね。
それと本人が気づいて直るかどうかも見ていました。まあ『気付かない』という意見が多数でしたが。私もそうです」
「慈悲ですか。でも意味がなく、落としたと」
ジークハルトが悲しげに言う。
「それで?どうやってここまで来た?」
ルベルトが聞く。
「どうやってだと?それは」
言う前に黒いナニカがうごめく。アルマートが詠唱をする。
「白銀の光 かの結界を 強固なる力で包み込め」
白い光が結界を包み込む。アルマートがオトハに振り返り言う。
「アイザワ少尉達は機体に搭乗して。僕達は公爵子息に憑いているナニカを引き剥がす。
引き剥がさずに浄化する方法もあるけど、取り憑いてる人に負担がかかるから、今回は無理。
引き剥がしたらソイツは結界から出てきちゃうから、討滅を。別の結界張るからその中で戦闘をして。
混沌魔獣を召喚するかもしれないけど、そっちはファンクォーツやパイラ少尉、スピリタスの人達に任せるよ。
あと艦にも連絡を。スピア小隊に城近くに住んでる市民の避難と、戦闘準備をお願いしたい。
艦の方はこっちに来て、「切り札」の使用準備もお願いするかも」
驚くオトハ達。
「それほどのモノなの?」
「万が一の為に。別に張る結界は、空間を切り離す効果があるから皆中に入らないといけない。
一旦張ると解かない限りは入れないし出られないから、早く来てほしい。市民の避難は念の為」
「分かりました。行くわよ皆」
レンが言い、踵を返す。
とそこに
「わたくしにも手伝わせて!」
長いスカートをたくし上げアリーシェが走ってくる。後ろには専属侍女が。
「アリーシェ殿下!何故?」
困った顔をするレン。
「嫌な空気を察知しましたか。実は呼ぼうと思っていました。ですよね、ランカス殿下。他の2人も」
頷くランカス達。エーデルムートが驚く。
「殿下を危険にさらす訳にはまいりません!精霊魔術師達を手伝わせます!!」
首を振るアリーシェ。
「精霊魔術師達は、混沌魔獣の討伐準備。
魔装騎士操者は全員搭乗して。
それ以外の者は近衛師団と共に城の守りとDSEAの方々と協力し市民の避難誘導に。
街の兵とも連携を取って。指揮はエーデルムートに任せます。
クロッカス公爵家子息に取り憑いているモノは強大すぎて、精霊魔術師や近衛師団では無理よ。
ここはわたくしが手伝います。これは王命よ。メアグレッドが護衛をしてくれるから大丈夫」
「ファンクォーツの魔導師も護衛をします。ジークハルト」
ランカスに呼ばれ、「はっ」と返事をし前に出てエーデルムートを見る。
「私もアリーシェ殿下の護衛をいたします。『ファンクォーツの誇りにかけて』
貴方は民と陛下方をお守りください」
拳を胸に当てていうジークハルト。
「それならば、私は私の仕事をしよう。殿下を頼みます。ご武運を」
胸に手を当て走り去るエーデルムート。
「やけにあっさりと行ったな」
イジュンが言う。
「ファンクォーツの誇りにかけて、って言葉は国の誇りと自身の命を懸けますって意味。
シャーマ師団長は、対人護衛が1番得意だからランカス殿下は任せたんだよ」
アルマートが説明する。
「私達も急ぐわよ。艦には連絡済み。今こっちに向かってる。スピア小隊は発進済みでほら、そこまで来てる」
大きな音がして空を見ると、4つの機体が城を超えて街に向かう。
「流石に速いね。国境からここまで距離あるのに。もしかして艦長・・・」
アルマートが言う。
「勘ですって。嫌な予感がしたから発進準備をさせていたと艦長が」
レンが言う。
「なかなかのやり手だな」
ルベルトが呟く。
「流石だ」
とランカスが言い、ジークハルトが「あれがDSEAの兵器ですか」と呟く。
「艦ももうすぐ来るわ。指定ポイントはすぐそこ。行くわよ。殿下方、それでは失礼いたします」
レンが敬礼をし、ランカス達は拳を胸に当てる。
「ご武運を」
頷くと踵を返して走り出す。
「良い同僚じゃないか。安心したぞ」
ルベルトが言う。
「優秀だしいい人達だな。大切にしろよ」
ランカスが言い、ジークハルトが頷く。
「皆上から目線」
アルマートがむすっとした顔になる。ちなみにライオネルは終始口を開けっ放しだった。
「これをほどき、ここから出せ!」
叫ぶブラッドリー。
「王子である私に上から目線とは」
ランカスが言う。
「何故拘束など?無断侵入は謝罪いたします!」
とブラッドリー。
「どうやってここまで来た」
ルベルトが低い声で聞く。
「力を借りたのです!姿無き声に!あれは神だ!
どうしてもスピリタスに行きたくて、家で祈りを捧げていたら、『汝の願いを叶えよう』と声が聞こえて。
念じたら王城の門の前に。私の祈りに神が応えてくれたのです!」
実は辺境伯とよく間違われるジークハルト。




