第4話 執行宣言
主人公の出番
しぃん、と沈黙する会場。
ベアトリーチェは口を開く。
「殿下、わたくしとの婚約を破棄されると
本気で仰っているのですか?
ノエル侯爵令嬢を虐げたとの身に覚えの無い冤罪も、
この容姿を『呪い子』だ、不幸を呼ぶと
本気で思っていると?」
「本気だ!
ミリーを虐げた事、忘れたとは言わせないぞ!
私に愛されないからと醜い嫉妬をし、
王立学園で階段から突き落としたではないか!!
走り去る後ろ姿を見たものがいるのだぞ!?」
「殿下・・・わたくし怖かったです・・・」
ハニーブロンドのふわふわ髪とピンクの瞳の令嬢が、瞳をうるうるとさせている。
扇で口元を隠しているが、
ベアトリーチェには見える角度で嘲りの笑みを見せている。
「わたくし、学園には通っていないのですが?
卒業資格は取得してあり、
毎日王宮で殿下と国王・王妃陛下の政務をおしておりました」
「ひどいっ!嘘を吐くなんて」
「嘘ではありませんわ。
「私だけでなく、父上や母上の政務までしていただと?
病気療養中の身である父上や、看病している母上の
元に行っていないと聞いてはいた。
何度見舞いに行けと注意をしても
『忙しい』の一言でこれ見よがしに書類を見せつけ、
義理の親の元に見舞いに行かないと言い張る。
なんと冷たい女なのだ!
政務を肩代わりして成果を誇るだけしかできないとは、なんと嘆かわしい。
そんな事をしているヒマがあったら、
もっと私達を敬い着飾り、笑顔のひとつも見せれば良いものを。
母上はお前を気に入っていたが、
どのような手で洗脳したのか。
母上・・・悪女を追放後、必ず洗脳を解いて見せます!」
身振り手振りで大仰な動きをする王太子。
「嘘ではありませんわ。
政務を押し付けておいてそれを忘れ、
毎日来ては政務の邪魔をしていた事は忘れているのかしら?
王妃陛下を洗脳してはいない。
あの方は、最初からわたくしの味方だった。
ノエル侯爵令嬢も、殿下の幼馴染だから、と婚約者であるわたくしを目の敵にしていたのは分かっていたけれど。杜撰すぎる」
最後は小声で呟いた為本人達には聞こえない。
「貴女が貴族を次々と没落させている事は
重罪ではないと?」
そう発言してのは宰相子息の側近、
カルロ・ムーア侯爵令息。
茶髪にブラウンの瞳でメガネをかけている。
「横領、脱税、民に重罪を課す貴族達を暴いただけです」
冷たく返すベアトリーチェ。
「旧王家の容姿は『呪い子』の証だと、
皆も言っている!!!
それでも否定するのか!!!」
口を挟んできたのは
騎士団団長の息子
ビリー・ホーキンス伯爵令息。
ファイアレッドの髪と瞳の筋肉質で声が大きい。
「そんな迷信を信じているのは、
この国の方々だけですわ」
「王宮の予算を削減したせいで、
魔術研究が行えないのは貴女の罪でしょう」
そう言うのは魔術師団長の息子
レナード・アイビー公爵令息。
灰色の髪と黒い瞳を持つ。
「あら、わたくしが削減したのは無駄な衣装や装飾品、夜会の費用だけですわよ?
魔術研究は出来たはず。
それと用途不明のモノくらい。
製作しているものが何かは存じ上げておりますが、
一応お聞きします。
貴方達は何を製作していたのですか?」
首を傾げて聞くと、馬鹿にしたように笑う王太子。
「忌々しい奴。
皆に明かそう!
私達は、とある兵器の開発に成功した!
神々が使う兵器の再現に成功したのだ!
これを売れば、財政難のこの国は救われる!
これを見よ!」
そう言ってレナードが魔導具で空中に何かを映し出す。
それは司令室で見た動物型の機動兵器達。
人の形の機動兵器も。
会場が熱気に包まれる。
「人型も成功した!
完成した機体は少ないが、
これから増産する!
どうだベアトリーチェ!
もうお前は要らないんだよ!」
興奮のせいか頬が赤くなっている王太子。
貴族達も興奮を隠せない。
「凄いわ王太子殿下」
「神々の兵器を作り上げるとは!」
「これであの忌々しい小娘を排除できる!」
ベアトリーチェはため息を吐く。
「・・・ここまで愚かだとは」
一方
(婚約破棄確認、ハイこの国終了。
例のものも確認。
盟約違反確認っと。
じゃあ開始しようか)
アルマートが動き出す。
左耳に手を当て待機している大佐に通信する。
《こちらアルマート。
これより執行開始しますので、
当該兵器の破壊準備をお願いします。
中佐達は僕が拘束魔法を使用後、王太子達の
見張りをお願いします》
そしてニッコリ笑顔で前に出る。
「お話の途中すみませんが、宜しいでしょうか?」
突然の事に困惑する王太子。
「なんだお前は。
DSEAの人間か?
何か用か?」
「ええ、殿下達に」
「拘束」
呟くと、光の帯が出現し
王太子達を拘束する。
「何をする!無礼者!」
喚く王太子。
認識阻害を解き、メガネを外して元の姿に戻る。
「"盟約"に背き、
かの兵器を製造し、生産した罪。
婚約破棄で冤罪を被せ、自国を破滅に導いた罪。
そして、国王殺害未遂と王妃への冤罪。
これらの罪で拘束させて頂きます。
申し遅れました。私「DSEA
実行部隊【ガーディアン】本部所属
アルマート・ヴァータイトと申します。
以後お見知り置きを」
そのまま敬礼する。
「何で拘束されなきゃならねんだよ!!!」
ビリーが叫ぶ。
「作っちゃいけない兵器を作ったからです。
まぁ、婚約破棄した時点で終わりなんですけど。
暫くそこで転がっていて下さいね」
冷たい視線を送る。
「何故ベアトリーチェは拘束されていないのよ!
あいつが罪人じゃない!」
ミリーが叫ぶ。
「この国の為に頑張ってた方ですからね。
もう終わりですが」
「これは国の問題だ!!
いち組織には関係ないだろう!
それに父上の殺害未遂なんて知らない!
それに母上に冤罪を着せるわけがないだろう!」
叫ぶ王太子にそうだとあがる声。
「国が滅ぶなど緊急時の場合
強制的に干渉すると、”盟約”を交わしました。
教育必須で貴方達は習ったはずですよ?
何故知らないのでしょうね?
あとはい、これ証拠」
カバンからボールを取り出しコロコロと転がす。
ボールは止まると映像を投影する。
'少しの間動けなくなるだけだ。
今夜のワインに入れるよう、命令した。
母上に罪を被ってもらう。
牢に入るのは少しの間だけだ。
あとで私が罪を晴らせばいい'
瓶を片手にそう呟く王太子。
周りには側近達とミリーの姿もある。
「まあ、王太子殿下が?」
「嘘だろう?」
青ざめていく王太子。
「うちの情報網なめんなよ?
結界展開完了。
中佐、監視をお願いします。
会場の皆様、外は危険になりますから会場から出ないでくださいねー!
こちらアルマート。
こちらは拘束完了しました。
職員に監視をお願いしたところです。
そちらの準備は完了と。
では、
そちらも執行開始してください!」
ニコニコ笑顔て言ったアルマート。
数秒後
ドオン!!!
と音がし大地が揺れた。
少し地がでたアルマートでした。
次回ようやくメカの戦闘。




