曰く付きの絵画達
歩きながらケバブを食べ、色々な店を見る。
モヒートやチュロス、クレープにゴーフル(ワッフルの事)
パニーノ、ソーセージ、ハンバーガーなど
多種多様なお店が並ぶ。
「まだ祭りの前なのに出店並んでるんだね。
前夜祭やるから?
みんな美味しそう」
「工芸品とかは別の場所にあるわ。
お手伝いのドールもいるわね」
パラディオで使用されているアンドロイドの『ドール』
家事手伝いから店番、お使い、子守、警備など幅広く
使われる人間と同じ大きさのもの。
18メートルほどの機動兵器も『ドール』と呼ばれるが、
これは略しているだけである。
「皆準備に忙しいね。
ごちそうさまでした。
1年で最も活気づくし、お金も入るからね。
熱気が凄い」
「成功させないとね。ごちそうさまでした。
こっちね、この建物の地下」
角を曲がり、石造りの建物の中へ入る2人。
無人で物がごちゃごちゃしている。
間を縫い、赤茶の扉を開ける。
中はエレベーターになっており、
入ると通信ボタンを押す。
「こちらDSEA本部【ガーディアン】所属
アルマート・ヴァータイト大尉。
地下への入場許可願います」
「同じく本部試験小隊所属
オトハ・アイザワ少尉。
入場許可願います」
それぞれが端末に入っている身分証を見せる
するとザザッとノイズが走り
《確認しました。入場を許可します》
と声がした。
下がるボタンを押すと地下に下がっていく。
チーンと音がして扉が開く。
警備員がおり(人間)身分証を見せる。
どうぞと促されて歩いて行くと、
黒髪黒目の女性職員が敬礼する。
「初めまして。
パラディオ【ガーディアン】
フランシスカ・ピアッティ少尉です」
「アルマート・ヴァータイト大尉です」
「オトハ・アイザワ少尉です。
貴女1人が警備を?」
頷くフランシスカ。
「はい、あと絵の鑑定も行いました。
私は絵の影響は受けないので、
ここで警備をしています。
警備員も影響を受けにくい者達を
私が視て判断、配置しています。
警備用ドールは入れていません。念の為に」
「何かスキル持っているのかな?
影響を受けないって事は。
鑑定系かな?」
アルが聞く。
「はい、『鑑定』のスキルを。
パラディオに住む者には時々『鑑定』スキル持ちが
現れるのですが、
私の『鑑定』スキルは物の真贋以外にも
分かる事があって。
それで鑑定人に選ばれました。
あと少し魔除けの能力も持っています」
「なるほどね。
絵の鑑定をしたのも少尉だよね。
かなりヤバい絵かな?」
「1つ凄い物が。
他は勘の鋭い方や、感受性が高い方は
体調を崩す恐れがあります」
「僕に視せてくれる?」
「了解しました。 こちらです」
奥に案内する。
そこには様々な絵が並んでいた。
人物、静物、抽象画、風景画、生物画。
そのどれもが異様な雰囲気を纏っている。
「なんかもう凄いんだけど。
グートアハテン」
鑑定魔術を使用する。
すると
{鑑定結果
人物画 モデルを生き霊にさせてしまう
静物画 ポルターガイストを発生させる
抽象画 騒音と悪霊寄せの効果あり
風景画 魔物寄せの効果あり
生物画 絵からキリンが飛び出し走り回る
速やかに浄化する事を推奨します}
目の前に映し出された。
「うん、これは毎日大変なんじゃない?」
少し遠い目をしてアルが聞く。
「生き霊にポルターガイスト、騒音に
白いキリンが飛び出して走り回って。
毎日大変です。
モデルの方も大変だそうです。
魔物は魔除けのアロマを毎日焚いています」
「ああ、アロマね。
パラディオは魔術は廃れたからね。
アロマや鉱石から作るお守りや
ハーブとかで対応する。
魔導師や魔術師を配置させるよう司令に
進言してみるかな」
「支部長が司令に掛け合っていました。
今適任者を探しているそうです」
「ねえ、鳥肌凄いし寒いのだけれど。
温かい飲み物あるかしら?」
オトハが腕をさすりながら言う。
「あれ、お守りは? あーなるほど。
もう少し強い物を用意するよ。
効いてはいるみたいだけど、
沢山あるからね、ここ。
普通のレベルじゃ限界あるな」
「紅茶です」
とフランシスカが差し出す。
「ありがとう」
といい飲むオトハ。
「で、これが一番問題の絵ね。
魔除けと霊避けの布掛けてあるけど気配が凄いね?
布とっていい?」
確認するアル。
どうぞと言われて布を外す。
(その際絵を結界で囲んだ)
そこには
黒いモヤの前で倒れ伏すドールの山と
その姿を見て泣き崩れ、手で顔を覆い隠し、
呆然と立ち尽くすドール達。
周囲には炎が上がっている。
「これは戦争じゃないな。
この黒いモヤは『災厄』?
作品名は“悲しみのドール達" シンプルだな。
グートアハテン」
{鑑定結果
怨念を集めやすく、非常に危険です。
早急に浄化後処分を推奨。
警:絵の具の成分に浄化処理が施されていない魔石が含まれています。
油絵の具の材料に怪しい点多数}
「えーこれヤバい。
怨念を集めやすく非常に危険って。
浄化後処分をしろってさ。
これこのまま浄化して処分していいかな?
あ、処分は許可取らないと無理だっけ?」
フランシスカの方を見てアルが言う。
「それほどの絵だとは。
処分する事は可能です。
本部付きの職員に従えと命令を受けているので。
報告義務があるので失礼します」
そう言うと端末を取り出し通信を入れるフランシスカ。
「とりあえず結界で囲んでいるけど、
このままだとなぁ」
「なんだか近づきたくない。
凄く嫌な感じ。
何故なのかしら?」
オトハの質問に唸るアル。
そうしてもう一度、今度は解析に特化した術を使う。
{解析結果
絵の具に使用されている魔石、鉱物の内
有機顔料に稀少魔物サダフタートル・クサビリヘビ
サバポートコアリクイの魔石。
違法な密漁で採取された為に怨念付き。
無機顔料に有害認定されているアクラ水銀・サラ鉛検出。
その他材料も精製方法に問題あり。
乾性油に有毒物質で作られたポピーオイル使用
(罌粟油の代わりに麻薬成分を含んだ魔草ニケシを使用。
乱暴に採取された為5倍ほど危険率上昇)
樹脂には天然樹脂魔樹ダンパーを使用した樹脂使用。
溶剤にも危険性が高いとされているタンタイ使用。
いずれも惑星ペポーナで採取可能}
「材料に違法に採取したり密漁した動植物使ってる。
怨念つきまくりだし乱暴に採取したから危険性が高い。
あとは有害な物質も多数。
元々油絵の具に使われる物は発がん性がある物質を使ってる。
けどこれは違法な物が多い。
体調崩していないのが不思議なくらい」
アルが断言する。
アルピノの動物は狙われやすいから長生きできないようですね。
次回へ続く。




