聞き込みと手掛かりと
アル達は話しながらそのまま進んでいく。
それを監視し、後を付ける人物。
風が舞い、ゴミが視界を遮る。
顔に張り付きそうなソレを手で払い、
アル達を確認し追う。
そこに違和感を感じていない。
「うん、かかってるかかってる。
キサラギ少尉の方はどんな感じ?」
アルが尋ねる。
「はい、カメラもバッチリです。
いつでも入れますよ」
「幻覚を見せる魔術でそこにいるように見せて、
ハッキングでカメラも誤魔化す。流石だな」
関心するマサトシ。
「では行きましょう」
オトハが言い皆頷く。
「制限あるから早くしないと。
ああ、ここね」
そういうとオトハが取り出した道具を鍵穴に差し込み合鍵を作り中に入る。
「お邪魔します」
入ると驚いた顔の人物が。
「わ!本当に入ってきた。
流石DSEA、やる事が違う。
ええと、シュウヘイ・ミナト巡査部長であります」
茶色にブラウンの人物が敬礼をする。
「DSEA本部 ガーディアン
オトハ・アイザワ少尉です。
貴方が中尉襲撃現場に最初に到着された方だと聞きました。
どのような状態だったかお聞きしたいのですが」
「あ、はい!
ええと、『爆発があった』と通報を受けて。
自分が到着した時は瓦礫が散乱して酷い有様で。
けが人も多数おりまして混乱しておりました。
消防に連絡をして、すぐ野次馬が集まりだして。
応援を呼んだ直後にDSEAの方々が到着されたのですが、その直後通信で通すなと。
応援に来た同僚達も自分にそう言いまして。
そしてDSEAの方々と揉め出しました。
同僚達は自分達の管轄だから通さないといい、
DSEAの方々は情報は共有するから早く通せと。
もう何が何やら。
その内に消防も到着したのですが、揉めていて通れず。
DSEAの方がけが人がいるから消防を通せと声が聞こえました。
あと職員もけがをしている、こちらで引き取るから通せと。
その言葉を聞いた同僚が
何故知っている、さては監視していたなと言って。
信用出来ないといい銃を取り出しかけて。
一触即発の雰囲気になりかけて。
自分は他にもけが人がいるとの声を聞き、通しました。
そしたらこのような状態に」
「捜索の時は、職員の位置情報は把握してるし何かあったらすぐ急行できるように準備はしているし。
警察にも伝えられているはずだけど。
忘れていたのか、わざとか」
ぼそっと言うアル。
「ま、この星の軍や警察の一部は組織を嫌ってるからな。
自分達の手に負えないのに手を出されるのを嫌う。
星が荒れたのは、自分達じゃなくて組織のせいだと思ってる。
だから嫌いなんだよ」
マサトシが暗い顔で言う。
「その通りなのですが、まだまだ閉鎖的でして。
貴方はここの出身の方で?」
「ああ、事故で親を亡くして孤児になって、
養父と養母に育てられた。
裕福じゃなかったから色々あったクチ」
「そうですか・・・。
ああ、失礼しました。揉めている事しか印象がなく。
そうだ。
けが人の中に、確かリー家のお嬢様がいたはず」
「リー家?」
オトハが聞き返す。
「はい、採掘現場の作業用スーツや
道具などを開発する企業の社長令嬢で。
現場付近は孤児達が多く住むエリアで
お嬢様はこの子供達に支援しているんです。
お付きの方も怪我をして、でも今は自宅だったかな。
怪我は軽かったので退院しているはず。
その、行方不明の中に支援をしている子がいて、
気にかけていたので。
自分に何か言いたそうな様子でした」
「会いに行くのは大変そうだね。
でも行くよね?」
アルが聞く。
「行くわよ。
もうそろそろ限界かしら?」
マキとアルを見る。
「そうですね、そろそろ」
「僕のほうもかな。
強めに広範囲にかけたけど、
周囲が気づくかも」
「では立ち去りましょう。
巡査部長にはこれを。
お守りです」
そう言ってペンダントと四角い板を渡す。
「ペンダントは身につけて。
四角い板は窓に設置してください。
狙われた場合、簡易フィールドを発生させます」
「え、自分狙われる可能性が?」
「万が一の為です。
何かあれば、DSEAが保護します。
ご協力、ありがとうございました」
「こちらこそ。
気を付けてください」
互いに敬礼して部屋を出る。
「ええっと、リー家のお嬢様。ああこれね。
シャンテル・リー 18歳。
大企業の5代目社長令嬢。
会社経営の勉強の傍ら支援。
支援のお金は自分のアイデアから生まれた商品の
売り上げ。
親は支援をよく思っていない。
襲撃事件に巻き込まれ、怪我はかすり傷。
護衛が負傷し病院で手当を受け、退院済み」
「ああ、あのメーカーのお嬢様ねぇ。
母親は表面上は応援しているが、よく思っておらず
父親は反対だが言い負かされて何も言っていない。
本人は大学に通いながら週に1度は支援に行っている。
名門校じゃないかよ。
『将来は会社を継ぎ、病気や怪我をした者達の為の商品部門も設置したり、支援部門を作りたい』との事。
ふーん、まともなお嬢様なんだな」
マサトシが呟く。
「ここから遠いね。
電車乗り継いで行くにしてもどこかで宿をとらないとかな?
とれそうな宿は・・・あ、ここね」
「現地協力者の宿。そこへいきましょうか。
監視していた人物がいるところに移動して、
引きつけないとかしら。
移動しましょう」
オトハがそう言い、皆が頷く。
アルの転移魔術で跳び、
術を解除して大きめの声を出す。
「首都方面に移動しましょう。
ここからだと戻らないと」
くるりと身を翻したので隠れる監視。
歩き出して横を通過する。
術にかかっていた事には気づいていないようだ。
そのまま駅に向かい、切符を買い電車を待つ。
利用客がジロジロと見てくるが気にしない。
「普通の格好してても浮いてるのね僕達」
「まあ観光客は少ないからな、ここ。
端末がちょっと違うから、外からの人間だってばれたし。
目立つんだよな」
とマサトシ。
「閉鎖的ってちょっと・・・。
ラーシュの人間に少し好意的なのは
技術提供もあったからだけど」
とマキ。
「また物騒になってきたからかしらね?
早く解決させないと」
オトハの言葉に皆頷く。
アナウンスがあり
電車が到着し、乗り込む。
監視を気にしつつアルが言う。
「次のお嬢様の訪問、僕に少し考えがあるんだけど」
アルの考えとは。




