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前世の仲間ともう一度魔王を倒しに行く  作者: 雨森 澄
第2章

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第31話 確かめたいこと

 その日の夜だった。


 焚き火の火が静かに揺れている。川沿いの夜は冷えが早い。日が落ちるとともに気温が下がり、息を吐くたびに白く濁った。空には星が出ていたが、川から上がる湿気が薄い霞を作り、光が滲んで見えた。焚き火の熱だけが、じんわりと顔を温めている。


 リナは毛布にくるまりながら、昼のことを思い出していた。


 ――リナス。


 あの名前。聞き間違いではなかったと思う。川の音に混じって、でも確かに聞こえた。思わず漏れたみたいに、セイルは確かにそう言った。


 リナは小さく息を吐く。


 やっぱり、そういうことなのだろうか。


 旅の仲間。


 戦ったことがある。


 昔の話をした時の様子。

 

 戦いの時だけ妙に呼吸が合うこと。


 思い返せば、気づくことはいくらでもあった。


 セイルは多分、セイランだ。


 そう考えると、色々なことに説明がつく。


 でも、ひとつだけ分からないことがある。――セイルは知っているのだろうか。自分が誰なのか。


 リナは焚き火の向こうを見る。セイルは火を見つめていた。炎が揺れるたびに、その顔に光と影が交互に落ちる。何を考えているのかは分からない。ただ、静かに火を見ていた。


 もし知っているなら、なぜ言わないのだろう。もし知らないなら、どうして名前を呼んだのだろう。どちらにしても変だった。


「……明日、聞いてみよう」


 小さく呟く。焚き火の火が、風もないのにゆらりと揺れた。


 そう決めると、少しだけ気持ちが軽くなった。川の音が遠くで続いている。毛布の中は温かく、焚き火の爆ぜる音が子守唄みたいに小さく響いていた。


 リナはゆっくりと目を閉じた。

    読んでいただきありがとうございます。

    少しずつ更新していきます。

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