転生聖女、ロックオンされる
例の告白から1ヵ月。
アーテ様ともご飯を食べたりして、知り合い以上友達未満の人達が増えた。
ご飯を食べている内に話し掛けられる事も多くなって、とても平和な一ヶ月だった。
「ハルノス嬢!」
「ハルノス嬢、」
「ハルノス嬢っ」
黒髪少年との熱愛の噂が流れている事以外は。ある意味では間違ってはいない。
…一方通行ではあるが。
だが、学園内でそんな噂が流れると黙っていない人々がいる。
兄上と父上だ。
「ハルノス、付き纏われているのだろう?そうだよな?な?」
「違います。ただお話しているだけです。」
「ミミストリー家周辺に圧力を…。」
「お父様、物騒な事をしないで下さい。」
これは…早めに手を打って置かないと婚期を逃す。
貴族の結婚は早いが、多少遅れても問題ない。ただ、私に近づけば何をされるか分からないとなれば婚期どころか、数少ない友人も離れるだろう。
「ハルノスにアプローチをしている子はどういう人なの?」
「モフモフで、優しくて、紳士的な人ですよ。モフモフですし、耳と尻尾のフワフワ感は最高です。モフモフですし。」
「モフモフしか頭に残らなかったのだが。」
「ハルノス、その子と婚約しちゃいましょう!」
「母上、欲望丸出しです。抑えて下さい。」
「ハ、ハルノス…ハルノスが、婚約?ダ、だめだ!ハルノスは渡さん!」
「そうだ!ハルノス、男は皆狼なんだぞ!」
「狼の獣人なのは間違ってませんが…。兄上、狼って育児に参加するし妊娠中のつがいを気遣う様な動物なんですよ?男性が皆そんな事してるんですか?」
「…揶揄表現だ。」
「…ソウデスカ。」
取り敢えずその日はお開きになり、家族会議は終了した。
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お開きになった家族会議の後、私は母上の部屋に来ていた。
「ハルノスの心はコータス様の方へ動いているんじゃない?」
「…少しだけです。ホンの少し。」
「かなり熱く口説かれているものね。」
「どこ情報ですか、それ。」
「精霊さんよ。」
(そうだった…忘れてたわ。)
今もふよふよと浮いている水色のスズメ。羽根は、羽根先にかけて透けて見える。
私にも精霊が見えると言うことは契約は可能だ。だが、精霊と契約するには属性の問題や相性があるため、私は契約できていない。
「母上、もし私がコータス様を好きになったとしたら、応援していただけますか?」
「もちろんよ。ハルノスが幸せになる事が1番なんだから。」
「ありがとうございます。」
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コータス様を好きになり掛けている事は分かる。一ヶ月の間、紳士的に粘り強く口説かれているのだ。心が動かない筈はない。
シヴァ爺さんの忠告の意味も今なら分かった。
「性欲が強くてつがいに執着する」
(本当に落とされるのを待つのみになりそうじゃない。)




