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第13話 治癒魔法を瓶に保存できます

 家庭用魔導灯の試作十号が、ついに連続一時間の安定点灯を達成した翌日、エレナの研究室へ見慣れない客がやって来た。


 白衣ではなく、淡い灰色の治療衣を着た女性だった。年齢は三十代半ばほどで、腰まである焦げ茶色の髪を実用本位にまとめている。研究院の人間ではないらしく、入口で一度立ち止まると、作業台いっぱいに魔導核や図面を広げているエレナたちを興味深そうに見回した。


「こちらが精密魔導核研究室で合っていますか?」


「はい。何かご用でしょうか」


 エレナが手を止めると、女性は胸元の徽章を示した。


「帝都中央治療院の治癒魔導師、アメリアと申します。医療魔法具の件で相談をお願いしたくて、ミレイア開発部長から紹介状をいただきました」


「医療魔法具ですか?」


 エレナの声が少し明るくなった。


 これまで触れてきたのは照明や冷却装置が中心で、医療分野はほとんど経験がない。知らない仕組みを見られると思うと、それだけで興味が湧いた。


「どうぞ。こちらへ」


 応接用の椅子へ案内しようとしたところで、アメリアが作業台に置かれた家庭用魔導灯の試作機へ目を向けた。


「これが噂の省魔力灯ですか?」


「まだ噂になる段階ではありません。失敗作のほうが多いです」


「失敗作?」


 エレナが壁際を指す。


 二段半を占領するようになった失敗作棚を見て、アメリアは一瞬黙った。


「……壮観ですね」


「最近は三段目へ進出しました」


 リナが妙に誇らしげに答える。


「自慢するところではないと思うのですが」


「主任が捨てさせてくれませんから」


「記録です。全部役に立ちます」


 そんなやり取りに、アメリアは少し笑った。


「なるほど。ミレイア様が『話は早いけれど、興味を持たせると止まらない』とおっしゃっていた意味が分かりました」


「また何か言われているんですね」


「悪い意味ではありませんよ」


「最近、その前置きをされることが増えました」


 エレナは少し複雑な気分になりながら席へついた。


 アメリアが鞄から取り出したのは、掌に収まる小さな銀色の器具だった。


 細い管が二本。


 一方には治癒魔法を通すための術式。


 もう一方には青白い魔石が接続されている。


「これは何ですか?」


「治癒魔力安定器です」


「治癒魔力を?」


「治療院では重傷者へ強い治癒魔法を使う場合、複数の治癒魔導師が交代で術式を維持することがあります。ただ、交代の瞬間にどうしても魔力の質が変わるので、傷口への負担が出ることがあるんです」


 エレナは器具を手に取った。


「それを均すための装置ですか」


「はい。私たちが込めた治癒魔力を一度この魔石へ通して、出力を一定にしてから患者へ流します」


「便利ですね」


「便利ですが、問題もあります」


 アメリアは苦笑した。


「治癒魔法は普通の魔力より扱いが難しいんです。魔石へ入れても、術者が手を離すとすぐ性質が崩れてしまいます。だから結局、誰かが常に魔力を流し続けないといけません」


 エレナは器具を裏返した。


 魔力を一度蓄える構造にはなっている。


 けれど、蓄えるというより流れを一時的に遅らせているだけだ。


「どのくらい保ちますか?」


「今の型なら、術者が離れて十数秒でしょうか」


「それは保存とは呼べませんね」


「ええ。だからこそ相談に来ました」


 アメリアは少し身を乗り出した。


「軍用魔導灯で、魔力を長時間安定して使う新しい回路を作った方がいると聞きました。治癒魔法にも応用できないでしょうか」


 エレナはすぐには答えなかった。


 治癒魔法。


 普通の魔力とは違う。


 属性魔法とも少し異なり、術者の生命力に近い性質を帯びるため、保存が難しいとされている。


 けれど。


「一度、実際の治癒魔法を測定してもいいですか?」


 アメリアの目が輝いた。


「もちろんです」


「ただし、私は治癒魔法そのものには詳しくありません。医学的に危険なことは止めてください」


「そこは私が責任を持ちます」


「では、やってみましょう」


 リナが横から口を挟む。


「主任、即答ですね」


「面白そうなので」


「そう言うと思いました」


 研究室の空気が一気に変わった。


 机の上から家庭用魔導灯の部品を片づけ、測定器を三台並べる。治癒魔法は通常魔力と波形が違うため、既存の測定器だけでは正確に取れない可能性がある。


 そこでエレナは補助回路を一つ追加した。


「アメリアさん。まず、普通にこの器具へ魔力を流していただけますか?」


「分かりました」


 アメリアが掌を銀色の器具へ添える。


 淡い緑色の光が広がった。


 室内の空気が少し柔らかくなるような、不思議な感覚があった。


 エレナは測定器を見る。


「……波がありますね」


「術者による揺れですか?」


「それもあります。でも、それだけではないです」


 紙へ数値を書き取る。


 治癒魔法は一定に見えて、細かく脈打つような変動がある。


 まるで心拍のようだった。


「アメリアさん、これ、意図的に強弱をつけていますか?」


「いいえ。一定量を流しているつもりです」


「では、この波そのものが治癒魔法の性質なのかもしれません」


 アメリアも測定値を覗き込む。


「普通の魔力では出ない波ですか?」


「少なくとも、照明用の魔力ではこんな動きはしません」


「面白いですね」


「ですよね」


 二人の声が同時に少し弾んだ。


 リナが小さく笑う。


「もう仲良くなりましたね」


「研究の話ですから」


「それを世間では仲良くなったと言うんです」


 エレナは聞き流し、次の測定へ進んだ。


「今度は、魔力を止めてください」


 アメリアが手を離す。


 緑色の光が弱くなる。


 十秒。


 十一秒。


 十二秒。


 十四秒で、ほとんど消えた。


「なるほど」


 エレナは記録する。


「魔力そのものが抜けているというより、形が崩れています」


「形?」


「たぶん、この波です」


 紙に線を描く。


「治癒魔法は、一定量を詰め込めばいいわけではなくて、この細かな脈動ごと維持しないと、性質が崩れるんじゃないでしょうか」


 アメリアの顔から笑みが消え、真剣になる。


「つまり?」


「水を瓶に入れるのではなく、動いている水車ごと止めずに閉じ込めるようなものです」


「……それは難しそうですね」


「難しいです。でも、面白いです」


 アメリアが笑った。


「あなた、本当に研究者ですね」


「職人です」


「そこは譲らないんですね」


「大事なので」


 エレナは古い魔導灯の回路図を一枚持ってきた。


 軍用魔導灯で使った、魔力を複数の経路へ分けて安定させる構造。


 そのままでは使えない。


 けれど。


「波を止めるのではなく、回り続ける小さな環に閉じ込めたらどうでしょう」


「環?」


「魔力を一方向へ流して貯めるのではなく、内部で循環させます。少量だけずつ回し続ければ、術者が手を離しても波形を維持できるかもしれません」


「そんなことが?」


「分かりません」


 エレナは正直に答えた。


「だから試します」


 失敗作棚がまた一つ埋まりそうな予感がした。


 そしてその予感は、見事に当たった。


 一号試作。


 治癒魔力を入れた瞬間、循環速度が速すぎて魔石が割れた。


 二号。


 今度は遅すぎて、三十秒で治癒魔法の性質が崩れた。


 三号は二分。


 四号は四分半。


 五号では十分を超えたところで、アメリアが思わず声を上げた。


「まだ残っています!」


「出力を測ります」


 エレナは測定器へ目を落とした。


 治癒魔法特有の波が、まだある。


 少し弱い。


 でも消えてはいない。


「もう少し循環速度を落とします。今だと魔力そのものを消耗しています」


「それで保管時間が伸びるんですか?」


「たぶん。ただ、遅くしすぎると波が崩れます」


「難しいですね」


「そこが面白いところです」


 アメリアは苦笑した。


「私には、患者の傷口を診るほうが簡単です」


「私は逆です」


「それなら、ちょうどいいですね」


 その一言に、エレナは少し嬉しくなった。


 自分にできないことを相手ができる。


 相手にできないことを自分が補う。


 最近、そういう仕事が好きになっている。


 以前は、自分が全部できなければ価値がないように思っていた。


 今は違う。


 一人でできないことを、一緒にできる人を探せばいい。


 六号試作へ入った頃には、昼を大きく過ぎていた。


「主任」


 リナが壁の時計を指さす。


 エレナは見ないふりをした。


「見えています」


「では言わなくても分かりますね」


「あと一回だけ」


「その言葉、陛下へ報告しますよ」


「なぜすぐ陛下なんです?」


「一番効くからです」


 アメリアが不思議そうに二人を見る。


「陛下?」


「気にしないでください」


「主任の食事管理に関わる重要人物です」


「リナさん」


「事実です」


 説明するほど妙な話になる。


 エレナは仕方なく手を止めた。


「分かりました。休憩します」


「素直ですね」


「陛下へ報告されるよりいいです」


 アメリアがとうとう笑い出した。


「冷徹皇帝と呼ばれる方が、研究員の食事を気にするのですか?」


「それについては、私もよく分かっていません」


「主任だけが分かっていないんです」


「どういう意味です?」


「今は昼食へ行くという意味です」


 また話を逸らされた。


 食堂で簡単に食事を済ませ、研究室へ戻ると、六号試作を始めた。


 今度は循環回路を二重にする。


 一つは治癒魔力そのものを回す環。


 もう一つは、波形の崩れを補正する補助環。


 理屈の上では、相互に支え合うはずだった。


 問題は、通常の魔石では内部の容量が足りないこと。


「少し大きくしますか?」


 リナが尋ねる。


「いいえ。持ち運べないと意味がありません」


「では素材を変える?」


「高価すぎるものは駄目です。治療院だけで使うならともかく、将来的には町の診療所でも使えるほうがいいです」


 アメリアが驚いたようにエレナを見る。


「そこまで考えているんですか?」


「せっかく作るなら、多くの人が使えるほうがいいでしょう?」


「でも、まだ保管できるかも分かっていませんよ」


「だから今は考えるだけです」


 エレナは魔導核の大きさを変えず、内部刻印だけを組み直した。


 完成した六号は、小さな透明容器へ収められた。


 見た目は、薬瓶に少し似ている。


「本当に瓶みたいですね」


 アメリアが言った。


「持ち運ぶなら、このほうがいいです。壊れにくい外装はあとで考えましょう」


「では入れます」


 アメリアが治癒魔法を込めた。


 淡い緑色の光が、小瓶の中へ満ちる。


 エレナが補助回路を起動する。


 光が少し揺れたあと、安定した。


「手を離してください」


 アメリアが手を離す。


 十秒。


 一分。


 五分。


 十分。


 三十分。


 光は残っていた。


「……まだありますね」


 アメリアの声が小さくなる。


「あります」


 一時間。


 二時間。


 途中で何度も測定する。


 治癒魔法特有の波形は、少し弱まりながらも残り続けた。


「主任」


 リナが時計を見る。


「もう夕方です」


「分かっています」


「今日は帰れます?」


「これは見届けたいです」


「ですよね」


 さすがにリナも止めなかった。


 アメリアも帰らず、三人で測定を続ける。


 三時間。


 四時間。


 五時間。


 そして六時間を超えたところで、エレナはようやく椅子の背へ身体を預けた。


「……これ、本当に保存できています」


 アメリアは小瓶を見つめたまま答えない。


 目が赤くなっていた。


「アメリアさん?」


「すみません」


 彼女は笑おうとした。


 でも、うまくいかなかった。


「少し、昔の患者を思い出しました」


 エレナは何も言わず続きを待った。


「治癒魔導師が到着するまで、間に合わなかった子がいたんです」


 研究室の空気が静かになった。


「大きな怪我でした。でも、治癒魔法が使えれば助かる可能性はありました。村の診療所には薬師しかいなくて、私たちが着いた頃には……」


 アメリアは途中で言葉を切った。


「もしこれがあれば」


 小瓶へ目を向ける。


「治癒魔法を先に込めて、遠い村へ運べるのでしょうか」


 エレナは軽々しく答えられなかった。


 今できているのは六時間だけ。


 しかも治癒効果が本当に保存されているかは、まだ人体以外の安全な方法で確認しなければならない。


「可能性はあります」


 それだけ答えた。


「でも、まず確かめましょう。中に残っているものが、本当に治療に使える状態なのか」


「はい」


 アメリアは目元を拭い、いつもの治癒魔導師の顔へ戻った。


「お願いします」


 翌日。


 中央治療院の協力を得て、安全な試験が行われた。


 人へ直接使う前に、治癒魔法へ反応する培養組織を使う。


 新鮮な治癒魔法を流したもの。


 六時間保存したもの。


 比較する。


 結果が出るまで、エレナは落ち着かなかった。


 魔導灯とは違う。


 失敗しても棚へ置けばいい、とは簡単に言えない。


 人の身体へ使うものだからだ。


「出ました」


 アメリアが記録を持ってきた。


 エレナが立ち上がる。


「どうでした?」


「治癒反応、確認できました」


 胸の奥が跳ねた。


「効果は?」


「新鮮な治癒魔法を百とすると、六時間保存後で八十七ほどです」


「十三落ちていますね」


「そこですか?」


「大事です」


「大事ですけど」


 アメリアは笑った。


「まず、喜びましょう」


 そう言われて、エレナもようやく笑った。


「……はい。嬉しいです」


 六時間。


 まだ短い。


 遠隔地へ運ぶには一日、できれば数日。


 さらに長期保存できれば災害時の備蓄にも使える。


 課題はいくらでもある。


 けれど。


 今まで術者がその場にいなければ使えなかった治癒魔法が、初めて術者の手を離れて残った。


「次は十二時間ですね」


「もう次ですか?」


「その次が一日です」


「エレナさん」


「何でしょう」


「少しは余韻を楽しみません?」


「今、楽しんでいます」


「顔が完全に次の試作の顔です」


 どうやら分かりやすくなったらしい。


 研究結果は、すぐに研究院長と治療院へ報告された。


 そして翌日には、クロムウェルまで研究室へ来た。


「治癒魔法を保存したと聞いた」


「六時間です」


「十分異常だ」


「異常と言わないでください」


「従来は何秒だ?」


「十数秒ほどです」


「なら異常だろう」


「技術革新と言ってください」


「意味は似ている」


「印象が違います」


 クロムウェルは机の上の小瓶を見た。


 中には、試験用に込められた淡い緑色の光が揺れている。


「これか」


「はい。ただし、まだ実用化には遠いです。時間とともに治癒効果が落ちますし、誰が使っても同じ出力になるよう調整しないと危険です」


「使う側に治癒魔法の知識は必要か?」


「現状では必要です。でも最終的には、傷口へ当てて一定量だけ放出できる仕組みにしたいです」


「それができれば?」


 エレナは少し考えた。


「治癒魔導師がいない場所でも、応急処置ができます。辺境の診療所や、軍の前線、災害現場。それから、治癒魔導師が眠っている時間でも使えます」


 クロムウェルの顔がわずかに変わる。


「軍への影響も大きいな」


「はい。でも軍専用にはしたくありません」


 エレナはすぐに言った。


「理由は?」


「一番必要なのは、治癒魔導師がいない場所だと思うからです。大きな町なら治療院があります。でも、地方の村にはいないことも多いでしょう」


「価格は?」


「そこが問題です」


 エレナは正直に答える。


「今の六号は高価です。特殊加工も必要なので、量産には向きません。これでは大きな治療院しか買えません」


「なら改良するのか」


「はい」


「また失敗作棚が増えるな」


 クロムウェルが壁際を見る。


 エレナは少し驚いた。


「覚えていたんですか?」


「目立つからな」


「最近、三段目へ入りました」


「誇ることではない」


「リナさんにも言われました」


 クロムウェルは小瓶を手に取った。


 薄い緑光が指先を照らす。


「名前は?」


「まだありません」


「治癒魔法保存器では駄目か」


「そのままですね」


「軍用品の名前より分かりやすい」


「確かに」


 エレナは少し考えた。


「でも、瓶みたいなので……治癒瓶、くらいでもいいかもしれません」


「随分簡単だな」


「使う人が覚えやすいほうがいいでしょう?」


「君が軍用品の名称へ夢がないと言っていたのを思い出した」


「それとこれは違います」


「何が違う」


「……雰囲気です」


「技師らしくない答えだな」


 クロムウェルが少し笑った。


 以前なら、その笑顔を見るだけで珍しいと騒いでいた。


 今では少しずつ見慣れてきた。


 見慣れてきたはずなのに、胸がわずかに跳ねることだけは、まだ理由が分からない。


「陛下」


「何だ」


「この研究、続けてもいいですか?」


「なぜ私に確認する?」


「医療と軍、両方に関わるので、研究費がかなり必要になるかもしれません」


「成果が出る保証は?」


「ありません」


「なら、続けろ」


 エレナは目を瞬いた。


「逆では?」


「保証のある研究に、研究費を出す意味がどこにある」


 やはり、この人のそういうところが好きだ。


 ――好き?


 エレナの思考が一瞬だけ止まった。


 違う。


 今のは、人として信頼できるという意味だ。


 たぶん。


「どうした」


「何でもありません」


「顔が赤いが」


「研究室が暑いんです」


 クロムウェルが周囲を見る。


「適温だと思うが」


「私には暑いんです」


「そうか」


 追及されなかったことに安堵しながら、エレナは小瓶を取り返した。


「とにかく、続けます」


「ああ」


「次は十二時間。できれば一日。それから誰でも安全に使える放出機構を作ります」


「期待している」


「重く言わないでください」


「失敗しても構わない」


「それなら大丈夫です」


 自然にそう答えられた。


 以前なら、期待されること自体が怖かった。


 今は、失敗しても次を考えればいいと思える。


 それがどれほど大きな変化なのか、自分でも分かっていた。


 そして、その日の夕方。


 中央治療院から正式な共同研究申請が届いた。


 研究名は――『携帯型治癒魔法保存技術』。


 書類の主任研究者欄には、またエレナの名前が記されている。


 けれど今回は、その文字を見ても以前のように戸惑わなかった。


「主任」


 リナが横から覗き込む。


「今回は『私の名前ですか?』って言わないんですね」


「何度も言っていたら進歩がありません」


「慣れました?」


 エレナは少し考えてから頷いた。


「はい。少しだけ」


 自分の仕事に、自分の名前があること。


 それを受け取っていいのだと、ようやく思えるようになってきた。


 そして同時に、エレナの知らないところでは、帝国軍だけでなく各地の治療院や商会までもが、新しい技術者の名前を口にし始めていた。


 エレナ・ヴァリエ。


 ほんの少し前まで、王国の小さな工房の奥で、誰にも名前を知られず魔導核を削っていた職人。


 その名が今、帝国の医療そのものを変えるかもしれない技術とともに、静かに広がり始めていた。

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