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20.穏やかな日常1

我が家にも、みんなにも、穏やかな日常が戻った。

日曜日のお昼前、のんびり寝ていたマーくんが起きてくると、早めのおひるごはんとして、朝ごはんとして用意されていたパンとウインナーを食べた。食べ終わると、いきなり、マーくんが、

「そういえば、ショッピングモール行かないか?」

と、突然言い出した。ナナちゃんが、

「どうしたの?急に。」

と言うと、

「いや、流れ星の前さ、シミでダメにした俺のカッターシャツの代わりを買いたいって言おうと思ってたんだ。でも、小さくなって、昔のが着れるようになったから、黙ってたんだけど、お願いできないかな。」

と言ってきた。言われてみたら、中学生時代のマーくんは、今よりかなり痩せていた。結婚前に着ていた服が着れるようになったらしく、昔の衣装ケースから出してきたらしい。でも、元に戻ったら、体系が元通りなので、昔の服を着たらはちきれてしまうのだ。

「そうね。買いに行きましょうか。二人とも、これから買い物行っても大丈夫?宿題とか、やらないといけないことはない?」

と聞いてきたから、

「大丈夫だよ。」

と、りっちゃんが答えた。僕も、

「たぶん何もない。」

と答えたから、

「じゃあ、これから出かけるぞ。」

といった。みんな、すぐに支度をはじめて、20分後には出発していた。前の買い物と同じ道、ちゃんと大人が車を運転している。いつもどおりが一番だと思った。今週は昼過ぎだから、駐車場も歯抜け状態で、近くに止めることができた。目的の服屋さんの近くに車を止めた。すぐに用事を済ませて帰るのかと思ったら、りっちゃんがある店の前で立ち止まった。

「おもちゃ屋さん、行ってもいい?」

初めてりっちゃんのほうから言った言葉だった。

「いいわよ。」

ナナちゃんが言ったから、みんなで中に入る。マーくんが、

「前も来たけど、なんか目線が違うな。」

と、真剣な顔で言った。ナナちゃんも、

「あのころからあまり背が伸びてないと思ったけど、やっぱり違う気がする。」

といった。僕はりっちゃんのほうを見に行く。正直、何を見に行っていたのかが興味あった。でも、特に面白いものを見ているわけでもなく、けん玉を見ていただけだった。

「自由研究か何かに使うのか?」

僕が聞くと、首を横に振った。

「前に来た時に、見つけてたんだけど、みんながほかのものに夢中だったから、見られなかったの。」

といった。

「小さかった時、紙コップで作ったことはあったけど、ほんのはこんな形なんだって思ってさ。見終わったからもういいよ。次の店いこう。」

といった。そのままUターンして、店の入り口に向かうと、ナナちゃんとマーくんが店員さんに声を掛けられていた。少し遠くだったから、あまり内容は聞き取れなかったけど、何やら話し込んでいる。困っていそうだったので、僕たちは少し離れて店を出る。後ろ姿に気付いたナナちゃんが、

「あ…ちょっと待って。」

と、声かけて追いかけてくる。うまくいった。

「何かあったの?」

と、りっちゃんが言うと、

「後でゆっくり話すわ。とりあえず、服屋に行きましょう。」

とナナちゃんが言った。

「そうだな。」

と、マーくんも言った。二人の雰囲気がなんかおかしいと思ったけど、気にしないことにした。服屋に入ると、すたすたと通りを進んで、目的のものを探し始めた。

「いつものやつ、これだよな。」

といって、試着もせず、何のためらいもなく、買ってきた。

「さて、これからどうする?」

僕が聞くと、ナナちゃんが、

「何かおやつ食べに行く?」

といったから、りっちゃんが、

「そうだね。このモールあったかいし、冷たいもの食べたいな。」

と言った。

「どこがあるかな?」

僕が言うと、

「また、前のパフェ行くか?」

と、マーくんが言って、誰も返事をしてないのに、そちらのほうへずんずん歩いて行ってしまった。

「私たちみたいなのが行って大丈夫かな…」

ナナちゃんが言った。

「どういうこと?」

僕が聞くと、

「行ってみたらわかるわよ。」

といわれたから、そのままついていく。お店の前の看板もショーケースもいつものままだった。でも、お客さんの客層がまるで違う。前の時は家族連れのような子供服数ということもあったけど、今日のテーブルは男女二人がほとんどだ。ナナちゃんが言ったのはこのことだ。あの雰囲気に入っていくのは勇気がいる。せめて兄弟と両親で分けて席を取らないといけない雰囲気だ。でも、そんなのはみんなで出かけてきた意味がないので、

「やめようか。」

と、僕はみんなに言っていた。

「そうだな。」

とマーくんも言った。ナナちゃんはすぐに管内案内図を見て、

「この近くにアイスクリームの店があるよ。行く?」

と、言ってくれた。

「うん。」

りっちゃんも答えた。

お店につくと、かなり込み合っていた。

「スモールコーンのキャラメルナッツ!」

「キングカップのリンゴシャーベット!」

聞きなれない単語がたくさん飛び交っていた。りっちゃんが前のほうに割り込んでメニュー表を取ってきてくれた。ナナちゃんが、

「何にする?」

と聞いてきたから、

「バニラアイス」

と僕が答えると、

「カップにする?ワッフルコーンにする?」

と聞いてきた。

「コーンで。」

と答えたら、

「ほかの人、決まってる?」

と、ナナちゃんが言って、ほかのみんながうなずく。

「自分のものは自分で注文してね。」

と指示して、注文待ちの列に並んだ。まだ列の真ん中あたりと思ったら、ショーケースのほうからお姉さんがスプーンを出してくる。みんなそれを受け取って食べてから、注文を始めた。

「スモールコーンのバニラ」

ナナちゃんの注文に

「はい。」

店員さんは流れ作業でどんどん準備していく。コーンをもって

「お次は?」

といった。

「スモールカップのリンゴシャーベット」

もう一個注文し、僕にコーンを渡した。

「先に食べ始めていいわよ。」

と言ってくれた。こんな感じでどんどん注文して、みんな商品が来たら会計を済ませ、通路のベンチで食べる。

そろそろ食べ終わるという頃、ナナちゃんが口を開いた。

「そういえばね、さっき、おもちゃ屋さんで、店員さんに話しかけられていたでしょ。あの時、何言われたか聞こえてた?」

と、僕たちに向かって聞いてきた。

「いや、遠くて聞こえなかった。」

と僕が答えると、

「そうなんだ。いやね、店員さんに、『お孫さんにですか?』って聞かれて、二人とも落ち込んでるのよ。そんなに老けて見えるかな?」

と聞いてきた。りっちゃんは、

「そんなことはないと思うけど、今まで小型化で大人に見慣れてないからでしょ。」

と、あっさりといった。ナナちゃんも、

「そうね。それだけだといいけど。」

といって、微笑んだ。


こんな驚きからも、僕たちが元に戻ったことを感じることができた。

小型化の最中に来たショッピングモールに、今また来た時、少し特別だったと改めて実感した。

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