19.次の日
次の日の朝、僕は、いつもの朝ごはんの時間には起きれなかった。夜の冒険で、疲れたのだろう。目が覚めると、10時前だった。起きてすぐリビングに向かうと、ナナちゃんがキッチンで朝ごはんの後片付けをしているように見えた。
「おはよう」
僕が声をかけると、ナナちゃんが微笑んだ。
「おはよう。戻ったわよ。」
と、報告してくれた。
「よかったね。なんかちょっと懐かしいと思っちゃったんだけど。」
と、僕が言うと、ナナちゃんも、
「そうね。鏡を見たらびっくりしちゃって。老けたな、私って思った。」
といったから、
「いやいや、そんなことないでしょ。」
と伝えた。
「それで、りっちゃんは?」
と聞くと、
「そうそう、朝起きたら、りっちゃんがパパの椅子で寝てたのよ。で、二人ともまだ起きてくれないから、朝ごはんはまだよ。」
といわれた。後片付けをしていると思ったけど、掃除をしていたみたいだ。
「え?どうしたんだろうね。寝るときは、一緒に寝たわけじゃないの?」
と言ったら、ナナちゃんは、
「ううん。寝るときは二人しかいなかったわよ。」
と、言われたから、
「二人のこと、心配だったんじゃない?で、見に来て寝ちゃったとか?」
と、言っておく。噂をしていると、りっちゃんが寝ぼけ眼でふらふらと出てきた。しかも、自分の部屋で寝ているとばかり思っていたらしく、壁に突進していたから、僕がぶつかる前に、
「おはよう。」
と言ったら、びっくりされた。
「あれ?リビングの前…どうして私、ここにいるの?」
と、不思議そうに言ったから、僕が、
「なんか用事あってマーくん達に会いに行って、そのまま寝ちゃったんじゃないのか?」
と、わからないふりをした。
「ふとん持っていかないといけない用事なんてあるかな?」
りっちゃんに言われて、
「うーん。そうとう眠かったんだろ。」
と、適当に答える。りっちゃんは、
「えー、何それ?あ、そうだ。パパがまだ寝てたけど、大丈夫かな?もしかして、二人で朝ごはん食べちゃった?」
と、聞かれたけど、僕が答えるより先にナナちゃんが、
「いや、二人が起きてくるの待ちだよ。」
と、答えた。
「それより、寝てた布団、片付けなくていいの?」
と、僕が聞いたら、びっくりして、元いた方に行って言った。
「ドスン。」
向こうから物音が聞こえた。僕が廊下から覗くより先に、
「んー。」
と、うなり声が聞こえて、向こうから大きな影が迫ってきた。マーくんが起きたかと思って道を開けたら、りっちゃんが出てきて、
「ベッドにぶつかったらうなられた。」
と言った。
「それ置いてきたら、ご飯たべれる頃かもしれないよ。さっきうなってたなら、すぐ起きてくるだろうし。」
と、僕が言うと、慌てて自分の部屋に戻って行った。
しばらくして、りっちゃんの足音が聞こえるころになっても、マーくんが起きてくる気配がなかった。僕は、
「ナナちゃーん、マーくん起こしに行ってくる。」
と伝えてから、もう一度昨日の夜来た寝室に入る。階段をどたどたと降りてきたりっちゃんは、リビングに戻ってきて、
「ママー、まだパパ起きてこないの?」
といったから、ナナちゃんが
「たっくんが起こしに行ったわよ。」
と、伝えていた。そのあと、小さな足音がこっちに近づいてくる。
「パパ起きた?」
りっちゃんが小声で聞いてきた。
「いや、まだ。」
僕は、言いながら、服の間から見えているおなかをツンツン指でつついている。
「あ、つついてるの?私もやっていい?」
と聞いてきたら、
「うん。でも、全然反応ないよ。」
と伝えた。りっちゃんは、そんなことなんてお構いなしに足をつつき始める。僕の時と同じように、やっぱり無反応だ。しばらく悪戦苦闘していたけど、向こうから、
「たっくん、まだー、お昼になっちゃうわよ。」
と叫ばれたから、最終手段に出る。僕は、りっちゃんに、
「最終手段だ、持ち上げるよ。」
といって、
「え?まさか…」
僕を見つめるりっちゃんの目に、驚きと恐怖の色が浮かんだ。そんなことは気にしてられないから、りっちゃんの両脇に手を入れて、持ち上げ、マーくんの横におろした。
「りっちゃん、そのまま転がって乗っちゃえ。」
と僕が言うと、笑顔でうなずいてくれた。寝転がっている状態からそのまま転がって隣に寝ているマーくんに乗り上げた。
「んー。何するんだ、重い…。」
と、モゴモゴというと、そのまま払いのけた。りっちゃんは、
「うわっ。」
といって、受け身を取って、向こうのほうでぎりぎり下に落ちるのを免れたみたいだ。
「起きないねー。
と、言って、そのまま、ベッドの上でジャンプし始めた。
「体ごと揺らされたら、さすがに起きないかな。」
といって、力いっぱいジャンプしているけど、それでも無反応だった。
「おーい。起きてー。」
僕が言うと、
「起きるー。」
またモゴモゴ言われたから、ちょっと期待してみたけど、やっぱり駄目だった。りっちゃんが、向こうからマーくんの体を動かそうとしている。
「何してるんだ?」
僕が言うと、
「ベッドから落ちそうになったらさすがに目が覚めるでしょ。」
というと、
「うーん」
うなりながら、力いっぱい押しているけど、
「絶対に私よりも重いよね。」
といった。すると、急にマーくんが動き始めた。
「く〇×△※☆」
僕は最初の一音しか聞き取れなかった。りっちゃんは気づかないで続けた。
「なんか言わなかったか?」
僕が言ったけど、気づいていない。そのまま続けていたら。急にマーくんが動き出して、りっちゃんを払いのけた。そのまま目を覚まして、
「おい、何してるんだ。くすぐったいだろ。」
と、今度ははっきり言った。僕が、
「え?なにが?僕たち、くすぐってなんか…」
と言ったら、
「顔がムズムズして、くすぐったかったんだけど…。
僕の顔を見てから、後ろでへたり込んでいるりっちゃんのほうを見て、
「りっちゃんの髪の毛じゃないか?」
といった。
「私が本来してたことじゃなくて、そっち反応したの?あー、疲れた。」
といったから、3人で大笑いした。時計を見たら、もうすぐ11時だ。朝ごはんには遅すぎる時間。とりあえず、リビングに3人そろっていくと、ナナちゃんが、
「これから、早めの昼ごはんにしちゃう?」
と言ってきた。
「そうだな。みんなごめん。俺が起きなかったから…」
とマーくんが言うと、りっちゃんが、
「ううん。私たちも楽しかったから、平気だよ。」
といった。




