16.あと3日でできること
10月19日の朝、また新しいニュースが入って来た。人里に降りて来たクマが、防犯カメラの視野内で小型化したらしいのだ。ある一定の時期を越した動物全てに影響が出たという報告の裏付けになった。そこで、評論家がニュースで語っていた、大人にワクチンや錠剤を配るという方式は、使わないのではないかという意見が強まった。国の生態系を維持したまま元の生活に戻すためには、これからの子どもたちや他の動物のことも考えないといけないのだ。こんな予測がつぶやかれる中、政府は、正式に記者会見をして、10月22日土曜日の深夜に、流れ星対応物質を散布するとの発表をした。危険行為防止のため、手段は関係者のみに通達するようだ。ここに来てやっと、前の暮らしが、見えてきた。あと3日、仕事中の人がいない時間を見計らってか、週末の休みの真ん中の夜が選ばれたらしい。そして、事態発生が9月23日だったから、ちょうど1ヶ月ぶりに、元の景色に戻るわけだ。これがわかった僕たちは、今からどうするんだろう。何か面白いことができたりしないだろうか。
「ねー、あと3日で、ナナちゃんとマーくんが元に戻るかもしれないんだよね。なんか楽しい思い出、一緒に作ろうよ。」
と、僕が言ったら、
「え?どんなことするの?」
と、りっちゃんが飛びついてくれた。
「うーん。どんなのがいいかな。写真屋さんで、記念写真とかは?」
僕が提案したら、
「えー。パフェの時に撮ったー。」
と、りっちゃんがつまらなそうに言ったから、
「でも、ナナちゃんのセーラー服の写真、ないでしょ?僕たちはね、実はこないだまで、一緒のクラスに通ってたんだよ。」
と、言ったら、りっちゃんが、
「なんで?ママ、高校出てるよね?」
と言ったから、
「もちろん、ちゃんと卒業してるわよ。でも、お兄ちゃんの学校のPTAの企画で、一緒のクラスにちょっとの間行って来たの。」
とナナちゃんが言ったら、マーくんが、
「なに?ナナちゃんのセーラー服なんて、俺も見たことないのに、タクミは毎日見てたのか。いいなぁ。」
と、言った。僕も、
「うん。すごい可愛かったよ。」
と言ったら、マーくんが、
「俺にも見せて欲しいから、よし!土曜日は写真屋さんに行こう。みんなでビシッと決めるぞ。りっちゃんは標準服、他のみんなは制服だ。」
と言ってかなり乗り気だった。




