17.最後の日
あっという間に、土曜日になった。
発案者の僕よりもノリノリなマーくんがみんなに声をかけ、昼前に写真屋さんに出かけた。写真屋の店員さんは、かなりかしこまった僕たちの格好で、写真撮影だとわかったのか、入店した途端に壁や椅子の支度を始めた。
「記念撮影でよろしいでしょうか?」
と、店員さんは満面の笑みで言った。
「はい。4人で撮りたいんですけど。」
と、僕が言うと、
「はい。それでは、お嬢さんたちが前に座って、お兄さんたちが後ろに立つ形でよろしいですか?」
と、言われた。りっちゃんは、写真屋のお兄さんの「お嬢さん」と言う言い方の後からナナちゃんを見て笑いをこらえていたけど、気にもせずにみんなが並んだから、撮影が始まった。
写真はみんなでの集合写真を3枚と、それぞれが個人写真を2枚ずつ取った。ぼくとりっちゃんは別にいつもと変わらないからわざわざとる必要もないと思ったけど、それでも、マーくんが撮ると言ったので、仕方なく取ってもらった。この写真が仕上がってくるのは明日の昼。今と同じ姿ではないはずだから、仕上がりが気に入らなくても、撮り直しはできない。だから、カメラの前に並ぶ僕たちの周りにも、撮影するお兄さんにも、自然と緊張した雰囲気が漂った。
写真撮影が終わった。そのまま帰るのはつまらないので、いつもの買い物をしてから家に帰った。家について時計を見ると、もう夕方の4時を過ぎていた。あと8時間。無意識のうちに、不意に頭の中でカウントダウンをしてしまう僕がいた。買い物をしていた時の周りの雰囲気もそうだった。みんなそうなんだろう。大人からは前の姿に戻れるという興奮が、子どもたちからは、楽しかった行事の終わりみたいなさみしさが伝わってきた。僕たちが束の間過ごした、新しい世界。いつものみんなは変わらずいるのに、どこか違う、不思議な世界。ちょっと不便だけど、わくわくしたこの世界から、強制的に戻されてしまう。僕たちには無関係なはずで、ここに居続けるために僕たちができることなんて何もないのに、ただ、名残惜しいと思ってしまう。




